2008年9月、太陽系外の惑星とみられる天体を、カナダ・トロント大のチームがハワイのジェミニ天文台の望遠鏡で撮影に成功した。これまで、系外惑星を撮影したことはなく、これが惑星と認められれば世界初の快挙だ。
系外惑星とは何か?
系外惑星とは、太陽系以外にある惑星のこと。太陽系では、最近冥王星が惑星でなくなり、準惑星になった。現在は水星から海王星までが太陽系の惑星だ。その外側には冥王星を含む「エッジワース・カイパーベルト」。さらにその外側に「オールトの雲」に属する天体が存在する。ここまでが太陽系である。
地球から一番近い恒星は「ケンタウルス座のα星」でその距離4.4光年ある。この恒星は3つの恒星が互いにぐるぐると回っている連星と呼ばれるもので、「ケンタウルス座のα星」に惑星があるかどうかはわかっていない。
冥王星でさえ観測が難しく、最近ようやく、そのくらいの大きさの天体なら太陽系にたくさんあることが判明したばかり。冥王星よりもはるかに遠い「系外惑星」の存在はいつから考えられたのだろう?
系外惑星発見の歴史
地球が存在するのだから、太陽系以外にも系外惑星が存在するのではないかという考えは、16世紀にはジョルダーノ・ブルーノにより主張された。しかし、当時はあくまで想像の産物であり、フィクションの域を出なかった。
観測技術が発達し、実際に探査の試みがなされるようになるのは、1940年代からである。現在認められている初の発見は、最近のことで1993年に発見されたPSR B1257+12というパルサーをめぐる3つの惑星であった。ポーランドの天文家、アレクサンデル・ヴォルシュチャンによって発見された。
そして2008年9月、太陽系外の惑星とみられる天体を、カナダ・トロント大のチームがハワイのジェミニ天文台の望遠鏡で撮影に成功した。これまで、太陽系外惑星を撮影したことはなく、これが惑星と認められれば世界初の快挙だ。
しかしこの惑星、表面温度が1500℃、惑星というにはまだ温度が高すぎる。大きさも木星の8倍あり、恒星ではないかと思える。しかし、専門家の話では惑星が冷えて固まる前の段階だそうだ。恒星との距離も地球〜太陽間の約330倍(500億km)もある。
これまでに発見されている系外惑星の数はおよそ300個、そのほとんどが恒星の近くを木星のような巨大な惑星が回るパターン(ホットジュピター)である。望遠鏡で直接観測できたことはいままでなかった。系外惑星はいったいどうやって発見されたのだろうか?
系外惑星の観測方法
直接観測法
直接観測は、文字通り望遠鏡で系外惑星を直接観測することである。実際には中心となる恒星と惑星の距離が非常に近く、また恒星に比べ惑星が非常に暗いため、惑星からの光を恒星の光と分離することは非常に困難とされている。しかし直接観測のための研究は世界中で行われている。
位置天文学法
位置天文学法 (Astrometry) は、木星のような巨大な惑星によって恒星がふらつく様子を位置天文学的手法により精密観測し、それによって惑星の存在を確かめる方法である。連星の不可視伴星の発見に用いられるのと同じ手法である。1943年以降の初期の系外惑星探査に用いられたが、大きな成果をあげることはなかったが、従来にない高精度の位置天文学観測が可能になった現在、この方法によっても系外惑星が発見できるのではないかと期待されている。
視線速度法(ドップラー偏移法)
視線速度法は、ドップラー偏移法とも呼ばれ、惑星によって恒星が視線方向にふらついた時に起こるドップラー効果によるスペクトル変化を調べることで系外惑星を探す方法である。基本的には分光連星を発見する手法と同じものである。ベレロフォン (51 Pegasi b) をはじめ、多くの惑星がこの方法によって発見された。
食検出法(トランジット法)
食検出法の原理食検出法はトランジット法とも呼ばれ、惑星が恒星の前を横切る時の明るさの変化によって惑星を探す方法である。
星食や食変光星の観測と同じ原理である。地球から見て惑星が恒星面を通過する確率は非常に小さいと考えられるため、実在する惑星に対しこの方法によって発見できる惑星の割合は小さいものの、比較的安価な機材でも観測可能であり、アマチュアにも手が届くという利点がある。
重力レンズ効果を用いる方法
重力レンズ効果とは、遠くの天体から発せられた光が手前にある天体の重力により集められ、実際より明るく見えることである。手前にある天体が惑星を持つ場合と持たない場合では、遠くの天体の光度変化が異なることが理論的に予測されている。この現象を利用して系外惑星を発見することが可能であり、PLAN、OGLE、MOAのチームがOGLE-2005-BLG-390Lbを発見している。
パルサー・タイミング法
パルサーとは、周期的にパルス状の電磁波を出す天体である。パルスの原因はパルサーの自転によるものと考えられている。パルサーに惑星が存在する場合、パルスに周期的なズレが観測される。このズレから惑星を間接的に観測する方法がパルサー・タイミング法である。公式な記録上、最初に発見された系外惑星であるPSR B1257+12の惑星系などは、この方法で発見された。
(出典:Wikipedia)
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太陽系外惑星?とらえた カナダのチーム、直接撮影
太陽系外の惑星とみられる天体を、カナダ・トロント大のチームがハワイのジェミニ天文台の望遠鏡で撮影した。天体の質量は木星の約8倍で、温度は約1500度。地球から約500光年離れた恒星の周りを回っているとみられる。
天体と恒星との距離は、地球―太陽間の約330倍。この恒星系ができたのは約500万年前と考えられ、太陽系の46億年前よりずっと若い。
太陽以外の恒星を周回する「系外惑星」は恒星のわずかな揺らぎを観測する方法などで300以上見つかっているが、直接撮影した例はなかった。今回の天体が系外惑星と確認されれば、初めてその姿を直接とらえたことになる。(asahi.com 2008年9月20日)
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