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京都大学再生医科学研究所の山中伸弥教授(45)らが、ついに人の体細胞から人の万能細胞(人工万能細胞:iPS細胞)をつくり出すことに成功した。

万能細胞というとES細胞が有名だが、ES細胞は人の卵子から取り出さねばならず、倫理的な問題から制約が多かった。

山中教授は昨年、マウスの皮膚細胞に遺伝子操作を加え、ES細胞に似た性質を持たせることに世界で初めて成功していた。卵子を使わず、体細胞だけから万能細胞をつくれる可能性を示していた。

それが今回、はやくも人への応用が成功した。実際に医療現場で使われるのもそう遠くはないかもしれない。すばらしい研究成果である。

一方、羊のドリーを誕生させた英国のイアン・ウィルムット博士が、ヒトクローン胚(はい)研究を断念する方針を決めた。

博士は卵細胞の核を取りのぞき体細胞の核を移植するホノルル法という技術を使って、多くのクローン動物を誕生させたり、ES細胞を取り出す研究を行っていたが、ヒトの卵細胞を使う「クローン」には倫理的な問題があり、制約が多く研究が進んでいなかった。

京都大の山中伸弥教授らが研究している手法の方が、治療用の万能細胞づくりには有望だと判断したためだという。クローン研究のパイオニアの方針転換は、世界の研究者に衝撃を与えた。

山中教授らは皮膚細胞の万能性に関係する遺伝子を4つ組み換えることで、万能細胞(iPS細胞)に変化させる研究を行っており、卵細胞を使っていないので倫理的な問題はない。

米ウィスコンシン大も同様の研究を行っており、米科学誌サイエンス(電子版)に成果を発表する。やはり遺伝子を四つ使うが二つは別の遺伝子。新生児の皮膚細胞からiPS細胞をつくった。(参考HP Wikipedia)

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人間の皮膚から万能細胞、再生医療に現実味 京大教授ら


皮膚細胞などを使って別の臓器の細胞になる能力を備えた人の万能細胞(人工多能性幹細胞=iPS細胞)をつくることに、京都大学再生医科学研究所の山中伸弥教授(45)らが世界で初めて成功した。人の体細胞から万能細胞ができたことで、倫理上の問題があった受精卵を使わずに済む。病気や事故で臓器や組織が損なわれても、万能細胞をもとに臓器や組織をつくって補う再生医療が現実味を帯びてきた。米科学誌セル(電子版)に21日、発表する。

代表的な万能細胞には、胚(はい)性幹(ES)細胞があるが、生命の芽生えである受精卵を壊すため批判があった。山中教授と高橋和利助教らは昨年8月、マウスの皮膚細胞に特定の四つの遺伝子を組み込んでiPS細胞をつくるという従来とはまったく違う手法を確立。受精卵を壊さないので倫理的な問題が避けられるため、世界の注目を一気に集めた。

今回は、成人の顔の皮膚の細胞や関節にある細胞に、ほぼ同じ手法を導入した。ES細胞の培養で用いる増殖因子を加えたり、マウスより長く培養したりして人間のiPS細胞をつくるのに成功した。この細胞が、神経細胞や心筋細胞、軟骨などへ分化し、臓器のもとになることも確認したという。

iPS細胞から思い通りの臓器や組織をつくる技術が確立すれば、自分の細胞であるため拒絶反応も避けられる。たとえば、インスリンを出す膵臓(すいぞう)の細胞なら糖尿病に、心筋細胞なら心筋梗塞(こうそく)に、神経細胞は脊髄(せきずい)損傷にといったように、従来、回復が難しいといわれた病気やけがの治療に使える可能性がある。

山中教授は「まだ少し時間がかかるが、狙った細胞に効率よく分化させたり、安全性を高めたりして再生医療に向けた臨床応用につなげたい」と話している。

競争相手の米ウィスコンシン大も同日、米科学誌サイエンス(電子版)に同様の成果を発表する。やはり遺伝子を四つ使うが二つは別の遺伝子。新生児の皮膚細胞からiPS細胞をつくった。( asahi.com 2007年11月21日 )
 

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