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つい1ヶ月前までは私も「遺伝子組換え」は危険性の高いもの、何が起こるかわからないものという世間一般の評価を信じてきた。どちらかといえば、「遺伝子組換え」は、反対であった。

しかし、それは8月末の「遺伝子組換え実験研修」を受けたことによって、180度価値観が変わった。

「遺伝子組換えは自然界でふつうに起こっている現象」であること、厚生労働省が許可したものは十分に検査しており、「逆にふつうの食品より安全性が高い」ということ、「遺伝子組換え商品の表示を、世間の人は危険なものであると誤解している」ことなどを学び、私は遺伝子組換え賛成の考えを持っている。

情報操作された遺伝子操作

それにしても、なぜ世間でこれほど遺伝子組換えを忌み嫌っているか。研修を受けて感じたことをあげてみよう。

今回の講師陣は日本で遺伝子組換えの第一人者であり、遺伝子組換えの法律もつくってきたすごい人たちである。

そのうちの1人、筑波大学の「鎌田博教授」は現在、筑波大学大学院生命環境科学研究科教授で、厚生労働省の遺伝子組み換え食品の安全審査委員として活躍されてきた。

その国の安全基準を決めてきた人が「遺伝子組み換え食品は安全基準を満たしていれば安全」だというのだ。

そして市場に流通している食品は「遺伝子組換え大豆使用」と表示して流通しているが、「これは知る権利を主張する消費者団体の要望で表示しているだけで、安全性に問題はない。危険なものは流通してはいけないのだ。」と何度も聞いた。

ちなみにアメリカでは、このような表示義務はないそうである。

こうまでしても、わが国では、マスコミは「遺伝子組換え作物は危険」と書くが「安全」とは書かないのはなぜなのだろうか?

鎌田教授がいうには、「背景に政治的・経済的な権力者が存在し、情報を操作している可能性が高い。」という。

反対する消費者団体の代表を務めると、主婦に受けがいい。こうした団体の代表を務め知名度を上げ、選挙に立候補するのだ。また環境団体の組織を作り代表を務め「食べてはいけない、遺伝子組換え」という本を書く、あるいは雑誌に「遺伝子組換えは危険」の記事を書く。すると売り上げが格段に違うという。

実際、鎌田教授らが、有名新聞社が何度も掲載する「遺伝子組換え危険」の記事に対し、厚生労働省が検査の上、認可しているからか安全なのだと説明し、正しい記事を書いてほしいと申し出ても、これまで「遺伝子組換え安全」の記事は書かれたことがないという。

もし、それが本当ならば、裏で何かあり、情報を操作している権力者がいることを疑うのは当然のことである。このことは、ガソリンを例にとるとよくわかる。

価格操作された原油価格

日本人は人が良い。ガソリンがこれほど値上がりしても、皆大人しく従っている。ガソリンは中東の政情不安で高騰しているのではない。

アメリカがイラクと戦争をするために、周辺アラブ諸国と政治的・経済的取引があり、石油の値段を高く設定しているのだ。いったいどれくらいの人が気がついているのだろうか?

だからといって、現在日本はアメリカに追従するしかない立場にある。どうすることもできない。ただ真実は真実として知りたい、追求したい。それだけのために私はこのブログを書いている。

今日は遺伝子組換えの反対派の不可解な意見に対し、遺伝子組換え推進派の厚生労働省や、科学者達がどう反論しているかまとめてみたい。(参考:「遺伝子組換え植物と社会」鎌田博FFIジャーナル210号No.7) 


遺伝子組換えは遺伝子をむやみに変えるのではないか?


今までには、放射線による突然変異法など、いろいろな遺伝子を変える方法もあったが、現在ではプラスミドなどにより、必要な遺伝子だけをそう入する方法や、先日の「ジーンターゲッティング法」では、必要な遺伝子だけピンポイントで変える方法が確立している。

むしろ、自然界でおきる遺伝的組換えのほうがひんぱんに遺伝子がいれかわっている。相同的組み換えでは細胞分裂のとき、相同する染色体の間で遺伝子情報が変わる。

遺伝子組換えは環境に流出すれば制御不能か?


