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交通事故より多い入浴事故
交通事故よりも入浴事故が多いというのは、ご存じだろうか?風呂場で寝てしまい、湯を飲んであわてた経験がある人は要注意。

鹿児島県の調査によると、入浴中に突然死する人は、交通事故による死亡者の1.6倍であることがわかった。鹿児島大医学部の小片守教授(法医学)が県警と協力して2006〜2007年に県内で入浴中に死亡した人を調べると338人だったことが分かった。

死亡事故は、特に脱衣場と湯船の温度差が大きい冬場に多くなる。「普段、健康な人でも危険性がある」と注意を呼び掛けている。死亡者338人の内訳は、男女ほぼ半数ずつで、65歳以上の高齢者が9割と多い。12〜2月の3カ月だけで56.2%と、冬場に集中していた。

既往症は高血圧が37.3%と最も多く、糖尿病と心血管系疾患が続いたが、意外なのは健康と思われた人も16.6%いた。飲酒後は5.1%だった。死因は心臓疾患が66.9%、脳出血など中枢神経系疾患が16.3%、意外なのは水を飲んでいないことで水死は13.3%と少ない。(南日本新聞 2009年1月6日より)

入浴時「42〜43℃」で起きる“謎の溺死”
2009年1月29日のNHK「ためしてガッテン〜超快感・安全入浴術〜」ではこのことを“謎の溺死”と称して取り上げていた。

年間1万4千人もの人が死亡するという「入浴事故」。事故のほとんどが冬場に発生することから、「浴室が寒く湯温が高いと、血圧が急上昇 → 心筋梗塞や脳卒中が起こる」ことが主な原因、と考えられてきました。ところが、これが原因とハッキリ言えるケースはわずか1割程度で、実は、1万人を越える人達が、不思議な“謎の溺死”をしているのではないかということが浮かび上がった。

入浴事故が起こった際の湯温を調べた研究結果によると、最も死者が多いのは、42〜43℃であることが分かった。38℃と42℃の2ケースで実験を行ったところ、38℃では入浴直後から血圧が低下したのに対し、42℃では、反対に血圧が上昇する。これは湯に入った直後、体が熱さにびっくりして末梢の血管が収縮して血圧が上がったからで、これを「驚がく反応」と言う。

驚がく反応で起きる急激な血圧低下
これだけで脳卒中や心筋梗塞が起こる場合もあるが、問題はその後。血圧は上がった後、今度は下がり始め、入浴してから8分後までずっと下がり続けた。38℃での入浴との血圧(最高血圧)の差は、最終的にはおよそ20にもなる。42℃での入浴は、血圧を異常なまでに低下させてしまう。

「異常な血圧低下」が起こると、脳に血液が行きにくくなり失神(意識障害)が起こる。つまり「気持ちよくて風呂で寝てしまった」と思っていたのが、失神が原因という場合もあるのだ。その後、肺に少量の水が入ったことが引き金となって、そのショックで心臓が止まる...これが「謎の溺死」の正体。1年間に1万人がこの「謎の溺死」で亡くなっていると考えられている。

専門家の解説「入浴事故を防ぐには?」
専門家によると、入浴事故を防ぐには、次のような注意が必要だという。
・湯温を温度計で見て40℃にする。(驚がく反応を起こさない目安。ただし個人差があります) 湯上がりに43℃のシャワーを浴びる。
・風呂から立ち上がるときはゆっくりと立ち上がる。(急に立ち上がることでも血圧が急激に低下)
・食後1時間以内の入浴は避ける。
・浴室を温水シャワーなどで湿気混じりに暖めておく。(これにより、浴室に入った瞬間の「寒い!熱いお湯に入りたい」という感覚を軽減する)
この入浴法で毎日5円、年間およそ1800円のガス代が安くなることも分かった。

参考HP NHK「ためしてガッテン 超快感・安全入浴術

正しいお風呂の入り方―美しいマナーと健康入浴法
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