体外授精とは何か?
体外受精とは不妊治療の一つで、通常は体内で行われる受精を体の外で行う方法。
受精し分裂した卵(胚)を子宮内に移植することを含めて体外受精という。まず、採卵と採精をして、採卵から1 - 3時間後にシャーレの中で調整済みの精子を振りかけて受精を行う。
受精した卵は分割をし、翌日には受精卵として確認できる。体外受精が成功するかどうかの1つの鍵は、どれだけ質の良い受精卵が得られるかということで、色がきれいで、透明感があり、形が良く、はりがあって、傷がない受精卵が着床率が良い。
体外受精の現状
国内初の体外受精児は1983年10月に、東北大で誕生した。日本産科婦人科学会によると、2006年に体外受精で生まれた子供は19587人。今や、体外受精によって、全国で毎年20000人の子どもが生まれている。56人に1人は体外受精による出生であり、ごく当たり前の医療になりつつある。
全国の10組に1組のカップルが不妊に悩んでいるといわれ、不妊治療のうち、排卵誘発剤等の薬物治療や男性不妊における精管形成術等には医療保険が適用されているが、人工授精、体外受精、顕微授精には保険が適用されておらず、その医療費は全額患者負担となっている。
厚労省から一部補助
特に体外受精、顕微授精の1回の治療費は各々、平均30万円、40万円と高額であり、その経済的負担は重い。しかも、1回で妊娠する確立は高くないことから、子どもを持つまでに何度も治療を受けることが必要な場合も多く、平均的な収入の世帯にとってその経済的負担は非常に重い。
厚労省は2004年度から、所得などの条件に合致した夫婦を対象に体外受精などの不妊治療の費用の補助を始めた。1回10万円が年2回、通算5年支給される。2004年度17657組だった支給対象は、2007年度に60536組へと急増している。
受精卵取り違えミス発生
2008年11月、香川県立中央病院(高松市、松本祐蔵院長)で起きた不妊治療のミスは取り返しのつかない、許されないミスではあるが、現在の少子化問題、不妊治療の問題を改めて考えるきっかけになった。
この事件では2008年11月、不妊治療中に体外受精をした20代女性の子宮に、間違って別人の受精卵を戻した可能性があり、妊娠9週目で人工妊娠中絶をした。院内のマニュアルには人工授精の手順は記されていたが、事故防止についての記述はなかった。病院は厚生労働省に報告していなかった。女性と夫は県側を相手に、約2000万円の損害賠償を求める訴訟を高松地裁に起こした。
杜撰な管理が原因
記者会見した県側の説明では、産婦人科の男性担当医(61)が昨年9月20日、シャーレに入った受精卵を体内に戻し、10月7日に妊娠が確認された。そのシャーレには当該女性の名前は書いていなかった。体外受精ではシャーレの上で卵に精子をかけて受精させるが、誰のものかわかるように通常は名前が記載されている。
女性はそれまでの体外受精に失敗していたが、この時は経過が順調だった。このため担当医は不審に思い、10月16日に取り違えの可能性に気付き、月末に院長に報告した。病院側は11月7日、女性に経緯を説明して謝罪。担当医は、夫婦から「誰の受精卵か調べられないか」と尋ねられたが、「6週間後に羊水検査をすれば分かると言われているが、6週間後なら中絶は母体に負担が大きい」と答えた。女性は「100%自分の子供なら産みたい」と言ったが、同月中旬に人工中絶した。
参考HP Wikipedia「不妊治療」「体外受精」・毎日新聞「クロ−ズアップ2009」
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