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11月12日渋谷で爆発事故
11月12日お昼頃、東京渋谷で爆発事故があった。場所はイベントを行う会社。ここでは映画撮影用などに使う、銃の火薬を詰める作業をしていたという。爆発現場の建物には大きな穴があいた。火薬類取締法では、火薬の製造や貯蔵をする場合は原則、国や都道府県の許可が必要と定めているが、会社代表の横山さんは未届けで火薬を扱っていたもようだ。

全国火薬類保安協会の吉田隆司・業務課長によると「爆発の映像を見る限り、少なくともキロ単位の火薬を保管していたと思われる」と指摘。業界関係者によると、特殊効果で使用する火薬は、拳銃1発当たり0.05グラム前後と微量。多くても、数キロの火薬しか保管しないのが一般的という。今回の爆発は相当な量になる。なぜこれほどの爆発が起きたのだろうか?(参考:毎日新聞 11月13日)



ところで火薬と爆薬の違いは何だろうか?

「火薬」と「爆薬」の違い
火薬類取締法によると、火薬とは、推進的爆発の用途に供せられるもので、黒色火薬、無煙火薬等が該当する。爆薬とは破壊的爆発の用途に供せられるもので、起爆薬、ニトログリセリン、ダイナマイト等が該当する。

火薬も爆薬も爆発はするが、衝撃波が起きるかどうかで区別する。火薬の爆発は爆燃という。いわゆる花火などの燃え方。衝撃波は伴わない。爆薬の爆発は爆ごうという。衝撃波を伴う。破壊的な作用がある。

代表的な火薬と爆薬 その成分


黒色火薬 
黒い火薬。硝酸カリウム(硝石)75%、硫黄10%、木炭15%で混ぜたもの。恐らく世界で最初の火薬で、今でも花火などで使われる。黒色火薬は煙が大量に出るという欠点があるため、銃の発射薬に用いると自分の場所がすぐにばれてしまう。

無煙火薬
従来の黒色火薬が着火時に大量の煙を放出する(有煙火薬)ことに対し、発煙防止のために発明された火薬をいう。ニトログリセリン、ニトロセルロース、ニトログアニジンの3つが基剤となる。

ニトロセルロースは古くは脱脂綿などの繊維を濃硝酸と濃硫酸の混酸によりニトロ化することで製造されていた。ニトロセルロースだけを原料に用いたもの、ニトロセルロースとニトログリセリンを用いたもの、3つの物質を用いたものの3種類に大別できる。それぞれ、シングルベース火薬、ダブルベース火薬、トリプルベース火薬と称される。

ダイナマイト
ノーベルが発明した爆薬。ダイナマイトニトログリセリンを主剤とする爆薬の総称で、アルフレッド・ノーベルが最初に発明したのはニトログリセリンを珪藻土にしみ込ませたものである。現在だは、社団法人火薬学会の規格で6%をこえるニトロゲル(後述のブラスチングゼラチン)を含有する爆薬の総称と規定されている。

TNT
TNTとは2,4,6-トリニトロトルエンの略称である。衝撃や熱に対してきわめて鈍感、毒性が少ない、金属を腐食しない、など優れた特性を持つため、爆薬として広く用いられている。火薬の代表として、核爆弾の威力を表す単位「TNT換算」に使用されている。TNT火薬は前述のとおり衝撃や熱に対し鈍感であるため、導火線では爆発しない、爆発させる時はTNT本体に雷管を埋め込んで起爆させて爆発させる。

ニトログリセリン
ニトログリセリン(nitroglycerin)は示性式 C3H5(ONO2)3 と表される有機化合物。爆薬の一種であり、狭心症治療薬としても用いられる。

加熱や摩擦によって爆発するため、爆薬としてダイナマイトの原料になる。ニトログリセリンは低速爆轟を起こしやすいため、衝撃感度が高く小さな衝撃でも爆発しやすい。そのため、アセトン、水などと混ぜて感度を下げるか、ニトロゲル化して取り扱う。

アジ化鉛
アジ化鉛とは鉛の窒化物で爆薬として使用される。 現在ではDDNPへの移行が進みあまり使用されなくなっているがDDNPに比べて熱に強いため耐熱雷管などには現在でも起爆薬として使用されている。 実際に雷管に使用する場合には着火性を良くする為にトリシネートやテトラセンを混合する。

近年では鉛による環境汚染の問題から忌避されるようになり、使用されなくなりつつある。

DDNP
ジアゾジニトロフェノール (diazodinitrophenol)、略称DDNPはジアゾ化合物に分類される化学物質である。爆薬である。酢酸、アセトン、濃塩酸など多くの溶媒に溶けるが、水には溶けず、常温であれば水中では起爆しない。主に雷管用起爆薬として使われて、他の起爆薬にたいして安全性が高く、威力も大きいので、多用される。発火点180℃。      (参考:Wikipedia「火薬」) 
 

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