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 今年の定期健康診断
 今年の定期健康診断の結果がでた。尿酸値や中性脂肪も増えていたが、今まで異常がなかった悪玉コレステロール(LDL)の値がいきなり0から150に増えていた。善玉コレステロールは(HDL)はほぼ変わらず42。

これまで気にしていなかった、悪玉コレステロールが増えたのはショックだ。ところで悪玉コレステロールと善玉コレステロールとは何だろうか?


 悪玉コレステロールと善玉コレステロール

 実は悪玉も善玉もコレステロールは同じ。ただし、コレステロールは血液に溶け込めないため、リポたんぱくというカプセルに包まれて血液中を移動する。そのカプセルのうち、からだの隅々までコレステロールを運ぶ働きをしているものが「悪玉」、反対にからだから余分なコレステロールを回収する働きをしているものを「善玉」と呼んでいる。

 

 やはりコレステロール自体の量を減らすしかない。コレステロールは動物性脂質というが、食べて吸収されるのは20%で、体内で80%はつくられるという。しかしこれが多いと、血管が詰まりやすくなったり、動脈硬化が起き、脳溢血などの原因になるので低い方が良いと言われている。


 ピーナッツなどの植物性脂質には植物ステロールと呼ばれる物質を取ると、悪玉コレステロール(LDL)を抑える働きがあるというから、植物性脂肪を取るようにして、動物性脂肪はなるべく取らないようにした方がよい。


 ところで、コレステロールを薬で抑える方法はないのだろうか?それがあるのだ。コレステロール低下薬「スタチン」である。


 コレステロール低下薬「スタチン」
 今年のラスカー賞を受賞した「スタチン」の発見者、遠藤章博士は1966〜1968年、アルバート・アインシュタイン医科大学(ニューヨーク)に留学。コレステロールが米国で年間数10万人が死亡する心筋梗塞の主要な原因であることを知る。


 帰国後有効なコレステロール低下剤の開発を目指して、2年間に6000株の菌類を調べ、1973年に青カビからコレステロール合成阻害剤ML-236B(コンパクチン)を発見した。これが世界で3000万人が服用している。この 「スタチン」のもとになる物質であった。では、「スタチン」はどうやって、コレステロールの量を抑えるのであろう?

 「スタチン」の働くしくみ
 コレステロールはどこでできるか?実は体内のコレステロールの8割は、肝臓で何段階もの化学反応を経て合成される。

 「コンパクチン」はこの合成過程初期に不可欠な酵素(律速酵素)「ヒドロキシメチルグルタリル(HMG)-CoA還元酵素」の働きを強力に抑える。

 律速酵素とは、反応によってできる物質の全体の量を決める。この酵素が阻害されるため、反応代謝物が作られず、コレステロール合成量が激減するしくみだ。

 「コンパクチン(メバスタチン)」をもとに開発されたHMG-CoA還元酵素阻害剤はその後も次々と登場。薬剤名の末尾がすべてスタチンであったことから「スタチン」系薬剤として分類されるようになった。

参考HP Wikipedia「スタチン」・高脂血症治療薬「ピタバスタチン」
  
http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/030911html/index.html


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ひと目でわかるスタチン系薬物の薬物相互作用
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