つい最近「青色LED」が開発されたと思ったら、今度は「深紫外線LED」が開発されたという。いったい「深紫外線LED」とはどんなものだろう?またどんな半導体が使われているのだろう?
太陽電池発電のしくみ
地球温暖化対策のため、効率のよい新エネルギーの開発競争が激しい。先日は「化学電池」や「太陽電池」の開発最前線についてお伝えした。
新型の「太陽電池」にはシール型太陽電池や透明型太陽電池など夢のあるタイプのものが開発されている。ところでこれらの太陽電池はどうやって発電しているのだろうか?
ここに使われているのが半導体である。シール型にはCIGS皮膜(Cu,In,Ga,Se)という半導体材料が使われているし、透明型には窒化ホウ素(BN)という半導体が使われている。こうした半導体にはp型とn型があり、これを接合することで大きな電位差を生じ発電する。
化合物半導体と発光ダイオード
半導体というと一昔前まではシリコン(Si)半導体が主流であったが、現在はそれ以外の物質(Ga,As,In,Pなど)を使った化合物半導体の研究が盛んである。また半導体は光を当てると発電したり、加熱すると発電したり、電流を流すと発光したり...と様々な性質があるので、太陽電池以外にもトランジスタ、発光ダイオード、ICなど様々な半導体デバイスに使われている。
さて、発光ダイオード(LED)というと1993年11月、窒化ガリウム(GaN)を使った「青色LED」を開発した中村修二氏が有名であるが、2002年12月には「紫外線LED(365nm)」をナイトライド・セミコンダクター(鳴門市 村本宜彦社長)が開発に成功している。
深紫外線LEDの開発
今回、2008年7月には、深紫外線(280nm)を連続出力10mW(世界最高)発光した「深紫外線LED」の開発に理化学研究所と松下電工株式会社の共同チームが成功した。殺菌、医療、生化学産業、公害物質の分解処理などの各応用分野への展開が期待される。
今回成功のポイントは、化合物半導体AlGaN結晶にInを数%添加し、結晶中のIn組成がnmオーダーで不均一に分布するゆらぎ効果を利用して、高効率の発光を実現させたこと。そして、結晶が成長する際に材料であるN、Ga、Al、Inの供給比を変化させ、結晶成長速度も従来の3分の1程度とし、Al組成比が50%以上と高いInAlGaN結晶を高品質に成長させることに成功したことにあるという。
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世界最高出力の深紫外線発光ダイオード
殺菌効果を初めさまざまな応用が期待されている深紫外線を世界最高の出力で発光させるダイオードの開発に、理化学研究所と松下電工の研究チームが成功した。
理化学研究所効率LEDデバイス研究チームの平山秀樹副チームリーダーらは、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)にインジウム(In)を数%添加し、さらにアルミニウム(Al)の組成費を高めることで、飛躍的に高い発光効率を持つInAlGaN結晶をつくりだした。
室温状態で得られる出力は、殺菌に有効な波長282ナノメートルの深紫外線で10.6ミリワット。これまでの記録は、米国サウスカロライナ大学の研究チームが達成した8ミリワット(波長280ナノメートル)だった。
波長が200ナノメートルから350ナノメートルの深紫外領域の光は、殺菌効果をはじめダイオキシンなど公害物質の分解、高密度光記録など幅広い分野に革新をもたらすと期待されている。しかし、これまで光源としては、大型で寿命も短く、かつ高価なガス・固体を媒体とする紫外レーザやガスランプなどしかなかった。
今回の成果により、携帯用小型殺菌灯などの実用化が期待でき、今後の研究の進展でワットレベルの出力が得られれば、汚染物質の高速処理などさらに応用分野が広がる、と研究チームは言っている。(サイエンスポータル 2008年7月7日)
参考HP:理化学研究所・松下電工株式会社プレスリリース 2008年7月4日
「殺菌用途に最適な深紫外光を10mWで発する高出力発光ダイオード登場」
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2008/080704/detail.html
ナノライド・セミコンダクター株式会社
http://www.nitride.co.jp/index.html
アイラブサイエンス「化合物半導体とは何か?」
http://blog.goo.ne.jp/liberty7jp/e/cb59cb5309a252ca28915005b8ea7d80
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