私たちは自分の体のことをどのくらい知っているのだろうか?今日は気分がよい気分が悪いとか、好きか嫌いかぐらいで判断しているが、こうしている間も心臓は動き、呼吸をする。栄養分を消化・吸収し、体温を維持し、免疫系は外敵から身を守っている。
これらのことは、ほとんど無意識で行われている。すごいことだと思う。無意識であるがゆえになぜなのかあまり気にもとめていないが、そのしくみはまだまだ解明されていないことが多い。
今から5億年前、地球の大気に酸素が増え、オゾン層ができ有害な紫外線が地表に届かないようになると、それまで水中で生活していた生物が、陸上に進出してきたはじめは植物から、そして4億年前には動物が手足を身につけ陸上に上陸した。両生類の誕生である。両生類は皮膚が薄く、すぐに水が恋しくなった。皮膚から水分が蒸発したからである。
長い進化の過程で、皮膚は乾燥に耐えるようになっていったが、それでもカラカラに乾燥しては表面から細胞が死んでしまう。皮膚の細胞にも水分が必要である。どの生物も体のすみずみに水分を運ぶしくみを持っている。当たり前のことであるが、なぜ水分が体中にいきわたるかわかっていなかった。
細胞膜は脂質でできており、水は通さない。おそらく膜蛋白で水だけを通過させる水チャンネルが存在するに違いないと100年前から考えられていた。
アメリカのピーター・アグレは赤血球の研究者であり、1992年、赤血球の膜蛋白の研究をしている時に未知の蛋白が大量に存在することに気づいた。その蛋白質をアフリカツメガエルの卵に付着させると卵は水を吸ってポップコーンのようにはじけた。アクアポリン(AQP1)の発見の瞬間であった。
現在水の通過路であるアクアポリンは、細菌から哺乳類まで普遍的に存在しており、哺乳類には13種類のアクアポリンが確認されている。水を求めて移動できない植物には30種類以上のアクアポリンが見つかっている。
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体をうるおす謎の穴「アクアポリン」
人間の体の6割以上を占める『水』。しかし細胞は水をはじく脂質でできた細胞膜で覆われているため、 一体どのように細胞内に水が出入りするのか、長い間謎に包まれてきた。 ところが、アメリカ人研究者が赤血球の膜から偶然発見した「アクアポリン」というタンパク質によって、その謎の扉が開けられた。
アクアポリンは「水の穴」という意味。このタンパク質が細胞膜にごく小さな穴をあけ、水分子を1秒間に数十億個も通過させることで、 細胞の中に水だけを選択的に出し入れすることができるのだ。発見者はこの功績が認められ、2003年のノーベル化学賞を受賞している。
その後、京都大学の藤吉好則教授らは超低温で観察する特殊な電子顕微鏡を使うことによって、驚くべき巧妙な形に作り上げられたアクアポリンの構造を明らかにし、 水だけを通すしくみが解明されつつある。
人間の体では、腎臓、消化管、目、皮膚、脳など、体中の細胞からアクアポリンが見つかっている。 例えば、肌の潤いが保たれているのも、皮膚の細胞に大量のアクアポリンがあるからだ。しかし、そのアクアポリンの働きに異常が生じると、 様々な病気につながることもわかってきた。慶応義塾大学では、アクアポリンの異常によってドライアイになることをつきとめ、 それを改善する医薬品の開発に取り組んでいる。
また名古屋市立大学では、ケガや病気で脳細胞がダメージを受けたときに脳がむくむ、 「脳浮腫」とアクアポリンの関連を調べ、新しい治療法につなげようとしている。
注目を集める「アクアポリン」、その研究最前線に迫る。 (出典:NHKサイエンスZERO 2007.11.10)
みずみずしい体のしくみ 水の通り道「アクアポリン」の働きと病気―2005第19回「大学と科学」公開シンポジウム講演収録集 佐々木 成 クバプロ このアイテムの詳細を見る |
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