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環境省の斉藤鉄夫環境相は9月11日、日本経団連の御手洗冨士夫会長ら首脳と会談し、地球温暖化対策の一環で二酸化炭素(CO2)排出源に幅広く課税する「環境税」の導入を訴えた。

しかし、御手洗会長は「世界一高い法人税を負担する中で、これ以上の負担はとても耐えられない」と述べ、同税に反対した。「環境税」とは最近よく聞くがどんなものだろうか?

環境税とは何か?
環境税は、地球温暖化防止のための有力な手法のひとつとして議論されている税金で、電気・ガスやガソリンなどのエネルギー資源に課税することで二酸化炭素の排出量に応じた負担をする仕組み。炭素税ともいう。

環境税の導入によって、まずガソリンや化石燃料を使って発電している電気などの値段が高くなる。次に、省エネ効果(省エネしようとする意識の変化)や価格インセンティブ効果(省エネ機器への投資や買換えを促進)、アナウンスメント効果(温暖化対策を促進)が期待されている。

一方で、環境税が地球温暖化対策全体の中で果たす役割や効果が明確ではない、 負担が家計・企業に広く及ぶ、景気回復の足かせや企業の国際競争力低下など経済への影響が懸念される、などの指摘もある。家電の買い換えも予算が必要であるし、なんといっても電気代、ガソリン代がまた上がるのを受け入れられる人は少ない。現時点では導入の難しい税制である。

環境税はいつ導入されるのか?
平成19年度に環境税を創設するという環境省の希望は見送られたが、環境税は検討課題の筆頭に位置付けられた。
 
「平成20年から京都議定書の第1約束期間が始まることを踏まえ検討する」という記述は、待ったなしの切迫感を持って環境税に取り組む、との意思が表明されたものと思われる。
 
また、「既存の税制との関係等に考慮を払いながら、総合的に検討する」という文言についても、来年行われる特別会計、特定財源改革の具体化、歳出歳入の一体改革の議論とあわせて環境税についてもしっかり検討を進める必要があるという趣旨。 

政府においては、2005年4月に閣議決定された京都議定書目標達成計画では、「真摯に総合的な検討を進めていくべき課題」とされており、これに沿って、政府全体としても検討を進めていくことになっている。

諸外国における導入状況
温室効果ガスを削減するという観点から、化石燃料やエネルギーに課税する環境税は、欧州諸国において、導入が進められている。

具体的には、1990年頃より、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマークといった北欧諸国やオランダで導入された。また、最近では、1999年に、ドイツとイタリア、2001年にはイギリスといった欧州主要国でも次々に導入されている。

これらの国々では、導入に当たり、それぞれの国の実情に応じた形で、税率や軽減措置、税収の使途等を定め、導入に至っている。

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斉藤鉄夫環境相は11日午前、東京都内のホテルで日本経団連の御手洗冨士夫会長ら首脳と会談し、地球温暖化対策の一環で二酸化炭素(CO2)排出源に幅広く課税する「環境税」の導入を訴えた。これに対し、御手洗会長は「世界一高い法人税を負担する中で、これ以上の負担はとても耐えられない」と述べ、同税に反対する姿勢を改めて示した。

環境相はまた、政府が10月からの試行を目指す排出量取引制度について、「排出量取引は世界の潮流で低炭素化を進める一つの重要な手段」と強調した。御手洗会長は「(投機的資金の流入などによる取引価格の高騰で)産業を破壊する可能性もある」と指摘し、慎重に制度設計を進めるよう要請した。(2008年9月11日 読売新聞)

参考HP Wikipedia「環境税」・環境省「環境税Q&A」 →http://www.env.go.jp/policy/tax/know/qa.html
 

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