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学校給食にもカビ毒
事故米の事件は泥沼のように広がっている。今度はカビ毒をもった米を政府から「島田化学工業」が購入し、これをもとに作ったデンプンを「すぐる食品」に転売。「すぐる食品」はこれをデンプン入りオムレツに使い、5年間に渡って愛知県の小中学校に45万食納入していた。

現在、中国では毒入り粉ミルクが問題になっているが、中国も日本もよく似ている。法律で政府を決め、法律で営利目的を会社に認める国である。だから、お金に困ると何をするかわからない。政府も会社も事故米を承知で取引をするのだから同罪である。

もうそろそろ、法律やお金で人を動かすのには限界があると気がついて良いのではないだろうか。先に自由経済を受け入れた日本ですらこれだから、とても中国の批判はできない。同じ穴のムジナである。これを立て直すには、正しい宗教理念に基づいた教育と社会の育成しかないと思うのだがいかがなものだろうか?

さて、カビ毒というと聞き慣れないがいったい正体は何だろう?

カビ毒の正体は何か?
正体はアフラトキシン (aflatoxin) という、熱帯から亜熱帯地域にかけて生息するアスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)などのカビにより生成される物質である。

アフラトキシンは地上最強の天然発癌物質とされ、その毒性はダイオキシンの10倍以上といわれる。主に肝細胞癌を引き起こす原因物質として知られている。少なくとも13種類(代表的なものはB1, B2, G1, G2, M1の5種類)に分かれるが毒性はB1が最も強い。

発癌機構は、アフラトキシンが肝臓の代謝酵素シトクロムP450によって活性化され、DNAと結合して付加体を形成する。付加体DNAは遺伝子変異や複製阻害を引き起こし、細胞を癌化するメカニズムである。

アフラトキシンはコウジカビがつくる?
この猛毒アフラトキシンをつくる「アスペルギルス・フラバス」というカビ、日本で味噌、しょう油、酒等の発酵食品を製造するために使う「コウジカビ(アスペルギルス オリゼ)」と非常に近いなかまである。コウジカビも同じ毒をつくるのではないか?と心配され、何度もテストされたが、安全性は確認されている。

ほんのちょっとの差でかたや「有用微生物」かたや「猛毒微生物」になるのだから不思議ではある。なぜそんなカビが輸入した米などの食品に入っているのだろう?

なぜ輸入食品にカビ毒は入っているのか?
カビ毒が作られるには、それぞれに適した温度、湿度が必要。アフラトキシンが作られる最適条件は、温度30℃前後、湿度95%以上であるため、高温多湿の熱帯地方が最も適している。また、土壌中のカビを調査した結果、アフラトキシンを作るカビは、日本にはあまり分布していないことが分かった。これらのことから、日本国内で、食品にアフラトキシン汚染が起きる可能性は低いものと考えられている。

今回、中国産の米からアフラトキシンが検出されたが、イラン産ピスタチオ、ペルー産ピーナッツ等のナッツ類や干しイチジク、トウモロコシ、ナツメグなどの香辛料からも過去に検出されたことがある。

日本ではどのような対策を取っているのか?
日本では輸入食品についてカビ毒の検査を行っている。日本の規制値は、アフラトキシンB1に対して設定されており、全食品を対象として10μg/kgとなっている。規制値を上回るアフラトキシンが検出された食品は食品衛生法違反となり、行政処分等によって排除される。

食品用もしくは食品加工を目的として輸入された穀類で一定レベル以上のアフラトキシンが検出されたものは食品用途用および家畜飼料として使用することはできず、工業用「糊」他用途への転換や廃棄処分が行われる。ただし、国内では米を原料として糊を製造するメーカーは存在せず、コーンスターチ等に限られる。

過去のアフラトキシンによる被害
1960年にイギリスで七面鳥が大量死した際の分析中に発見された。その際は「ターキーX」と呼ばれていた。人に対する急性中毒の例としては1974年にインドで肝炎のために106名という多くの人が死亡した事件やケニアでの急性中毒事件などがある。

1997年〜2000年 - イランから輸入されたピスタチオから検出
2002年 - ペルーから輸入されたナッツから検出
2004年 - ベトナムから輸入された米(政府保管米)から検出
2005年 - 中国から輸入されたそば粉から検出
2008年 - 中国製品による食中毒が社会問題となった時期、主に中国から輸入されたピーナッツ類から2ヶ月間で8件検出
2008年 - 中国産の「事故米」が大阪の米販売業者・三笠フーズにより、少なくとも1998年以前から各地に食品用として転売されていた(2008年9月に発覚し、報道された)

参考HP Wikipedia「アフラトキシン」・東京都健康安全研究センター「カビ毒アフラトキシン」 → http://www.tokyo-eiken.go.jp/issue/health/08/08.pdf 

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