
硫黄とは何か?
硫黄とは何だろう?硫黄といって思い浮かべるものは何だろう?
そう火山で見られる物質。最近では環境汚染で有名になった硫化水素(H2S)の中にも硫黄がある。青潮発生のときには海で硫黄が発生する。また酸性雨の原因となる二酸化硫黄(SO2)にも硫黄が含まれている。これは、もとは石油・石炭の中にある硫黄分である。
では硫黄の色とは何だろう?
そう黄色である。だがいつも黄色とは限らないのはご存じだろうか?溶けて液体になると赤くなり、燃えて炎になるときは青白い炎になる。また固体の硫黄でもゴム状硫黄では、黒または褐色とされてきた。
17才が教科書を変えた?
ところが先日、山形県の鶴岡高専物質工学科3年の高橋研一さん(17)が純度99.5%の硫黄で確かめたところ、ゴム状硫黄は黄色になった。また市販の純度98%の硫黄粉末や99%の硫黄でも試したところ、ゴム状硫黄は褐色や黒色で、試験管にも黒い物質が残った。この結果、純粋なゴム状硫黄では黄色になると結論づけた。
指導教員の金綱秀典教授が訂正を申し入れたところ、教科書出版社側も間違いを確認。教科書の記述が修正されることになった。17才が教科書を変えたのは珍しい。高橋さんは「自分の実験で教科書の記述が変わるなんて予想外。びっくりしている」と話している。
30種類もある、硫黄の同素体とは何か?
硫黄は30以上の同素体を形成するが、これは他の元素に比べてもかなり多い。通常、天然に見ることのできる同素体は環状のS8硫黄である。 常温、常圧で固体であるS8硫黄は3つの結晶形を持つ。
α硫黄(斜方硫黄) - 融点112.8℃、比重2.07、淡黄色斜方晶
β硫黄(単斜硫黄) - 融点119.6℃、比重1.96、淡黄色単斜晶
γ硫黄(単斜硫黄) - 融点106.8℃、比重1.955、淡黄針状晶
いずれも、S8硫黄を単位構造とする結晶であるが、95.6℃以下では斜方硫黄が安定であり、それ以上の温度では単斜硫黄系が安定である。
ゴム状硫黄は、250℃まで硫黄を加熱した場合できるもので、50万個以上の硫黄原子が繋がった直鎖状硫黄 (Sn) となる。
他の同素体として、硫黄蒸気の分子量測定からS2、S4、S6、S7等が存在することが判明している。また、硫黄の同素体は環状硫黄分子として人為的に合成されてきており、シクロ-S6を筆頭に、シクロ-S7、シクロ-S9、シクロ-S10、シクロ-S11、シクロ-S12、シクロ-S18、シクロ-S20等が合成され、X線結晶構造解析でその構造が確認されている。(出典:Wikipedia)
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ゴム状硫黄「黄色」です―17歳が実験、教科書変えた
高校化学の教科書に掲載されていた「ゴム状硫黄」の色が間違っていた。山形県の鶴岡高専物質工学科3年の高橋研一さん(17)が気づき、実験で確かめた。指導教員が訂正を申し入れ、出版社側も間違いを確認。教科書の修正につながった。高橋さんは「自分の実験で教科書の記述が変わるなんて予想外。びっくりしている」と話す。
ゴム状硫黄は、硫黄原子が鎖状に並んでできた硫黄の同素体。現在使用中の教科書10種類には「褐色・黒褐色・濃褐色」とあり、大学入試でも「褐色」が正解とされてきた。
高橋さんは、指導教員の金綱秀典教授から「昔、黄色のゴム状硫黄ができたことがある」と聞き、本当かどうか実験で確かめたくなった。
市販の硫黄の粉末を試験管に入れて加熱していくと、流動性が出てくる。これを冷水に流し込むと、弾力性のあるゴム状硫黄となる。
市販の5種類で試した。純度98%の硫黄粉末や99%の硫黄華で作ったゴム状硫黄は褐色や黒色で、試験管に黒い物質が残った。だが99.5%の結晶硫黄だと黄色になり試験管に何も残らなかった。
そこで、黄色いゴム状硫黄に鉄粉を混ぜて溶かし、再びゴム状硫黄にすると褐色に変わった。鉄粉が多いと黒色になった。純度99%以下の硫黄は、不純物で褐色や黒色になると分かった。
金綱教授は、自分も執筆している大日本図書「新版化学I」のゴム状硫黄の写真を差し替え、記述を「ゴム状硫黄は黄色。黒、褐色の着色は不純物による」と直すよう申し入れた。大日本図書も文部科学省に訂正を申請、2009年度教科書から「ゴム状硫黄は硫黄の純度が高いと黄色になる」と注を追加することになった。(asahi.com 2009年1月5日)
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