風邪の症状を引き起こす病原体には様々な種類がある。どんなものが病原体だろうか?
そう、風邪の80〜90%はウイルス感染によるものである。10〜20%がマイコプラズマ、クラミジア、細菌感染による。よく「風邪に抗生物質は効かない」というが、なぜだろうか?
抗生物質のほとんどは細菌に効くものである。ほとんどの風邪の原因がウイルスなので抗生物質は効かないとされている。ところで、風邪の10〜20%の原因とされるマイコプラズマ、クラミジアはどんなものなのだろうか?これには抗生物質は効かないのだろうか?
マイコプラズマやクラミジアは細菌のなかまである。だから有効な抗生物質はあるのだが一般の細菌よりも小さい、ちょっと変わったウイルスと細菌との中間に位置する細菌だ。
マイコプラズマは細胞壁がなく、そのため体が柔らかい。大きさもウイルス並みに小さく顕微鏡では発見されにくい。そのため蛍光抗体法などで確認する。
クラジミアも細菌よりも小さく、自分でエネルギーをつくれず、宿主である細胞に寄生することによってエネルギーを得ている。
マイコプラズマはこのように小さい生物なので、ひょうたんのような形や数百本の足があることはわかっていたが、内部構造がよくわかっていなかった。
今回、大阪市立大の宮田真人教授(生物物理学)の研究グループによって、マイコプラズマの細胞内に、クラゲのような形をしたたんぱく質の“骨組み”があることが分かった。マイコプラズマの「足」の動きを止めて病原性をなくす薬の開発につながる可能性があるという。(参考HP Wikipedia・横浜市衛生研究所)
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マイコプラズマ:細胞にクラゲ構造の“骨組み”発見 大阪
細菌の一種で肺炎などを起こすマイコプラズマの細胞内に、クラゲのような形をしたたんぱく質の“骨組み”があることが分かった。発見した大阪市立大の宮田真人教授(生物物理学)の研究グループによると、マイコプラズマに数百本ある「足」の動きを止めて病原性をなくす薬の開発につながる可能性があるという。研究成果は近く、米科学誌「米国科学アカデミー紀要」のオンライン版に掲載される。
マイコプラズマは長さ約1万分の10ミリの病原体で、ひょうたんに似た形をしている。人間や魚などの気管やえらの細胞に生えた繊毛の先端に取り付き、繊毛の根元まで移動して病気を起こす。
宮田教授らは魚のマイコプラズマを使い、表面の細胞膜を薬品で溶かし、電子顕微鏡で内部を観察した。その結果、直径約1万分の2ミリのかさ状のたんぱく質に、約20本のひも状のたんぱく質が取り付き、クラゲに似た形を作っていた。
マイコプラズマは、ひょうたん形のくびれ部分に数百本生えた「足」を使って動くことが、宮田教授らのこれまでの研究で知られていた。しかし足を支えるマイコプラズマ内部の様子は不明だった。宮田教授は「クラゲ構造は、マイコプラズマを内部から支えるフレームだ。この構造には、体外に数百本ある足一本一本を、タイミングを合わせて動かす役目もあるのではないか」と話している。(毎日新聞 2007年11月20日)
マイコプラズマとは?
マイコプラズマ肺炎の病原体となる細菌。このマイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae )の感染は、しばしば非定型肺炎と呼ばれる。マイコプラズマは、ウイルスなみに小さい。マイコプラズマは、細菌に見られる細胞壁を持たず、そのため形が整っていない。
マイコプラズマは、ウイルスのように他の生物の細胞の力を借りて増殖するのではなく、細菌と同様に自分の力で増殖する。マイコプラズマは、ウイルスと細菌との中間に位置する微生物である。
マイコプラズマに対する抗体検査によって、マイコプラズマの感染の実態が明らかになる。1歳の誕生日までに40%、5歳までに65%のこどもが、大人までには97%がマイコプラズマの感染を受ける。
マイコプラズマ肺炎とは?
マイコプラズマ肺炎がだんだんと認識された出したのは1930年代からのことでした。当時よく見られた肺炎球菌による肺炎とは、明らかに違った種類の肺炎であるということから、非定型肺炎(atypical pneumonia )と呼ばれる。
マイコプラズマ肺炎はひどい咳を伴い、患者の気道の分泌物中にマイコプラズマが出てきて飛沫感染する。
有効な抗生物質(エリスロマイシンやテトラサイクリンなど)がある。アメリカ合衆国では、マイコプラズマ肺炎のことを「歩く肺炎(walking pneumonia)」と呼ぶことがある。それは、肺炎の中では症状が軽く、入院を必要としない場合が多いからだ。
マイコプラズマ感染症となったこどもの25%が、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状を起こす。また、耳の痛みを訴える者もいて、中耳炎・鼓膜炎などの耳の炎症を起こしている場合がある。また、筋肉痛・関節痛・発疹などが出現する場合もある。
細菌に見られる細胞壁を持たないために、細菌の細胞壁の合成を邪魔することによって効く種類の抗生物質(たとえば、ペニシリン)は無効 。
予防する方法は?
マイコプラズマ肺炎に対するワクチン(予防接種)は今のところない。 人ごみはできるだけ避ける。飛沫接触感染するので、外出したら手洗い、うがいは欠かせない。
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