
宇宙には一番多くあって、地球上にはほとんど存在しない物質は何だろう?
正解は「水素」である。宇宙空間には大量に存在し、この世で最も多い原子ながら、地球上では他の物質の方が多いため、「水素」は宇宙空間に押しやられ、ほとんど存在しない。たとえつくったとしても地球上では爆発の危険性もあるし、軽いのでどんどん逃げていき、保存するのが大変だ。
このため昔から燃えても水にしかならない「理想的なエネルギー」とされながら、単体である「水素」を燃料とするのは困難を極めた。これが水素自動車や燃料電池の開発・普及が遅れている大きな理由の一つであった。
そこで現在は天然ガス、都市ガス、LPGや、灯油、メタノール、ナフサ、ガソリンなどの化合物に含まれる水素を「改質」という方法で取り出す燃料電池が主流になっている。(2008年現在90%)
例えば水蒸気改質法や部分酸化法は広く実用化されており、触媒を充填した反応器の中で、天然ガスと水蒸気を反応させる過程で水素が発生する。
(水蒸気改質法)
(部分酸化法)
このようにしてできる「水素」により「燃料電池」は、飛躍的に発展した。
現在、燃料電池とコジェネレーションが一体になったシステムが注目されている。従来の発電は発電所と各家庭の距離が大きく、そのためエネルギーロスが大きかった。そこで各家庭に「燃料電池」による発電装置を設置。発生する排熱を利用しようと考えた。これが燃料電池コジェネレーションである。
燃料電池コジェネレーションの利点
排熱の有効利用
最近、焼却場の排熱を利用し、温水プールを運営したり、変電所で発生する排熱を利用することが考えられています。 これをコジェネレーションシステムといいます。
大規模な発電所においても、発電時に発生する排熱を、暖房や、給湯などの熱エネルギーとして転用し、投入された熱エネルギーをより有効に利用すればいいのですが、大規模な発電所の立地条件を考えた場合、遠隔地からパイプライン等でお湯(熱エネルギー)を送る事になり、実現性がありません。
そこで注目されているのが燃料電池です。燃料電池は、燃料を燃やさず発電するので、機械的な摺動部が少なく、音や振動がほとんどありません。機器の大きさは、CO2ヒートポンプ給湯器と同程度で、十分に家庭に設置することが可能です。
エネルギーロスが少ない
たとえば、火力発電所では、発電用のタービンを回すため、燃料(天然ガスや石油)を燃やし、水蒸気を発生させ、発電しています。発電された電気は、送電線を介して利用者へ電気として送られてきます。
発電するために投入された燃料(一次エネルギー)に対し、発電所で発生する排熱が、約60%程度あり、発電所からご家庭の間にある送電線や、変電所による送電ロスが、数パーセント発生するとされています。
この場合、ご家庭で10kWhのエネルギーが必要な場合、発電所では、約28.6kWhに相当するエネルギーを投入しなければなりません。
このように、大規模な火力発電所による発電は、発電に伴うNOXや、CO2の発生だけでなく、投入したエネルギーを効率よく活用できないという課題があります。
現在の家庭用燃料電池のエネルギー効率
2005年2月に、東京ガス株式会社から商品化された「家庭用燃料電池コージェネレーションシステム」は、定格で発電効率が約33%(HHV)。60℃以上の給湯温度の給湯効率が、約45%(HHV)です。
すなわち、燃料として投入したエネルギーに対し、約78%を電気や、お湯として家庭で使用できる高いエネルギー効率を持ち、燃料を燃やさないので、NOXが発生せず、投入される一次エネルギーの利用効率が高いため、CO2の排出が少なくなる家庭用発電システムになっています。
クリーンでエコなエネルギー
燃料電池は燃料を「燃やす」のでなく、水素を燃料にし、水素の電気的変化によりエネルギーを得るため、石油を燃焼する火力発電のようなNOXや、CO2の排出がありません。とてもクリーンなエネルギーです。
また、家庭に設置された燃料電池により発電をおこなう場合、電気エネルギーの送電ロスが少なくなるだけでなく、発電に伴う「熱」を家庭で効率よく利用でき、クリーンであるだけでなく、くらしの中で循環可能でエコなエネルギー源として注目されています。
今や生活に欠かせないエネルギーとなっている電気は、原子力、火力、水力など、大規模な発電所で発電され、送電線により個々の家庭に送られてきています。
「省エネ」への取り組みは、この送電線を介して送られてくる電気エネルギーの使用量を減らしたり、より有効に利用するものです。
家庭用燃料電池が、エコ・省エネに役立つことは間違いありません。
参考HP Panasonic 家庭燃料電池
→ http://panasonic.co.jp/appliance/FC/index.htm
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