「かぐや」の成果「サイエンス」に掲載
平成19年12月から月周回衛星「かぐや」(SELENE)は、最新の観測機器を使って、月の起源と進化の解明に役立つ観測を行ってきた。
今回「かぐや」の成果が平成21年2月13日発行の米科学誌「サイエンス」において、4編の論文にまとめられ、掲載された。
月について、どんなことが分かったのだろうか?
月の“しわ”の正体
1つは、月の「海」に見られる微妙な“しわ(リッジ)”について。これは地球の山脈に似ている。だから、一部の土地が隆起してできたものと思われていたが、そうではなく月の表面が冷えて固まるときに、全体が縮んだためにできた“しわ”であることが分かった。28億4千万年前以降、月全体の冷却のしかたは予想以上に大きく、これにより月全体が収縮、表面に“しわ”が形成されたという。
月の重力異常
2つ目は、月の表面の重力について観測したところ、全体的に表側の方が質量が大きく、重力も大きいことがわかった。どうしてこのような差ができたのだろう?40〜35億年前、月が冷えて固まりつつあるときに、隕石が月に衝突、地下からマグマが噴出した。裏側は冷えて固かったので、あまり溶岩はでなかった。それに対して表側は柔らかく溶岩が多量に噴出した。そのために重力に差ができたという。
月の正確な図形
3つ目は、レーザ高度計(LALT)によって得られた、月の詳細な全球形状および極域地形図。その分解能が0.5度(14km)以下の月全球地形図を作製。高度の精度は約4m、位置の精度は約80m。 月の最高地点、最低地点は共に裏側にあり、その標高差は19.81kmになることや、月の平均半径:1737.15km、月の極半径:1735.66 km、月の赤道半径:1738.64 kmなど正確な地形が分かった。
月の裏側のマグマ噴出活動
4つ目は月の裏側のマグマ噴出活動について。月の表面が形成された時代は、表面にあるクレーターの数によって、おおよその時代が分かる。今まで月の裏側はくわしく観測できなかったが、今回可能になった。裏側にあるモスクワの海にある、クレーターの数を調べた。すると予想よりも少なく、表面は平らであった。裏側においても海を形成するような内部活動が、少なくとも25億年前まで継続していたことを発見した。
参考HP JAXA 「米科学誌サイエンスにおける「かぐや」特別編集号の発行について」・国立天文台「月全球の正確な地形と重力場が世界で初めて明らかに」
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