
「基本的生活習慣」は大切
東海大学体育学部・小澤治夫教授の講演を聞く機会があった。演題は「学力・体力・気力の向上は生活習慣の立て直しから」。内容は「生活習慣」の大切さを訴えたものだが、全国の小・中学生にアンケートをとり、その結果から生活習慣を自己管理する「ライフマネジメント」の大切さをわかりやすく教えてくれた。
具体的には、まず「朝食」。朝食を食べない生徒が増えている。朝食を食べない生徒は1日を通して体温が低い。体温が低いと意欲がわかず、学力も体力も低くなる。アンケートによると体力がない生徒は、シャワーを浴びるけど風呂に入らない、夜の外出が多く、就寝時間が遅く(1時〜2時)、朝食の欠食率が高い、毎日の排便がないなど、すべてに相関関係があるということがわかった。
「心・技・体」の「心」は?
小澤氏の講演は、自ら体力を自慢するだけあって、パワーがあふれていたし、アンケートをもとにしていたので説得力があった。基本的生活習慣の大切さを、改めて教えられた。ただ、物足りないなと思ったのは「心」からのアプローチが皆無であったことである。
氏のいう「風車理論」では、朝早い目覚め→朝食をしっかり→毎日排便→体調良好→授業・部活に意欲→力を出し切る→夕食をしっかり→心地よい疲労→十分な睡眠→朝早い目覚めとなる。その通りである。サルでもこの通り生活すれば健康に生活できる。昔の修身の教科書のようだ。夜勤の人はどうなるのだろう?
そこに「心」はない。やはり人間なのだから、自分の心の意志でこの「風車」を動かしたいものだ。それには生き甲斐であり、自己使命感であり、感謝・反省をし、他から大いなる力を借りるということもある。「生活習慣」はもちろん大切な要素ではあるが、「他にも大切な要素がある」ということは述べておきたい。
ところで講演で「メラトニン」という言葉を聞いた。この物質、体内でつくられ、心地よい睡眠をとるために必要なんだそうだが、どんな物質であろう。
快眠物質「メラトニン」とは?
メラトニンは脳の松果腺から分泌されるホルモン。ヒトにおけるメラトニンの血液中濃度は昼に低く夜に高いリズムを示し、睡眠と関連している。脳の松果体の他、植物などにもごく微量であれば見出される。また、化学合成で製造できる。 抗酸化物質として働き体内の酸化を押さえるはたらきもある。
朝起きて光を浴びることが重要。光を浴びてから14〜16時間後に分泌され、体温を下げ、しだいに眠気を誘う作用がある。日中に太陽光を十分に浴びないと、夜にメラトニンは分泌されにくく、眠りづらくなる。
快眠のために「早起き-早寝早起き」?
よくある失敗が、いきなり早寝をして早起きすること。メラトニンが分泌される時間は決まっており、その日の朝に起きた時刻で眠りに入る時間が決まる。いつも午前7時に起きている人は午後10時ごろ眠たくなるのが普通。早起きの必要がある日は、前日に早起きすれば早く眠れる。
寝つけないからといって、お酒を飲む人も多い。アルコールは確かに寝つきをよくするが、早朝に覚醒作用が働いて睡眠が浅くなる。頻繁にトイレに行きたくなることもあって(利尿作用)睡眠の質は低下する。日中も30分ほどでいいので外へ出た方がよい。曇り空でも、夜になってメラトニンが増えてくる。
現代人は夜、テレビやコンビニエンスストアの照明など、明るい光に囲まれて暮らしている。夜の強い光は、逆にメラトニンの分泌が妨げられる。
参考 Wikipedia「メラトニン」・朝日新聞「快眠生活 10/18/・10/25・11/1」
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