グリーンニューディールとスマートグリッド
「グリーンニューディール」はアメリカ大統領バラク・オバマが当選直後の2008年11月に打ち出した、100年に一度ともいわれる経済危機から脱出するための経済政策。
太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの拡大、食用でない植物によるバイオ燃料の開発、家庭の電気コンセントから充電することのできるプラグイン・ハイブリッド車の普及といったもので、エネルギー分野だけで10年間に1500億ドル(約15兆円)の国費を投入してグリーン内需を拡大し、500万人の雇用を生み出すというものである。
これまでの8年間のブッシュ政権が、温暖化防止のためのさまざまな取り組みが「経済成長を妨げる」と反対していたのに対する、完全な方向転換だ。
これと同時にオバマ大統領が取り組むものが「スマートグリッド」である。先日上院が可決した「グリーンニューディール・経済復興計画」の中でも、「スマートグリッド」に対して320億ドルの予算が割り当てられた。
スマートグリッドとは何か?
風力発電や電気自動車やソーラー・パネルなどの「グリーン・エネルギー」技術は「スマートグリッド」の一部ではない。「スマートグリッド」は全米の「エネルギー」を効率よく使うため、インターネットを使って電力の送電、貯蔵、省エネなどを行う機能のこと。これまで発電は「供給」オンリーであったが、これに「バランス」が加わる。
「スマート・グリッド」とは、直訳すれば「賢い送電網」。エネルギーとコストを節約するために、デジタル情報分野の最新技術を活用して、さまざまな集中型・分散型エネルギー源を効率的に管理、供給する。
具体的には、停電や断線などアクシデントが起きたとき、送電線が自力で治癒できたり、ソーラー・パネルなどで家庭や私企業が生産した電力を電力会社に売り返すことができる。
そのような近代化された電力網を、エネルギー安全保障や地球温暖化問題への対策の一つとして 多くの政府が推進している。もしスマートグリッド技術がアメリカ合衆国の電力網を5%効率的にすれば、5300万台分の自動車に相当する燃料の節約と温暖化ガス排出量の削減に相当するという。
スマートグリッド+高温超電導ケーブル
日本では、類似したアイディアが住友電気工業などにより提案されている。これによると、太陽を起源とする再生可能な新エネルギーと、今日技術的に適用可能となった高温超電導直流電力ケーブルの組合せることで、電力の効率的な運用が可能になるという。
高温超電導直流電力ケーブルとは、ケーブルを冷却することで超伝導にして送電。超伝導は電気抵抗が0になる技術であるから、送電にかかるエネルギーがかなり節約できる。これにスマートグリッドを組み合わせればエネルギー効率は各段に上がる。
古川電工でも試作段階であるが高温超伝導ケーブルの実験に成功しており、2015年から超電導ケーブルが市場に本格的に投入されるとした場合、2030年にはCO2の排出量として年あたり約400千トンの削減量になるという。
参考HP Wikipedia「スマートグリッド」・住友電工「畑良輔氏GENESIS計画と高温超電導直流ケーブル」・古川電工「イットリウム系高温超伝導ケーブルで世界最小の交流損失を達成」
クリーンテック革命 ロン・パーニック,クリント・ワイルダー ファーストプレス このアイテムの詳細を見る |
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