なぜ、ウェゲナーの大陸移動説は受け入られなかったのだろうか?当時の人には大陸が動くこと自体が考えられないことであり、さらにヴェーゲナーの大陸移動説では、大陸が移動する原動力を地球の自転による遠心力と潮汐力に求め、その結果赤道方向と西方へ動くものとしており、この説明には無理があった。
この大陸移動の原動力についての問題を解決したのが、地球内部の熱対流に求めた1929年のアーサー・ホームズ(Arthur Holmes)によって発表されたマントル対流説である。その後1960年代にロバート・ディーツ(Robert S. Dietz)が海洋底拡大説を唱え、それら全てをまとめたテュゾー・ウィルソン(John Tuzo Wilson)によって、1968年プレートテクトニクスとして完成した。
プレートテクトニクスのすばらしいところは、大陸移動だけでなく、造山運動、火山活動、断層、地震など、ほとんどすべての地殻変動の説明ができるところである。
なぜ地震が起きるか?なぜ火山が噴火するか?なぜ海溝ができるか?なぜエベレストはあれほど高くなるか?なぜエベレストの頂上付近でアンモナイトなどの化石が出土するのか?今日はすべての地殻変動の謎を解くプレートテクトニクスを調べたい。
プレートテクトニクスとは?
プレートテクトニクス(plate tectonics)は、プレート理論ともいい、1960年代後半以降に発展した地球科学の学説。地球の表面が下図に示したような何枚かの固い岩板(プレートと呼ぶ)で構成されており、このプレートが対流するマントルに乗って互いに動いていると説明される。
プレートの正体は?
地殻と上部マントル上端の固い部分を合わせてリソスフェア(岩石圏)と呼び、これがプレートの正体である。その下の流動性のある部分をアセノスフェア(岩流圏)と呼んで分類する。この厚さ100kmほどの固いリソスフェアが地表を覆っているわけであるが、リソスフェアはいくつかの「プレート」という巨大な板に分かれている。
プレートはその下にあるアセノスフェアの動きに乗っておのおの固有な運動を行っている。アセノスフェアを含むマントルは定常的に対流しており、一定の場所で上昇・移動・沈降している。プレートはその動きに乗って移動しているが、プレート境界部では造山運動、火山、断層、地震等の種々の地殻変動が発生している。プレートテクトニクスはこれらの現象に明確な説明を与えた。
海嶺の正体:発散型プレート
マントルの上昇部に相当し、上の冒頭図では太平洋東部や大西洋中央を南北に走る境界線に相当する。この境界部は毎年数cmずつ左右に拡大している。開いた割れ目には地下から玄武岩質マグマが供給され新しく地殻が作られている。この部分は海洋底からかなり盛り上がっており、(中央)海嶺と呼ばれている。また、その付近にはチムニーと呼ばれる熱水の噴出し口も多数見つかっている。
発散型境界は、(中央)海嶺が有名だが、陸上にも存在する。アフリカの大地溝帯やアイスランドなどが知られている。双方とも大規模な正断層が発達している。
海溝・地震・火山の正体:沈み込み型プレート
東北日本の東の海中では、約1億年前に太平洋東部で生まれた太平洋プレート(比重の大きい海洋プレート)が東北日本を載せた北アメリカプレート(比重の小さい大陸プレート)に衝突している。重い太平洋プレートは軽い北アメリカプレートにぶつかって、斜め下 40〜50°の角度で沈み込んでいる。プレートが衝突して沈み込む部分は海溝となり、衝突した岩盤が互いに動くことで地震が発生する。
地下深く沈んだ太平洋プレートから分離された水が周辺の高温岩石と反応して溶解させてマグマを発生し、多くの火山を生成する。太平洋プレートに衝突され押された北アメリカプレートは、圧縮応力を受けてひび割れたくさんの断層が発生し、北上山地などが生まれた。また、海嶺で作られて以来、長い時間をかけて海の底を移動してきたプレートには、チャート、石灰岩、砂岩、泥岩といった多くの堆積物が載っているため、プレートが沈み込む際に陸側のプレートに張り付く現象が起こることがある。これを付加と言い、そうしてできたものを付加体と呼ぶ。日本列島もこのようにしてできた部分が多い。
ヒマヤラの正体:衝突型プレート
現在でも活発で大規模な大陸衝突が起きているのはヒマラヤだけである。元来南極大陸と一緒だったインドプレートが分離・北上して、約4,500万年前にアジアプレートと衝突しそのままゆっくり北上を続けている。大陸プレート同士の衝突のため、日本近海のような一方的な沈み込みは生起せずインドプレートがユーラシアプレートの下に部分的にもぐりこみながら押し上げている。その結果8,000m級の高山が並ぶヒマラヤ山脈や高大なチベット高原が発達した。
規模は小さいながらも衝突運動が現在でも進行している地域としては、ニュージーランド(南島)や台湾が挙げられる。これらは世界で最も速く成長している山地であり、台湾の隆起速度は海岸線でも年間5mmを超える。日本においては、日高山脈や丹沢山地が衝突型造山帯である。特に丹沢山地は伊豆半島の衝突によって出来たものであり、この衝突過程は現在も進行中である(日高は活動を終えている)。
過去の大規模な大陸衝突の跡は多く見つかっている。有名なものは、ヨーロッパアルプス、アパラチア山脈、ウラル山脈などだろう。大陸衝突の過程には未知の部分が非常に多く残っている。その理由は、沈み込み型境界では、深部で発生する地震の位置から地下のプレート形状を推定できるのに対して、大陸衝突帯では深部で地震が発生しないからである。 (出典:Wikipedia)
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