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遺伝子組換え食品は人体に対する安全性が確認され、国に認可されれば、十分に安全であるといえる。ところが、一度認可された遺伝子組換えトウモロコシがフランスで栽培禁止となった。どういうことなのだろうか?

やっぱり遺伝子組換え作物は、人体に有害なのだろうか?

フランスで問題となったのは、米・モンサント社の遺伝子組換えトウモロコシ「MON810」。フランスの遺伝子組換えトウモロコシはこの種しかないから、もしこれがダメとなるとトウモロコシの遺伝子組換えは全面禁止と同意になる。

諮問委員会のルグラン委員長は「害虫、ミミズ、微生物への否定的影響を証明する事実が浮かんだ。また、花粉が予想を超え数百キロも飛んでいることへの懸念もある」と指摘している。

「MON810」は害虫の殺虫性に優れ収穫増が見込めるトウモロコシとして期待されている。素朴な疑問として、まず、アワノメイガが食べて死ぬトウモロコシをヒトが食べて大丈夫なのだろうか?次に、アワノメイガが食べて死ぬのならば、ふつうの虫も殺してしまい、生態系に重大な影響が出るのではないか?

同様に殺虫効果のある、米・シンジェンタ社が生産した遺伝子組換えトウモロコシBt11(デントコーン)を例にして調べてみた。その結果は次の通りである。

1.人体に対する影響
Btトウモロコシをアワノメイガなどの特定の昆虫が食べるとBtタンパク質により餓死する。これは虫の消化液がアルカリ性のためにBtタンパク質が完全に消化されず、残ったものがこれらの昆虫の腸管にある受容体に結合して、栄養素を吸収出来なくする為である。

これらの昆虫と違って消化液が酸性である人間やほ乳類は、Btタンパク質を他のタンパク質と同じようにアミノ酸にまで分解し、また、受容体を持っていないので、食べてもまったく害がない。消化器官の違いを上手に利用した遺伝子組み換え技術により、使用する農薬・殺虫剤の量は削減され、収穫量を増やすことができる。

2.他の昆虫に対する影響
遺伝子組み換えトウモロコシ(Btコーン)の花粉をまぶし、オオカバマダラの幼虫に与え、時間を追って生存率を調べたところ、遺伝子組み換えトウモロコシの花粉をまぶした葉を食べた幼虫は、時間とともに生存率が減少し、4日後には44%が死亡した。

たしかに他の昆虫にもBtトウモロコシの花粉は有毒であるが、花粉の飛散は3m離れれば数個〜20個/cm2程度となり、花粉の付着した葉を与えたところ、10個〜306個/cm2の花粉が付着した葉を食べると致死率20%となった。自然状態では、他の昆虫の存続に与える影響は無視できる」と結論づけられた。 ( 1995年5月20日の科学雑誌 Natureより )

果たして、遺伝子組換えトウモロコシ「MON810」の安全性はどうなのか?

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フランス:遺伝子組み換えトウモロコシを栽培禁止


フランス政府は9日、米・モンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシ「MON810」仏国内での栽培禁止を発表した。仏国内では2万ヘクタール以上で栽培されており、一部農民は裁判で禁止解除を訴える構えだ。

遺伝子組み換え作物に関する諮問委員会のルグラン委員長は「害虫、ミミズ、微生物への否定的影響を証明する事実が浮かんだ。また、花粉が予想を超え数百キロも飛んでいることへの懸念もある」と指摘している。

MON810は害虫の殺虫性に優れ収穫増が見込め、欧州連合(EU)が承認したことで数年前からフランスも導入。昨年はEU内でスペインの7万5000ヘクタールに次ぐ2万2000ヘクタールで栽培された。

仏トウモロコシ生産者組合によると、禁止命令がなければ今年は10万ヘクタールで栽培予定で、同組合は禁止命令による損害を1000万ユーロ(約15億6000万円)とし、一部組合員の提訴を示唆している。(毎日新聞 2008年2月10日)
 

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