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地球温暖化、燃料資源の枯渇・高騰に対処するため、「化学電池」同様「太陽電池」の開発にも期待が寄せられている。

前回のおさらいだが、太陽電池にはどのようなタイプがあっただろうか?

正解は、シリコン系化合物系そして有機系である。それぞれのタイプの太陽電池のエネルギー効率はどのくらいであろうか?

太陽電池のエネルギー効率
エネルギー効率はシリコン系が一番よく、実用化されているシリコン太陽電池では約18%である。前回は窒化ホウ素(BN)という化合物半導体を使った透明太陽電池の開発について述べたが、まだわずか2%程度。有機系では10.4%程度である。



新開発フレキシブルなCIGS太陽電池
産業技術総合研究所(以下産総研)太陽光発電研究センターの化合物薄膜チーム 仁木 栄 研究チーム長(副研究センター長)と石塚 尚吾 研究員は、帝人株式会社(以下帝人)の協力を得て、非シリコン系材料であるCIGS薄膜を用いたフレキシブル太陽電池をつくり。変換効率を17.7%と飛躍的に高める技術を開発した。

CIGS皮膜は銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなるカルコパイライト型と呼ばれる結晶構造をもつ半導体材料Cu(In,Ga)Se2の薄膜。この金属層に、ポリマーの基盤を組み合わせて、薄くて曲げやすくエネルギー効率の高いフレキシブルな太陽電池をつくる研究を進めていた。

CIGS光吸収層へのアルカリ添加
フレキシブルCIGS太陽電池の高効率化に必要とされる技術課題の一つに、CIGS光吸収層へのアルカリ添加の問題があった。ナトリウム(Na)などのアルカリ金属はCIGS太陽電池において、ホールキャリア密度の増加、開放電圧の増大など、性能向上に不可欠な不純物(ドーパント)として知られる。

産総研では、安定なアルカリ化合物であるケイ酸塩ガラス層(ASTL:Alkali-silicate glass thin layer)を基板上に形成し、この層の製膜条件の制御により、裏面電極層を通過してCIGS光吸収層に取り込まれる、アルカリ量を制御する技術を開発(以下「ASTL法」という)。この技術により再現性良く、しかも簡便にアルカリ添加を行うことができ、CIGS太陽電池のエネルギー変換効率の大幅な向上が実現した。

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フレキシブルなCIGS太陽電池で効率17.7%を達成
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独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)太陽光発電研究センター【研究センター長 近藤 道雄】化合物薄膜チーム 仁木 栄 研究チーム長(副研究センター長)と石塚 尚吾 研究員は、帝人株式会社(以下「帝人」という)の協力を得て、非シリコン系材料であるCIGS薄膜を用いたフレキシブル太陽電池のエネルギー変換効率を飛躍的に高める技術を開発した。この技術によりセラミックス、金属箔、ポリマーなど様々なフレキシブル基板を用いた高性能な太陽電池の作製に成功した。

銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなる半導体材料CIGSを用いた太陽電池は、光電変換層の厚さを数µmと薄くできる。この利点を活かし、曲面への設置や持ち運びが可能な、軽量でフレキシブルな太陽電池への応用が期待されている。これまでフレキシブルCIGS太陽電池の高性能化は困難であったが、今回、新しいアルカリ添加制御技術の開発、およびポリマー基板の新しいハンドリング技術の開発を行い、フレキシブルCIGS太陽電池のエネルギー変換効率を大幅に向上させた。

本研究成果は、2008年7月28日〜29日に日本科学未来館で開催される第4回産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター成果報告会、および9月1日〜5日にバレンシア(スペイン)で開催される第23回欧州太陽光発電国際会議(23rd European Photovoltaic Solar Energy Conference and Exhibition)で発表される。(2008年7月16日 産総研プレスリリース)

参考HP 産総研プレスリリース:フレキシブルなCIGS太陽電池で効率17.7%を達成

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