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事故米に続き、また「食の安全」を脅かす問題が起きた。中国乳製品の「メラミン」混入問題である。「メラミン」は食器や生活雑貨に使われる樹脂の原料。毒性は低いとされるが、他の化学物質と反応して結晶化すると、腎臓障害を起こす。

これまでの「メラミン」混入問題
昨年2007年5月、米国で購入したペットフードに毒物が混入、米国の犬と猫16匹が腎不全にかかって死亡したほか、約1万匹のペットが嘔吐(おうと)や食欲不振などの異常を訴えた事件が起こった。 調べてみると原料に中国産小麦を使用しており、その中に「メラミン」などの物質が検出された。

今回2008年9月、中国粉ミルクメーカー22社の製品から「メラミン」が検出された。事件による被害は20日の時点で、乳幼児5人が腎不全で死亡、患者数6000人以上。「メラミンによる腎臓結石発症の可能性のある潜在患者数は3万人になる」(新華社通信・電子版)という。中国国内各地の病院では親に抱かれて検査に訪れる乳幼児が絶えない。

粉ミルクのほか、牛乳や他の乳製品、輸出向け加工品からも「メラミン」が検出されており、中国の食の安全問題は海外にも飛び火している。シンガポールでは中国から輸入した乳製品から、香港では中国を代表する大手メーカー「伊利」のアイス菓子など8製品から「メラミン」が検出。韓国では、中国産と韓国産を混ぜてつくった養殖魚のエサから「メラミン」が検出。

日本では、日清医療食品が21日、丸大食品から納入し、病院や福祉施設に販売した業務用「クリームパンダ」の生地に「メラミン」混入が確認された中国企業の牛乳が使われていたことがわかり、自主回収される。販売先は全国3054施設、販売数は7月以降で計3万154袋(1袋10個入り)に上り、85〜90%は消費されているという。

またまた起きた食品偽造。なぜ乳製品に平気で「メラミン」を入れるのだろうか?

なぜ乳製品に「メラミン」が?
中国の問題の企業では、牛乳を水で薄めて、タンパク質を多く見せかけるために「メラミン」を混ぜる。食品分析ではタンパク質の窒素成分が基準となり分析される。「メラニン」にも窒素が含まれるためタンパク質と誤って分析されるようだ。

中国当局は事件に関係した業者などの18人を逮捕した。逮捕された業者のある男は、公安当局の取り調べに対し、「飲んだらどうなるか考えなかった。自分の家族には飲ませていない」と供述しているという。

中国紙によると、メラミン混入の不正は2005年4月から行われていて、当局者の証言などから、メラミン混入は「業界内で“暗黙のルール”になっていた」(中国紙・新京報)との疑念が起こっている。

これらの供述・証言からは儲かりさえすればよいという気持ちだけで、「良心」というものが感じられない。それにしても中国ギョウザ事件の場合もそうだが、日本政府は輸入段階でこういう不正を止めることができないのだろうか?

厚労省もお手上げ状態?
厚労省によると、「メラミン」は工業用の樹脂として使用されるため「食品に混入することはあり得ない。国際的にも食品の添加物にはなり得ない」として検査項目に入れていなかった。

現在の検査項目は大腸菌などの細菌、食品添加物、抗生物質、残留農薬に重点が置かれている。「終戦直後の厚生省(当時)は、酒にメチルアルコールが混入していないかなど、さまざまな『贋造』を検疫で調べていた」が、近年、品質を重視する消費者志向から「贋造品」を輸出してくるケースはなかったという。

厚労省幹部は「工業用の化学物質は数万種類はある。次は何が出てくるか分からない中で、すべてを検査をするのは費用に加え、技術面でも不可能。日本の輸入業者が、中国の工場に衛生管理者を常駐させて、原料から製品まで一括管理するしか手がない」と検疫体制の限界を認めている。

中国だけでなく日本でも起きている度重なる偽装。いったいどうやってこの偽装の連鎖を止めたらよいのだろうか?

ゆらぐ「食の安全」根本的解決はできるか?
日本も中国も「経済至上主義」でよく似ており、こういう問題はいくらでもおきる。米国はいいかげんのようでも、日曜日には礼拝に行く、歴としたキリスト教国家なので、食の安全は確保されている。「宗教的良心」があるからだと思う。マレーシアはイスラム教の国で、イスラム信者に他宗教を伝道してはいけないという法律があるくらい、自国の宗教を重んじている。他のイスラム国家も同様だ。

日本と中国は何が起きても不思議でない「特別な国」なのだが、そうした情報も認識もなく、無防備なのが怖い。例えば毎日見るテレビ番組は、営利目的のスポンサーがつくっているのであるが、そのことを意識していない。もし番組制作にある意図があったとして、果たしてそれを見抜けるだろうか?

私は「宗教的良心」と「道徳的良心」は違うと感じている。「宗教的良心」は死後と現世をつなぐ確信がある。「道徳的良心」は残念ながら死後のことまでは及ばず、言葉の上での「良心」に過ぎない。宗教の中には古くて現代に合わないものもある。だから、この問題を解決するには、新しくて正しい宗教教育と社会改革しかないと思うのだがいかがなものだろうか? 

参考HP Wikipedia「メラミン」
アイラブサイエンス「ペットフードに”メラミン”中国の食品安全基準に問題」 →
 http://blog.goo.ne.jp/liberty7jp/e/ced2470f76f335da4f15c23dcba97b4a

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