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私たちの身体では、毎日約4千億個の細胞が死んでいると云われています。ヒトの身体は約60兆個の細胞で構成されていますから、その150分の1が毎日死んでいるという計算になります。

このことを細胞の自然死(アポトーシス)と云われています。このアポトーシスをせず増殖のみを繰り返す細胞が癌細胞だといえます。

がん細胞とは何らかの理由で、DNAの遺伝子に損傷を受け「アポトーシス(自然死)」 ができなくなった細胞です。

この原因として、化学物質だけでなく、放射線やウイルス感染が発がんに関与することが明らかとなっています。

がんはこのように遺伝子の異常が原因で起きます。そこでがんに対して遺伝子治療を使用という研究も始まっています。

ところでがんとは何でしょうか?がんの発生メカニズムはどうなっているのでしょうか?

今日は遺伝子から見た「がん」について調べます。
(参考HP Wikipedia・国立がんセンター)

そもそも「がん・癌」とは何か?


「がん」とは、細胞の遺伝子に異常がおき、細胞が死滅することなく増え続ける病気です。

そのような細胞が集まって「腫瘍」になったものがあり、その中で他の場所に転移したり、栄養分を吸収して体を衰弱させる、悪性の腫瘍を「癌」といいます。

「がん」には白血病など、細胞は増え続けるが腫瘍にならない場合もあり、「がん」と書く場合はこういう白血病なども含まれます。

ヒトの身体は数十兆個の細胞からなっています。これらの細胞は、正常な状態では細胞数をほぼ一定に保つため、分裂・増殖しすぎないような制御機構が働いています。

それに対してがんは、生体の細胞がコントロールを失って無制限に増殖するようになったものといえます。

がん発生のメカニズム


全てのがんは、遺伝子の突然変異によって発生します。がんは正常の細胞に遺伝子の変化がひとつでき、それにより少し性質の変わった細胞が、だんだんと増えるところからはじまります。

多くの細胞は遺伝子の変化をおこすと身体の中で死んでしまいますが、中には遺伝子変化をおこした異常な細胞が、さらに遺伝子変化を2つ、3つとおこして増え、やがて「がん」にかわることがあります。

こうした遺伝子の変化は、私たちが生活している環境の中に多くある要因や発がん性物質に毎日毎日さらされていることでおきています。

もし1個だけの遺伝子変化でがんになるのであれば、私たち人間は、生まれてからすぐ、あっという間にがんになりますが、そういうわけではなく、スロットマシンのように、いくつかの遺伝子の組み合わせが成立してはじめて人はがんになります。

ですから、がんになるのは非常に希なことであり、人間は細胞レベルでは極めて高度に防衛されているということがいえます。

がん発生に関与する遺伝子群


こうした発がんにかかわる遺伝子にはどのようなものがあるのかということも、過去10〜20年の研究で解明されてきました。大きく分けて3つの遺伝子ががん発生に関係しています。

がん抑制遺伝子

自動車にたとえますと、ブレーキにあたるのが「がん抑制遺伝子」です。がんになるように進む自動車に対してブレーキを加える役割をする遺伝子の一群です。

P53と呼ばれるがん抑制遺伝子はがん細胞の成長を止めたり、アポトーシス(自然死)させたりするはたらきがあります。

現在約20〜30種類ぐらいのがん抑制遺伝子が解明されています。このブレーキが壊れる(がん抑制遺伝子がなくなったり、不活性化したりする)と一歩がん化に進みます。

がん遺伝子

一方、そのがん化を促すアクセルにあたるのが「がん遺伝子」です。この遺伝子が活性化してもがんの方向へ進みます。

DNA修復遺伝子

がんにかかわる遺伝子の第三番目のものとして、がん遺伝子が活性化されたり、がん抑制遺伝子が壊れた時に、これをもとの正常な状態へ修復する遺伝子「DNA修復遺伝子」があります。現在10種類ぐらい見つかっていますが、遺伝子が壊れると、この修復遺伝子が働いて壊れた遺伝子を治す働きをします。

この修理工場のような遺伝子が壊れてしまうと、がん遺伝子が活性化した時やがん抑制遺伝子が壊れた時に、もとへ戻すことができなくなります。

がんの発生に関与する要因


突然変異

「がんの発生メカニズム」の項で述べたように、悪性腫瘍(がん)は、細胞のDNAの特定部位にいくつかの突然変異が重なって発生する。

突然変異が生じるメカニズムは多様であり、全てが知られているわけではない。突然変異は、通常の細胞分裂に伴ってしばしば生じていることも知られており、偶発的に癌遺伝子の変異が起こることもありうる。

それ以外に、発癌の確率(すなわち遺伝子の変異の確率)を高めるものとして、放射線ウイルス、化学物質、環境因子などの要因もいくつか明らかになっている。

遺伝的原因

大部分のがんは偶発的であり、特定遺伝子の遺伝的な欠損や変異によるものではない。しかし遺伝的要素を持ちあわせる、いくつかのがん症候群が存在する

例えば、女性のBRCA1遺伝子がもたらす、乳がんあるいは子宮がん
多発性内分泌腺腫 (multiple endocrine neoplasia) - 遺伝子MEN types 1, 2a, 2bによる種々の内分泌腺の腫瘍
p53遺伝子の変異により発症するLi-Fraumeni症候群 (Li-Fraumeni syndrome) (骨肉腫、乳がん、軟組織肉腫、脳腫瘍など種々の腫瘍を起す)
(脳腫瘍や大腸ポリポーシスを起す) Turcot症候群 (Turcot syndrome)
若年期に大腸がんを発症する、APC遺伝子の変異が遺伝した家族性大腸腺腫症 (Familial adenomatous polyposis)

病原微生物

一部の悪性腫瘍(がん)については、ウイルスや細菌による感染が、がん発生の重要な原因であることが判明している。現在、因果関係が疑われているものまで含めると以下の通り。

子宮頸部扁平上皮癌 - ヒトパピローマウイルス16型、18型(HPV-16, 18)
バーキットリンパ腫 - EBウイルス (EBV)
成人T細胞白血病 - ヒトTリンパ球好性ウイルス
肝細胞癌 - B型肝炎ウイルス (HBV)、C型肝炎ウイルス (HCV) (疑い)
カポジ肉腫 - カポシ肉腫関連ヘルペスウイルス (KSHV)
胃癌および胃MALTリンパ腫 - ヘリコバクター・ピロリ (疑い)
なお、癌に関与するウイルスは腫瘍ウイルスの項に詳しい。

これらの病原微生物によってがんが発生する機構はさまざまである。ヒトパピローマウイルスやEBウイルス、ヒトTリンパ球好性ウイルスなどの場合、ウイルスの持つウイルスがん遺伝子の働きによって、細胞の増殖が亢進したり、p53遺伝子やRB遺伝子の機能が抑制されることで細胞ががん化に向かう。

肝炎ウイルスやヘリコバクター・ピロリでは、これらの微生物感染によって肝炎や胃炎などの炎症が頻発した結果、がんの発生リスクが増大すると考えられている。またレトロウイルスの遺伝子が正常な宿主細胞の遺伝子に組み込まれる過程で、宿主の持つがん抑制遺伝子が欠損することがあることも知られている。ただしこれらの病原微生物による感染も多段階発癌の1ステップであり、それ単独のみでは癌が発生するには至らないと考えられている。


 

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