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南極観測船「しらせ」が最後の航海(25回目の南極航海)に出発した。南極観測ではさまざまな地球の不思議を観測、発見し私たちに夢と感動を与えてくれる。観測史上初めて南極で起きた皆既日食が全国中継されたことも記憶に新しい。

そのほかにもオゾンホール、多数の隕石の発見、南極にまでおよんだ環境汚染、オーロラ、南極の氷床コアによる地球の歴史、地球温暖化の観測、多種多様な動物たち、極低温の世界、恐竜の化石...など重要な観測・研究が行われている。

「しらせ」の後継船も「しらせ」という名称になることが決まった。現行の「しらせ」は引退すると、大型のため維持・展示には費用がかかり、また自衛艦のため輸出も難しいのでスクラップにされてしまうという。残念な話である。

 

「しらせ」とは何か?


「しらせ」は海上自衛隊が保有する砕氷艦。艦番号AGB-5002。南極観測に利用されている。ましゅう型補給艦が竣工するまでは海自最大の自衛艦だった。

3ノットで1.5m厚の氷を連続砕氷できる能力を持っている海上自衛隊の砕氷艦(自衛艦の一つ)であり、乗員もすべて海上自衛官である。所属は横須賀地方隊、母港は横須賀。

砕氷艦の特徴である幅のある艦体であり、1本煙突である。氷海での監視用に、マスト上に見張りポストがある。貨物積み下ろし用のクレーンを前甲板に2基、後部に2基装備している。また、艦体後部にヘリコプター甲板と格納庫を備える。

氷海を航行するので通常の艦船にある、ビルジキール(ローリング防止のひれ)が装備されていない。 乗組員居住区と観測隊員居住区は、厨房をはさんで分離されている。観測隊員居室は基本的に2人部屋で、観測隊長室、同副隊長室は個室である。このほか、4人部屋のオブザーバー室、研究室、ラジオゾンデ放球室がある。海賊防止用に自動小銃が装備されている。

「しらせ」名前の由来


「しらせ」という艦名は一般公募されたもので、一般的な認識としては日本人として初の南極探検を行った白瀬矗帝国陸軍中尉にちなんでつけられたものと考えられているようである。

しかし自衛艦の名称は地名を使うことが法定されているので、海上自衛隊では「白瀬氷河」にちなむものとされている。(「海上自衛隊の使用する船舶の区分等及び名称等を付与する標準を定める訓令」別表第2自衛艦の名称等を付与する標準を参照)。

引退する「しらせ」


進水から20年以上経過し老朽化が進んでいる。その為、近年艦齢延長工事の必要性が多方面から訴えられて来た。しかし、日本政府の財政難で新造、改修のどちらも見送られかねない状況にあり、これまで継続してきた日本の極地観測の歴史の終焉が危惧される状況がしばらく続いた。しかし、2006年(平成18年)にユニバーサル造船舞鶴事業所においてしらせ後継船が建造されることが決まった(2007年起工、2009年5月完成予定)。

砕氷船とは?
砕氷船(さいひょうせん)は、海面の氷を割りながら進む船。南氷洋や北極海など氷山、流氷で覆われた海域を航行するために専用に設計されている。

砕氷船の特徴としては頑丈な船体と氷に乗り上げて割るのに適した丸みを帯びた船首や幅広な船形、氷の圧力を下方へ逃がすための船底の特殊な形状、そして強力なエンジンを持つのが一般的である。大型船では電気推進が多いのも特徴的だが、これは内燃機関や蒸気タービンよりも電動機の方が低回転数時の発生トルクが大きく、負荷特性上過負荷に強いためである。また氷と船体の摩擦を軽減するため、特殊な塗料を使ったり、船体から空気を吹き出す装置を装備したりすることがある。

特に極地探査用などの本格的なものは船体を前後左右(ピッチング・ローリング)に傾け氷に乗り上げ重量で割る機能も持つ。船体を傾ける方法としては、燃料タンクを前後左右に分散しその間の燃料の移動で行うというものが多い

砕氷船の多くは軍用、あるいは探査用であるが、一般の商船や観光用のものもある。(出典:Wikipedia)

関連するニュース
4万キロの最後の旅へ 「しらせ」が出航


南極観測船「しらせ」(基準排水量1万1600トン)は14日正午、東京・晴海埠頭(ふとう)から最後の航海に出発した。来年4月、約4万キロの旅を終えて帰国すると退役となる。観測隊や乗員のOBらが多数詰めかけ、別れを惜しんだ。

保存が絶望的になった南極観測船「しらせ」。最後の国内就航で10月、名古屋港に立ち寄った。
 
3代目の観測船として、83年以来、24回の南極航海で約119万キロ、地球30周分を走った。初代「宗谷」や2代目「ふじ」は氷海に閉じ込められて動けなくなることもあったが、世界屈指の砕氷力を持つ「しらせ」が昭和基地に接岸できなかったのは1度だけで、氷海中の豪州の観測船を救出したこともあった。

輸送力向上で、基地での大型施設建設や、半世紀におよぶ南極観測でたまった大量のごみの持ち帰りなどに貢献した。

これまでの観測船と同様、退役後は保存が望まれていたが、巨額の維持費を工面できるところがみつからず、保存は絶望的だ。

名前を引き継ぐことになった新観測船の就航は再来年のため、来年出発の50次隊は豪州の民間砕氷船「オーロラ・オーストラリス」を使う。(asahi.com 2007年11月14日)
 

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