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今冬流行のインフルエンザ収束へ
今年流行したAソ連型の流行も収束へ向かっているようだ。国立感染症研究所の調査によるとピークは1月下旬。

今冬流行したウイルスは2月15日までの報告分でAソ連型56.1%、A香港型32.0%、B型11.9%の順。過半数を占めたAソ連型のほとんどが抗ウイルス薬タミフルが効かない「タミフル耐性ウイルス」が占めた。小児を中心に意識障害などの症状がある「インフルエンザ脳症」の報告例は33人で、うち6人が死亡した。

ほっとしたのもつかの間、今度は愛知で鳥インフルエンザが発覚した。

愛知で鳥インフルエンザ発覚
愛知県が豊橋市南大清水町のウズラ農場で、2月18日の定期検査を行ったところ、採取した10羽分の検体のうち2羽分で陽性反応が出た。茨城県つくば市の動物衛生研究所で検体を詳しく分析したところ、27日午前にH7亜型が確認された。農水省によると、H7亜型の確認は1925年以来84年ぶりという。

2月27日、農林水産省と愛知県は、同県飼育されていたウズラから、高病原性鳥インフルエンザウイルス「H7亜型」が検出されたと発表した。

同県は、この農場への立ち入りを制限し、消毒作業などを実施した。飼育されていた32万羽のうち成鳥の28万羽を近く殺処分する。愛知県は半径10キロ以内を移動制限区域として飼い鳥や病原体を広げる恐れのある物品の移動を禁止したほか、食鳥処理場など21か所の閉鎖措置を講じた。農場の10キロ圏内には鶏やウズラなどの農家が65戸あり、約406万羽を飼っている。今後、周辺農場や関連農場も立ち入り検査する。(2009年2月27日 読売新聞)

今回の鳥インフルエンザ、弱毒性でまだ1羽も死んでいなかったのに、28万羽殺処分というのはかわいそうだが、放っておけば強毒化するおそれもあり、やむを得ないという。ウズラはプラスチックのケースに入れられ、そこに二酸化炭素を注入、窒息死させるという。合掌。

過去の鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザはすぐに人に感染するわけではないが、変異しながら増殖するので、人に感染するタイプに変異することが恐れられている。鳥インフルエンザに感染した鳥の肉や卵を食べて人が感染したとの確認例はない。

過去に起きた鳥インフルエンザとしては、2008年5月 秋田県や北海道でオオハクチョウの死骸から鳥インフルエンザウイルスが検出された例がある。

20007年1月、宮崎県清武町の養鶏場で飼育していた約1万2000羽の肉用種鶏のうち約3800羽が死んだ。農林水産省は、H5型のウイルスであることを確認した。

このとき宮崎県は、発生場所から半径10キロ以内の鶏や卵の移動を禁止。このときは約5万羽が殺処分されたという。

2005年6月には、埼玉県で鳥インフルエンザウイルスが見つかったことから、農水省は全国的にウイルスの感染の見直しを実施した。茨城県から31カ所の養鶏場でウイルス感染歴を示す抗体陽性反応が確認された。そこで全国的に各養鶏所の鶏数十羽から気管の粘液などを採取し、ウイルスの有無を2週間毎に計6回検査する監視プログラムを実施した。

2005年11月15日までに、茨城県の国内大手のイセファーム系列の採卵養鶏場(約77万羽)でウイルスが検出された。農水省の監視プログラムを実施した養鶏場から鳥インフルエンザウイルスが検出されたのは国内で初めてである。

こうした素速い対応で、人に対して感染被害が出ないようにしているのは、過去にインフルエンザで、人類は何度も痛い目にあっているからだ。

インフルエンザ、過去の流行
1918年から1919年にかけて、スペインかぜの大流行が発生。人類は初めてインフルエンザの世界的大流行に遭遇した。このときの感染者数は6億人、死者は4000-5000万人にのぼると言われる。スペインかぜの病原体はのちにH1N1亜型のA型であることが明らかになった。

1933年、ワシントンで発生したインフルエンザの患者から分離されたウイルスを使って、フェレットの気道に感染させてヒトのインフルエンザとよく似た症状を再現できることが実験的に示された。この実験によって、インフルエンザの病原体がウイルスであることが明らかとなり、インフルエンザウイルス(後にA型インフルエンザウイルス)と名付けられた。

1940年、インフルエンザ患者から従来とは抗原性が異なるウイルスが分離され、B型インフルエンザウイルスと名付けられた。

1946年、鼻かぜ症状を呈した患者からA、B型と異なるウイルスが分離され、1950年に病原性が証明されてC型インフルエンザウイルスと名付けられた。

1957年、アジアかぜが世界的大流行を起こす。それまで流行していたH1N1亜型とは異なり、H2N2亜型に属する新型ウイルスであることが明らかになった。同時にH1N1亜型のものは姿を消した。

1968年、香港かぜの世界的大流行。H3N2亜型に属する新型ウイルスであった。同時にH2N2亜型のものは姿を消した。

1977年、ソ連かぜが流行。これはスペインかぜと同じH1N1亜型に属するものであった。アジアかぜ以降姿を消していたH1N1型が再び出現した理由は明らかになっていない。このときはH3N2亜型は姿を消すことなく、以後H1N1とH3N2が毎年流行を起こすようになっている。

1997年、香港でH5N1亜型という新型の、しかも高病原性インフルエンザウイルスが、トリからヒトに直接感染して死者が発生した。トリからヒトへの直接感染は起きないというそれまでの定説を覆すものであり、世界的大流行が危惧されたが、ヒトの間での伝染力が低かったため大流行には至らなかった。

2001年、欧米や北アフリカ、中近東の数カ国でH1N2亜型に属するウイルスがヒトの間で流行していることが確認された。これはH1N1亜型のH1とH3N2亜型のN2を併せ持ったウイルスであった。2006年現在、流行は小規模にとどまり、H1N1やH3N2に取って代わるほどの勢いはない。(出典:Wikipedia「インフルエンザウイルス」)

 

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