素粒子は物質を構成する最小の単位
「素粒子」とは、物質を構成する最小の単位のことである。110年ほど前は原子が最小の粒であり、単位であった。つまり「原子」が当時の「素粒子」であったのだ。しかし、今日「素粒子」とされているのは、「クォーク」と「レプトン」である。
2008年のノーベル物理学賞は、小林・益川両氏の素粒子理論について贈られたが、この理論では、「クォーク」が6種類以上あれば「CP対称性の破れ」が起きて、この宇宙は消滅せずに存在することが述べられている。
1973年の論文では、すでに「クォーク」の存在が前提となっている。「クォーク」や「レプトン」はどうやって発見されたのだろうか?
それは電子の発見から始まった
1897年、原子以外に「素粒子」があるのが初めて発見された。J.J.トムソンが真空管を通る陰極線の正体が、「電子」であることを発見した。この「電子」こそが、「素粒子・レプトン」の発見第一号であった。
1930-1940年代には宇宙線の中から、電子の反粒子である陽電子、ミューオン、湯川秀樹博士の予言した「パイ中間子」などが発見された。
1950年代以降、粒子加速器を用いて、陽子の反粒子である反陽子そしてK中間子を始めとする多くの粒子が生成され発見された。その総数は数百にも上る。
そのほとんどは電気力より100倍の大きさの「強い力」を及ぼしあう「ハドロン」と呼ばれるなかまであった。また、すべての粒子には、陽電子、反陽子などのように互いに出会うと消滅してしまう「反粒子」が存在することも判明した。しかし、これらの新しい粒子は単位である、「素粒子」というには、あまりにも種類が多かった。
「クオークモデル」の発見
1963年、数百種類にも上る「ハドロン」を分類するよい方法が米国の物理学者マレー・ゲルマンらによって提案された。陽子、中性子などバリオン族は「クォーク」と呼ばれる小さな素粒子3個、また、パイ中間子など中間子族は一対の「クォーク」と「反クォーク」からできていると考えるアイディアであった。
当時は、3種類の「クォーク」があると考えられていた。たった3つの「クォーク」によって、数百の「ハドロン」を分類し、その性質を予測できることは、革命的な進展であった。3つの「クォーク」はアップ、ダウン、ストレンジと名付けられた。
小林・益川理論「CP対称性の破れ」
1973年、小林誠・益川敏英両氏が「小林・益川理論」を発表。「CP対称性の破れ」は、6種類の「クォーク」があれば、理論的に宇宙が存在することを説いた。発表当時クォークはアップ、ダウン、ストレンジの3種類しか見つかっていなかったが、その後、1995年までに残りの3種類(チャーム、ボトム、トップ)の存在が実験で確認され、2008年のノーベル物理学賞につながる。
1974年、J/ψ粒子をスタンフォード線形加速器センターのバートン・リヒターとブルックヘブン国立研究所のサミュエル・ティンが同時に発見した。 これによりチャームクォークが存在することが示された。
1977年、ウプシロン粒子(ボトムクオークと反ボトムクオークで構成する中間子)がフェルミ研究所で山内泰二により発見され、ボトムクオークの存在が示された。
1995年、トップクォークがフェルミ研究所で発見される。発見が遅れたのは予想以上に質量が大きかったため。アップクォーク、ダウンクォークは、ともに質量が 0.3/GeVに対して、トップクォークは、175/GeVもあった。
現在の素粒子は「クオーク」・「レプトン」
クォークモデルの提唱以来、今日まで、数多くのクォーク探索が行われているが、未だに単独では発見されていない。これは「強い力」の持つ特異な性質によるためと考えられている。
現在のところ、物質の素粒子は「強い力」を感じない6種類のレプトン(電子・ミュー粒子・タウ粒子、そして電荷を持たない電子ニュートリノ・ミューニュートリノ・タウニュートリノ電子)。そして、ハドロンを作る6種類のクォーク(アップ、ダウン、ストレンジ、チャーム、ボトム、トップ)である。また、それぞれの粒子に反粒子が存在する。
参考HP Wikipedia「クォーク」「粒子発見の年表」「小林・益川理論」 ・キッズサイエンティスト・トップクォークの発見
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