血液検査で何がわかる?
健康診断で行う血液検査、今回は中性脂肪や悪玉コレステロール(LDL)や尿酸の数値が悪化した。わずか40ml程度の採血で、こんなに様々なことがわかるのには驚かされる。いったい血液の中のどんな成分で何がわかるのだろう?
血液検査は、主に3つの方法で検査をし、病気の発見や体質の発見に役に立つ。
その方法とは、「血液一般検査」、「血清検査」、「生化学検査」である。
血液一般検査とは
「赤血球」や「白血球」の数や形など血液そのもののチェック(末梢血検査)。血液一般検査では、さらに次のような検査を行ない、診断の手がかりとする。
・血液凝固検査…止血の働きを調べる。
・赤沈(せきちん)…血液の沈降(ちんこう)速度を調べる。
血清検査とは
「血清」の中に「抗体」ができているかどうか、また、できているとしたらどれくらいかを調べるのが、免疫・血清学的検査。「抗体」をつくる原因となる細菌やウイルスなど、外部からの侵入物を「抗原(アレルゲン)」という。この抗原が抗体と結びつく現象を、「抗原抗体反応」あるいは免疫反応と呼ぶ。
生化学検査とは
血液中にまじる、たんぱく質、糖質、酵素などの成分を検査。血液を遠心分離器にかけて、赤血球や白血球、血小板などの有形成分と、液体成分「血清」とに分離し、「血清」中の物質を分析するのが血液生化学検査。
「血清」の中にはたくさんの物質が溶けており、生化学検査では、おもに次のような物質を検査する。
血液に溶けている主な物質
血清たん白:総たん白、アルブミン、グロブリン、TTT、ZTT
有機塩:クレアチニン、尿素窒素、尿酸、クレアチニン・クリアランス
糖質:血糖、グリコヘモグロビン
脂質:総コレステロール、中性脂肪、β-リポたん白、HDLコレステロール、LDLコレステロール
血清酵素:GOT(AST)、GPT(ALT)、γ(ガンマ)-GTP、LDH(乳酸脱水素酵素(にゅうさんだっすいそこうそ))、アミラーゼ、ALP(アルカリフォスファターゼ)、ACP(酸性フォスファターゼ)、ChE(コリンエステラーゼ)、LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ)、ALD(アルドラーゼ)
色素:ビリルビン、ICG、BSP
電解質:ナトリウム、カリウム、カルシウム、クロール
ホルモン:甲状腺(こうじょうせん)ホルモン、甲状腺刺激(こうじょうせんしげき)ホルモン
ずいぶんたくさんの物質が溶けているものであるが、それぞれどんな健康に関係するのであろうか?今回、結果のよくなかったもののついて調べてみる。
中性脂肪
中性脂肪は体内にある脂肪の一種。体内のエネルギーのうち、使われなかったものは皮下脂肪として蓄えられるが、その大部分が中性脂肪。
中性脂肪は食事として摂取された後、小腸で吸収され、リポたん白と結びついて、カイロミクロンとなり、血液の中に入る。血液の中では、エネルギー源の運搬や貯蔵、臓器や組織の維持に重要な役割を果たしている。
血液中の中性脂肪が多くなりすぎると、コレステロールと同様、動脈硬化性疾患の危険因子となる。中性脂肪の基準値は30〜149 mg/dlである。
コレステロール
コレステロール分子自体は、動物細胞にとっては生体膜の構成物質であったり、さまざまな生命現象に関わる重要な化合物である。
だが、コレステロールや中性脂肪が多すぎる状態(高脂血症)が長く続くと、心臓の冠状動脈硬化や脳動脈硬化をおこしやすくなる。
コレステロールのうちLHLコレステロールは「悪玉」と呼ばれ肝臓でつくられたコレステロールを体の隅々まで運ぶ機能を果たす。HDLコレステロールは「善玉」と呼ばれ、余分なコレステロールを回収して肝臓に戻すはたらきをする。LDLコレステロールの基準値は70〜139 mg/dlである。
尿酸
からだの中の細胞は、毎日新しくつくられていく一方、古いものは壊れていく。細胞中のタンパク質の分解によって生じた燃えかすが尿酸である。
尿酸は、「痛風」の原因となる物質としてよく知られている。激しい運動やストレスなどでも体内につくられる。血清中での尿酸の飽和濃度(溶ける濃さの限度)は7.0mg/dℓ。飽和状態になると針状の尿酸塩の結晶となって、足の親指のつけ根や膝(ひざ)の関節にたまる。そこが炎症をおこし、激しい痛みを伴う痛風発作を生じる。
このほか、腎臓にも沈着して炎症をおこしたり、腎臓や尿管の結石の原因になったりする。尿酸の正常な血液中の濃度は3.8〜7.0 mg/dlである。
参考HP Wikipedia「血液検査」・株式会社アクアジャパン「血液検査の見方」
→ http://www.aqua-japan.com/kenko/1.html
ウエルネス・コミュニケーションズ「血液生化学検査とは」
→ http://www.pluswellness.com/checkup/ippan/0080071000/
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