Webの誕生
2008年9月10日、宇宙の謎を解く「LHC」が、ついに運転開始されたが、液体ヘリウムの漏れる事故があり、現在、実験停止中である。ところで、今我々が使っているWebをつくったのは、「LHC」をつくった「CERN(欧州原子核研究機構)」のコンピューター技術者であることを、ご存知だろうか?
彼の名は「Tim Berners-Lee」。彼はは世界中に散らばっている高エネルギー物理学実験のチームメンバーの研究者の間で、瞬時に同じ情報を共有するにはどうしたらよいか悩んだ末、1990年の年の暮れ近くにWebを発明した。
「LHC」とは何か?
LHCとは、大型ハドロン衝突型加速器 (Large Hadron Collider、略称 LHC)のこと。ハドロンは陽子や中性子とこれを結びつける中間子が一体になったものをいう。陽子や中性子は現在物質を分解していったときに得られる、最小の粒子である。この粒子を電磁石を使って加速し、粒子どうしを衝突させて何が起きるかを調べる機械である。
陽子や中性子などより、もっと小さなクオークやレプトンという粒子も発見されているが、これらの粒子は小さすぎて、まだ人類は自由に操作することはできない。
「LHC」は今から20年前、世界各国の物理学者が参加するCERN(欧州原子核研究機構)で、スイスとフランスの国境にまたがる地下100m、周長27キロのトンネル内につくられることが計画された。そして約5500億円を投じ、2008年9月10日ついに完成し、運用開始となった。
この巨大な加速器の中で高エネルギーの陽子ビームが加速され、光速に近い速度で正面衝突させる。そして測定装置でこの衝突の反応を観測することになっている。光速近くまで加速された陽子のエネルギーは7兆電子ボルト(7TeV)に達する。
いったい陽子どうしを衝突させるとどんなことがわかるのだろう?
「LHC」で何がわかるか?
LHC加速器では7兆電子ボルトの陽子同士の正面衝突が1秒間に10億回起こる。1回の衝突では100個の粒子が作られる。これらの膨大な数の粒子の中からごく稀にしか発生しない「ヒッグス粒子」や「SUSY粒子」を日本が建設した「アトラス」という分析装置で捕らえる。
宇宙の始まりで起こったと考えられている「ビッグバン」の状態を何度も再現する。収集された膨大なデータは世界中の約1万人の研究者が分析し、ビッグバン後の宇宙の様子の手掛かりを探る。
主な実験のテーマ
・標準理論の中で唯一未発見であり、素粒子に質量をもたらすとされている「ヒッグス粒子」の発見とその性質の測定。
・標準理論を超える、大統一理論の有力候補である超対称性理論で予言される超対称性粒子(SUSY粒子)の発見。
・原子核内の中間子の性質を調べることによって、クォーク仮説に基づく原子核構造の精密な検証及びグルーオンの性質の測定。
・余剰次元理論に基づく計算により、LHCの衝突エネルギーで生成可能とされる極小ブラックホールの検出と、それによる余剰次元理論の検証(LHCの実験エネルギーでは困難と見られているが、実験の候補には上がっている)。
関連するニュース
世界最大の円形加速器「LHC」でヘリウム漏れ、運転停止
欧州合同原子核研究機関(CERN)は20日、今月10日に運転を始めたばかりの世界最大の円形加速器「LHC」で大量のヘリウムが漏れ出す事故が起き、運転を停止したと発表した。
電気接続に欠陥があり、大電流が流れて装置の一部がとけたのが原因という。運転再開までに、少なくとも2か月かかる見通し。
LHCは、物質になぜ重さがあるかなどを解明するため、約5500億円を投じ、フランス・スイス国境に建設された。(2008年9月21日18時44分 読売新聞)
参考HP Wikipedia「LHC」・高エネルギー加速器研究機構「細極微の世界に迫るLHC」 → http://www.kek.jp/newskek/2002/marapr/cernlhc-1.html
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