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脳の異常活動「てんかん」
脳のしくみも最近は研究が進んでいるがまだ分からないことがたくさんある。「てんかん」という病気は、脳細胞のネットワークに起きる異常な信号のため、てんかん発作を起こす。

てんかん発作とは、強直性、痙攣である。また、意識障害として、突然意識を失う・記憶が飛ぶ・急に活動が止まって昏倒する場合もある。ただし、大半の発作は一過性であり、看護者は身の回りの安全性を確認して、数分〜十数分程度で回復するのを待つ。

発作時にはこれといった応急処置はない。以前は発作時に口の中や舌を噛んでしまう事があるため、清潔なハンカチを巻いた鉛筆や箸を噛ませるように指導されていたが、現在では、鉛筆や箸で口内や歯を損傷したり処置者が受傷する危険もあるため、絶対に避けるように指導されている。

「ジストニア」と「てんかん」
正常な脳が何故、てんかんを起こさないのかということはまだよく分かっていないが、正常な中枢神経にはニューロンのシグナル活動を微調整する機構が備わっていると考えられている。

ジストニア(dystonia)という病気も、中枢神経系の障害により、体の筋肉が勝手に収縮を起こすため、自分の意思通りに体を動かすことができなくなってしまう神経難病である。脳の中の信号に異常があることは知られていたが、どのような信号の異常によって意図しない筋肉の収縮がおきるのか、そのメカニズムは分かっていなかった。

大脳基底核抑制力低下が原因
今回、自然科学研究機構・生理学研究所の知見聡美助教、南部篤教授のグループは、米国マウントサイナイ医科大のプラニパリ・シャシドハラン博士と共同で、ヒトのジストニアの原因遺伝子を組み込んだノックアウトマウスを使い、脳の中の神経細胞の働きをマウスが覚醒した状態で研究した。

その結果、運動の制御に関わる脳の領域の1つである大脳基底核と呼ばれる部分に生じる信号の異常が原因であることを明らかにした。本来ならば、大脳基底核からの信号によって不必要な運動が起こらないように抑えられているところを、ジストニアのマウスではその信号が弱まり、異常な筋収縮が起こりやすくなった。

この成果は、米国神経科学会雑誌(ジャーナルオブニューロサイエンス)12月17日(日本時間12月18日)に電子版に発表される。

ジストニアとは何か?
ジストニアははっきりした原因は分かっていないが、症状は筋肉の異常収縮により、様々な不随意運動(自分の意思に沿わない運動)や肢位、姿勢の異常が生じる状態をいう。一般の方が普段日常的に経験される“こむらがえり”が起床中、ずっと起こっている状態といえる。当然痛みも伴い、骨格の変形も起こる。

今のところ、筋緊張を調節している大脳基底核(眉間の裏側辺り)という部分の働きの異常によっておこると考えられている。筋肉に意思を伝える中枢神経機能の異常により、身体の様々な場所の筋肉が不随意に収縮し続ける結果、体がねじれたり、ゆがんだりしてしまい、自分の意思通りに動かなくなる。

ジストニアには、全身の筋肉が異常に動いてしまう全身性ジストニアと、局所のみの筋緊張の異常による局所ジストニアに大別される。また局所ジストニアは、ジストニア自体の概念の混乱があったことから、20世紀ではその異常収縮する筋肉の場所から、外見偏重で、痙性斜頸(首)眼瞼痙攣(眼)書痙(手腕)痙攣性発声障害(咽頭)などと呼ばれてきた。日本では現在約2万人の患者がいるとされている。

大脳基底核とは何か?
大脳基底核は、大脳皮質と視床、脳幹を結びつけている神経核の集まりである。哺乳類の大脳基底核は運動調節、認知機能、感情、動機づけや学習など様々な機能を担っている。

大脳基底核は、「運動の調整役」。大脳表面(大脳皮質)で運動の指令を出す運動野(「運動の指令塔」)からの情報を受け取り、運動野の活動を抑える信号を出す。この“運動野の活動を抑える信号”の強さを変えることで、運動野が出す運動の指令の強さやタイミングの調節を行っている。 

参考HP ジストニア難病指定を求める会 → http://www.geocities.jp/japandsa/
生理学研究所「神経難病ジストニアの症状発現のメカニズム解明」
 →
 http://www.nips.ac.jp/news/2008/20081217/ 

ジストニアとボツリヌス治療
目崎 高広,梶 龍兒,木村 淳
診断と治療社

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たとえば、人は空を飛びたいと思う ─難病ジストニア、奇跡の克服─
難波 教行
講談社

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