バニラとは何か
単にアイスクリームというと、まずまちがいなくバニラアイスクリームである。ところでバニラとは何だろうか?
バニラ(vanilla,)とはラン科バニラ属の蔓性植物、あるいはその植物から抽出された香料の名前である。原産はメキシコか、中央アメリカと言われる。栽培は熱帯や亜熱帯地域。冬期に高い温度を必要とすることと、大きな株にならなければ開花しないこともあり、日本で開花・結実させるのは難しい。
収穫しても豆(種子鞘)には香りはない。ここから発酵・乾燥を繰り返すキュアリングを行う事によって初めて独特の甘い香りがするようになる。このように手間暇がかかるため、バニラ・ビーンズは非常に高価(一本数百円)になる。このため、人工的にバニラの香り(バニリン)を化学合成する方法が研究されている。

「人々を楽しませ、考えさせる研究」に贈られる「イグ・ノーベル賞」に今年、日本人女性研究者が選ばれた。受賞理由は「牛糞からバニラの香り抽出」である。バニラの香り成分をバニリンと呼ぶが、牛糞にバニリンがあったとは驚きだ。
どうやら、植物繊維の構成成分「リグニン」が発酵してバニリンができたようだ。牛糞もバニラ成分も「有機物」であるから、理論的には有り得る話である。牛糞の臭いをかぐ女性研究者を想像すると笑える。
これも牛糞の有効利用法の1つになるのだろうか。表彰会場ではおいしい「牛糞のバニラアイス」が振る舞われた。それにしてもバニリンはどうやってできるのだろう?今日はバニラとは何かを調べてみたい。
イグ・ノーベル賞に日本人女性 牛糞からバニラ成分抽出
イグ・ノーベル賞はハーバード大系のユーモア科学誌が1991年に創設し、毎年10部門前後に贈られる。日本人が関係する受賞は12件目となる。
AFP通信によると、山本さんは「最初はジョークかと思ったが、自分の研究を広く知ってもらいたくて授賞式にきた」と語った。
過去の日本人がらみの受賞は、カラオケの発明(平和賞)や「たまごっち」の開発(経済学賞)などがある。今年の他部門は、ベッドにいるダニ、バクテリア、カビなどの生物を全数調査したオランダのチーム(生物学賞)、ハムスターの時差ぼけ解消にバイアグラが有効だと発見したアルゼンチンのチーム(航空賞)など。(asahi.com 2007年10月05日)
バニリンとは何か?
天然のバニラは数百種類の化合物から成る非常に複雑な混合物であるが、バニラ特有の風味や香味の元となる化合物は主にバニリン (vanillin) である。一番よく利用されるのは、アイスクリームであろう。単にアイスクリームという場合は、まず間違いなくバニラアイスクリームのことを指す。ケーキなどの洋菓子の香りつけにも利用される。またコーヒー、ココア、ワインなどにも入れられる。
バニラは、コロンブス以前の中央アメリカで用いられていた香味料であり、スペインの征服者によってヨーロッパへと持ち帰られた。古代メキシコ以来、19世紀中頃にフランス人の栽培者が、彼らの知っていた花の人工授精の方法の知識と、トトナコ族のバニラ・ビーンズの製法の知識を交換するまで、トトナコ族の人々が最良のバニラの生産者とされていた。
天然物中にはバニラ、安息香、ペルーバルサム、チョウジ(クローブ)の精油などに含有されている。収穫されたばかりのバニラ豆中には、配糖体であるグルコバニリンの形で存在しており、キュアリングと呼ばれる工程を経ることで加水分解されてバニリンが遊離し、バニラ特有の香気が発現する。バニリンの量が多いときにはバニラ豆の表面に白い結晶として析出する。1858年にこの結晶物質の構造決定がなされ、バニリンの名が与えられた。
バニリンの化学合成法
バニラ・ビーンズは非常に高価なため、その香り主成分の合成には長い間興味が持たれていた。最初の工業的合成は、より簡単に得られる天然物のオイゲロールを出発物質としていた。
これをイソオイゲロールへと異性化させ、次に酸化することによりバニリンが得られる。現在では、ライマー・チーマン反応によるグアイアコールの合成を含む工程や、紙工業の副生物として得られる木材の構成成分、リグニンの発酵によって作られている。リグニンを原料とする人工バニラの香りは、バニラエクストラクトよりも豊かな香りを持つとされる。
最初の合成は、1874年にヴィルヘルム・ハーマン、フェルディナント・ティーマン、カール・ライマーらによりコニフェリンを原料に行なわれた。 これによりバニリンの工業的な生産が可能となり、彼らによってそのための香料会社ハーマンアンドライマー社(現シムライズ社)がドイツのホルツミンデンに設立された。
現在ではより効率的な4つの合成法が開発されている。サフロールバニリン、オイゲノールバニリン、グアヤコールバニリンの3つの合成法の基礎的な部分の開発を行なったのもティーマンらである。もうひとつはリグニンバニリン合成法である。

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