一石二トキ(鳥?)
27年ぶりに、トキを放鳥した新潟県佐渡市では、企業による「カーボン・オフセット」を活用した、森林の整備事業がはじまっている。トキの住む森を豊かにするとともに、二酸化炭素を森に吸収させ、地球温暖化防止の取り組みにもなるという、一石二トキ(鳥?)の運動だ。
カーボンオフセットとは?
さまざまな活動によって生じる「二酸化炭素」は直接削減することが一番よい。しかし、それができない場合、他の活動で「二酸化炭素」を吸収したり、排出量を削減したりすることで「相殺(埋め合わせ)する」方法がある。このことを「カーボン・オフセット」という。 「カーボン・オフセット」のカーボンは「二酸化炭素」、オフセットとは「相殺する」という意味。
具体的な活動としては、企業や政府が「カーボン・オフセット」付きの商品を販売する。個人はその商品を購入することで「カーボン・オフセット」に参加する。企業は収益の一部を二酸化炭素吸収源となる「森林保護活動」や温室効果ガス排出量の少ない「新エネルギー事業」への投資、発展途上国における温室効果ガス「排出削減プロジェクト」の支援などの費用に当てる。
現在、販売されている商品の例としては、日本郵政株式会社の「カーボン・オフセット年賀はがき」、近畿日本ツーリストの「カーボンオフセット付き修学旅行プログラム」、東京海上日動火災の「カーボンオフセット付き自動車保険」、セブン&アイホールディングスの「カーボンオフセット付きエコバッグ」などがあり、他にも軽自動車、お菓子、定期預金、投資信託、即席麺など様々な商品に付加したものがある。
ところで「カーボン・オフセット」と京都議定書の関係はどうなっているのだろうか?
京都議定書目標達成のために
1997年12月、国際レベルで採択された京都議定書。先進諸国に対して、2008年〜2012年の間(第一約束期間)に、1990年比で温室効果ガスの削減が数値として義務づけられ、日本にはマイナス6%という数値が設定された。
しかし、現在(2005年調べ)ではCO2排出が「プラス7.8%」と逆に増えており、削減へ向けての努力がより必要となっている。
「京都議定書」において、温室効果ガス削減の方法として定められたものに京都メカニズムがある。具体的には、CDM(クリーン開発メカニズム)、JI(共同実施)、ET(排出量取引)の3つの仕組みが導入され、国際的に運用されている。
「カーボン・オフセット」はこのうち、CDM(クリ−ン開発メカニズム)などによって、途上国への技術援助を行い二酸化炭素削減に貢献する。
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温暖化対策:カーボン・オフセットでトキのすむ森再生を
「カーボン・オフセット」と呼ばれる地球温暖化対策を活用し、トキがすむ森林を整備するモデル事業が新潟県で進んでいる。25日に野生復帰を目指すトキが初めて放鳥される予定で、参加企業は「温暖化対策に加え、トキの野生復帰に取り組む地元のPRにもつなげたい」と期待する。
カーボン・オフセットは、商品の製造やイベントで発生する二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを、植林や再生可能エネルギーの導入といったCO2削減策に投資することによって相殺する仕組み。
モデル事業は、新潟県が今年度から独自に始めた。まず、参加希望の企業が、排出量を相殺したい商品やサービスを登録する。今年度は、佐渡市内のスーパーマーケットなど九つの企業、団体が名乗りを上げた。有料レジ袋や観光貸し切りタクシーなどの代金の一部を、「トキ野生復帰ステーション」近くの約4.8ヘクタールの森林の間伐費用などに充てる。
この森林は、レジ袋製造やタクシー走行に伴って排出したCO2の吸収源として位置づけられるとともに、放鳥するトキの生息場所として整備されるため、野生復帰の支援にもなる。
レジ袋のオフセットでモデル事業に参加するJAエーコープ佐渡(本社・佐渡市)は「トキの放鳥に備え、自然豊かな佐渡を実現する手段としてオフセットに取り組みたい」と話す。(毎日新聞 2008年9月22日)
参考HP 環境省「カーボン・オフセット」
→ http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset.html
環境goo「カーボンオフセット」
→ http://eco.goo.ne.jp/word/energy/S00255_kaisetsu.html
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