現存する古生代の魚類
 福島県いわき市の海洋科学館「アクアマリンふくしま」にはインドネシア産シーラカンスの標本が展示されている(2007.12.1〜2008.3.2)。

 シーラカンスはコモロ諸島や、インドネシア・スラウェシ島で現存する深海魚(水深150〜700mに生息)である。発見は1938年12月22日コモロ諸島から3000km離れた南アフリカ南東部のインド洋のカルムナ川河口付近で捕獲された。

 シーラカンスの仲間は当時化石ではよく知られていて、古生代デヴォン紀中期から出現したことが判明していた。その後中生代白亜紀以降の化石記録が無く、恐竜らとともに白亜紀末の大絶滅で絶滅したと思われていた。

 このため1938年の発見は世紀の大発見となった。発見者のラティマーと魚類学者スミスらは100ポンドの懸賞金を掛けた手配書を配って第2の標本を探し求めた。しかし次の標本が発見されたのは14年後、3000kmも離れたコモロ諸島アンジュアン島であった。

 発見者のラティマー(Latimer)と発見場所カルムナ川(Chalumna River)はシーラカンスの学名 Latimeria chalumnae に残されている。

シーラカンスは多くの化石種が知られているが、8千万年前を境に化石が途絶え、1938年まで現生種が発見されなかったこと、および化石種と現生種の間で形態的な差異がほとんど見られないことから、シーラカンスは「生きている化石」とよばれている。

 世界に2体のインドネシアシーラカンス標本、いわきで公開

 日本で初公開されたインドネシアシーラカンスの標本(福島県いわき市のいわき明星大学で) 世界に2体しかないインドネシアシーラカンスの標本が24日、インドネシア国外では初めて、福島県いわき市内で行われた国際シンポジウムで公開された。

 体長1メートル27、重さ51キロのメス。インドネシア・スラウェシ島周辺で5月に捕獲された。現地でシーラカンスの生息域調査に協力した海洋科学館「アクアマリンふくしま」(いわき市)に対し、北スラウェシ州から貸し出された。

 捕獲後すぐにホルマリン処理されたため、青黒い表皮などの保存状態が良い。12月には同館で一般公開される予定。
(2007年11月24日 読売新聞)

 シーラカンスとは?

 シーラカンス(英名:Coelacanth)は肉鰭綱シーラカンス亜綱シーラカンス目に属する魚類の総称。またはシーラカンス目ラティメリア科ラティメリア属の現生種で最初に発見された Latimeria chalumnae の和名。現生種としては Latimeria chalumnae とLatimeria menadoensis の2種が知られる。

 体長1〜2m。深度150〜700mに生息する深海魚である。水温・水圧の変化に弱い。

 古生代と中生代のシーラカンスは、浅い海や淡水域に広く分布していたらしい。体型、体長もさまざまなものが知られ、現生のシーラカンスに近い体型のものから、タイのように体高が高く、扁平な体をしたものもいた。また、復元された全長が3mに達する巨大な種も知られている。

 コモロ諸島周辺では『使えない魚』という意味で「ゴンベッサ」と呼ばれていたが、その価値が明らかになり高値で取引されるようになった現在では、「ゴンベッサ」は『幸運を呼ぶ魚』という意味になっている。

 シーラカンスの肉には、ワックスが入っており、沢山食べると腹を下す。日本の魚類学者である末広恭雄によれば、肉は味が無く、歯ブラシのようで水っぽくて不味いらしい。


 シーラカンスの発見

 1938年12月22日、南アフリカのイーストロンドンの博物館員であるマージョリー・コートニー=ラティマー(Marjorie Courtenay-Latimer、女性)が、南アフリカ南東部のインド洋のカルムナ川河口付近で漁をしていた漁船の獲物の山の中に、見慣れない魚を見つけた。

どの文献に当たってもその魚の正体が判らなかったラティマーは、知り合いの魚類学者ジェームズ・レナード・ブライアリー・スミス(James Leonard Brierley Smith)にその魚のスケッチを送り、助言を求めた。そのスケッチは簡単に描かれた物であったにもかかわらず、白亜紀末に恐竜とともに絶滅したはずのシーラカンスの特徴がはっきりと描き込まれていた。

 最初の標本は腐敗のため、頭と剥製用の皮膚しか保存することができなかったので、スミスたちは100ポンドの懸賞金を掛けた手配書を配って第2の標本を探し求めた。しかし次の標本が発見されたのは14年後であった。しかも発見されたのは最初の発見地から3,000km近く離れたコモロ諸島のアンジュアン島であった。

 一刻も早く現地に飛ぶため、南アフリカ首相D・F・マランに特別機を仕立ててもらったスミスは、今回は軟組織も保存された現生のシーラカンスに出会えた。その標本には第1背鰭が無かったのでスミスは Latimeria 属とは別属と考え、特別機を出してくれた首相に献名して Malania anjounae と名付けた。

 しかし、後に Malania anjounae の第1背鰭は幼魚時代に事故で失われた物だとわかり、コモロ諸島のシーラカンスも Latimeria chalumnae であるとされた。その後、コモロ諸島周辺で200尾以上が捕獲されているが、南アフリカ沿岸ではほとんど採取されないため、最初の標本はたまたま南アフリカ近海に迷い込んだ物と見られている。

 1997年、インドネシアのスラウェシ島において同じラティメリア属の別種が発見され Latimeria menadoensis と命名された。L. chalumnae と L. menadoensis の形態的差異は鱗表面の色彩のみとされている。最新のDNA分析では、2種の分岐が3千万から4千万年前まで遡ることが示唆されている(Inoue et al. 2005)。

 2006年5月30日(現地時間8:39)には、インドネシアのスラウェシ島沖において、福島県いわき市にあるアクアマリンふくしまのシーラカンス調査隊が生きたインドネシアシーラカンスの撮影に成功している。(グリーンアイプロジェクト)(出典:Wikipedia)
 

シーラカンスの謎
キース・S. トムソン,Keith S. Thomson,清水 長
河出書房新社

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シーラカンスの打ちあけ話―生きものたちの生態と進化
渡辺 政隆,下谷 二助
廣済堂出版

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