X線の正体は何か?
X線を発見した人は誰か? そう、第1回ノーベル物理学賞を受賞した、レントゲンである。当時はX線の正体がわからなかった。正体が分からないから、X線と名付けられた。レントゲンは自分や奥さんの手を撮って骨が見えることを示して、まず医学関係に広がった。
その後X線は、物理学では波長が1pm - 10nm程度の電磁波であって、放射線の一種であることがわかった。放射線とは電離作用を有するエネルギーの高い電磁波や粒子線のことで、電離作用とは原子の軌道電子をはじき飛ばすことによって、原子を陽イオンと電子に分離する作用のこと。
このため、細胞にX線があたると体を形成している細胞をつくっている物質が電離する。生物の体には自己修復能力があるから、大概は修復される。ところが細胞の中のDNAが電離され破壊され過ぎると、修復したくても修復できなくなることがある。これが放射線障害で、細胞の活動が異常化し、がんを引き起こしたり、ひどい場合には死に至る。
X線は、なぜ電磁波だと分かったのか?
では、X線が電磁波であることを発見した人は誰であろうか?
正解は、マックス・フォン・ラウエである。ドイツの物理学者で、レントゲンの発見から20年後の1912年に発見した。具体的には、X線を結晶にあてると、光のように回折し、独特の模様を描くことを発見した。これをX線回折という。
光は電磁波の一種であるから、これによりX線は波長の非常に短い光だということが確認されたのである。この業績により1914年マックス・フォン・ラウエはノーベル物理学賞を受賞する。受賞理由は「結晶によるX線回折現象の発見」である。
今日、この現象を利用して、物質の結晶構造が調べられる。このようにX線の回折の結果を解析して結晶内部で原子がどのように配列しているかを決定する手法をX線結晶構造解析あるいはX線回折法という。
光の回折とは何か?
波の持つ特徴の1つに「回折」という現象がある。波が穴のあいた壁にあたると、壁の裏側にまわりこむようにして広がって伝わる現象である。
例えば音は「音波」といって波であることがわかっているが、壁などの障害物があって相手の姿が見えなくても、こちらから声をかければ話ができる。これは、音が、障害物にぶつかってもそこで止まらず、障害物の裏側に回り込んで進むためである。
同様に「光の回折」は、簡単にいえば、光が壁があたって広がる現象である。例えば、レーザ光線などを使って小さいピンホールに平行光を当てると、ピンホールを通った光は細い平行光になりそうに思える。ところが、実際にやってみるとピンホールの径が小さいほど光が広がってしまう。この現象が回折である。
これは、ピンホールを通るときに光が波として回り込むために起こると考えられる。光が粒子であればこの現象は説明することができない。
「マックス・フォン・ラウエ」とは?
マックス・テオドール・フェリックス・フォン・ラウエ(1879年〜1960年) は、ドイツの物理学者。結晶によるX線の回折現象を発見し、X線が電磁波であることを示した。その業績により1914年のノーベル物理学賞を受賞した。
ベルリン、ゲッティンゲンで学んだ後、1905年からプランクの助手となる。その後各地の大学に勤めた後1919年からベルリン大学の教授となり1943年までその職にあった。
結晶によるX線の回折現象の発見は1912年のことである。硫化亜鉛の結晶にX線を照射し、回折像を得ることによって、X線が電磁波であることを示した。物質の結晶構造を調べるために白色X線(多波長のX線)を用いて回折写真をとる方法はラウエ法と呼ばれる。
アインシュタインの相対性原理の最も早い理解者のひとりで、アインシュタインのゲッティンゲン大学の講義に参加し、1907年にフィゾーの実験についての相対論を数学的にまとめた書物を発表している。 子息にアメリカで活躍した歴史学者のセオドア・フォン・ラウエ(1916-2000)がいる。
参考HP Wikipedia「光の回折」「X線回折」「マックス・フォン・ラウエ」
パソコンによる結晶とX線回折―アナグリフによる結晶格子の理解 真野 倖一,神志那 良雄 共立出版 このアイテムの詳細を見る |
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