「かぐや」月食を月面から撮影
平成19年12月から月を観測し、さまざまな成果を上げている、月周回衛星「かぐや」(SELENE)。先日、月面の精密な地形図を「サイエンス」誌に発表するなど、これまでの成果がまとめられたが、今なお、最新の観測機器を使って、観測を行っている。
平成21年2月10日、今回、「かぐや(SELENE)」のハイビジョンカメラ(HDTV)によって、半影月食時の地球の撮影に成功した。「かぐや」から見て地球が太陽の大部分を覆い隠し、地球がダイヤモンドリングのように見える瞬間を動画撮影することに成功した。この現象が月から撮影されたのは、世界で初めてのことである。
半影月食とは、太陽、地球、月がほぼ一直線に並び、月が地球の半影(月から見て太陽が地球により一部隠されて(部分食)見える)に入る現象で、月に届く太陽の光量が減るため地球からは月の表面がいつもより暗く照らされて見える。月を極軌道で周回する「かぐや」が月食に遭遇するのは、最大で年に2度程度と大変貴重なもの。
世界初!月から見ると月食は日食だった。
なによりも珍しいのは、「月食」を月側から見たのは世界で初めてだということ。このとき、あたりまえのことであるが、月からは太陽が地球によって隠された「日食」になっていた。また、太陽を覆う地球は、真っ黒ではなく、リング状に輝いている。これは、なぜだろうか?
この理由は、大気があるため。太陽の光は地球の大気によって散乱を起こすため、太陽光の一部は地球の縁を回り込むようにして月に到達する。そのため月からは地球の大気が青く、リング状に光っているように見える。これは、太陽光の散乱が、青い色の光で起きやすいためだと考えらている。
今回撮影された動画は、日食中の地球と太陽が、月面から徐々に現れる様子がとらえられている。上の一連の画像は、その推移がわかるよう切り出したものである。日食が終わり、地球から太陽が顔を出したとき、まるで、ダイヤモンドリングのような、美しい光景が見られた。
参考HP JAXA「月周回衛星“かぐや”の半影月食時の地球の撮影の成功について」・「“かぐや”ハイビジョン望遠カメラによる映像、月から見た地球の“ダイヤモンドリング”」
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