過去に国や特定の団体で細菌兵器として、炭素菌やペスト菌が使われたと聞く。このような病原菌の遺伝子組換えは、許されるべきではない。

遺伝子組換え作物で、よく使われてきた大豆、トウモロコシ、綿、ナタネで、猛毒を持つものに変わった例は一度も報告されていない。

また一般の細菌にも遺伝子組換えは行われてきたが、猛毒を持つものに変わった例は一度も報告されていない。 

たしかに、複数の遺伝子が変わり、目的としないタンパク質がつくられた例は過去にあったが、現在は必要とされる遺伝子だけを導入する方法が確立している。

だが万一を考え流出しないように殺菌・滅菌をすることが法令で定められている。

遺伝子組換えにより、既に事故が起きている?


過去に遺伝子組換え細菌をつかった、健康食品「L−トリプトファン」を食べた人が、「好酸球増加筋肉痛症候群」という症状を起こした。1988〜89年にかけて判っているだけでも米国を中心にして約1,600人の被害者を出し、そのうち38人が死亡するという食品公害があった。

その原因は遺伝子組換え細菌が「L−トリプトファン」以外に予期せぬ2種類のタンパク質が生成され、それがある体質の人に作用したのであった。

これは遺伝子組換えがDNAの複数の個所で起こったためであり、現在の「ジーンターゲッティング法」をもってすれば、必要な遺伝子だけピンポイントで変えることができこのようなことはおこらない。

また、過去に.組み換えジャガイモでラットに成長障害が出たことが報告されているが、これも1998年の技術が未熟な時代の産物であり、目的以外の遺伝子組換えが同時に起きたために起こっている。

さらに、殺虫成分(=Btタンパク質)を導入した殺虫性トウモロコシが、チョウに被害を及ぼす恐れがある、との研究結果を発表した。殺虫成分だから蝶に影響が出て当然だが、問題はヒトに対する影響ではないだろうか?

遺伝子組換え「安全性審査」がずさんで問題がある?


反対派は審査基準が甘いなどといっている。しかし、DNAゲノム解析も進んだ現在、変化した遺伝子を調べればどんなものができるか予想ができる。

必要な遺伝子だけピンポイントで変えることができる「ジーンターゲッティング法」も確立している。

そうすると、審査する基準は食品のリスクが増大したかどうかをチェックすればすむ。以下に厚生労働省の遺伝子組換え食品、安全審査基準について掲載する。

安全性の審査は、主に
1.組換えDNA技術により付加される全ての性質
2.組換えDNA技術に起因し発生する。その他の影響が生ずる可能性
について行われます。

具体的には、
1.挿入遺伝子の安全性 挿入遺伝子により産生される蛋白質の有害性の有無  
2.アレルギー誘発性の有無 挿入遺伝子が間接的に作用し、他の有害物質を産生する可能性の有無   
3.遺伝子を挿入したことにより成分に重大な変化を起こす可能性の有無    
等について審査を行います。(厚生労働省医薬食品局食品安全部より引用)  

食余りの時代に遺伝子組換えは必要がないか?


現在は全人口が必要とする量よりも生産量の方が上回っている歴史上初めての時代と言われる。ある程度きちんと分配されれば、地球上で飢える人は居ないはずだという。

しかし、現実には多くの人が飢え、死んでいる。反対派は「食糧危機は、生産の問題よりも分配の問題が大きい。従って遺伝子組換えは必要ない。」という。

たしかにそうかもしれないが、だれがいつ公平に分配するのだろう?

民主党が言うように、発展途上国に直接食べ物を援助することも大事だが、将来のためには自分たちで食料を確保するための技術協力も大事だと思う。
 

リポート アメリカの遺伝子組み換え作物
食糧の生産と消費を結ぶ研究会
家の光協会

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バイテクの支配者―遺伝子組換えはなぜ悪者になったのか
ダニエル チャールズ,Daniel Charles,脇山 真木
東洋経済新報社

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