MOX燃料輸送中
使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを、一般の原子力発電所で燃やす「プルサーマル」の国内初めての実施にむけ、核燃料MOXを積んだ輸送船がフランスを出港したが、この輸送船は日本に5月後半に到着する見通しであることを電力各社が明らかにした。
プルサーマル用の核燃料の輸送は、中部電力と四国電力、それに九州電力の3つの電力会社が依頼したもので、3月6日午前1時ごろ、輸送船が、フランスを出港した。電力各社は、いわゆる「核ジャック」を理由に輸送ルートや到着時期を事前には明らかにしていなかったが、輸送船がフランスの領海を離れた6日午後になって、おおよその到着時期などを公表した。
遅れるプルサーマル計画
今回輸送される核燃料は、静岡県の浜岡原発、愛媛県の伊方原発、佐賀県の玄海原発の3つの原発で使われることになっている。どの順番で運ぶかについても公表されていない。プルサーマルは、2010年国内の発電所では16〜18基の原発に導入することが予定されているが、各地の住民が反対しており目標達成は難しい。
現在、事前合意が成立しているプルサーマル発電予定地は5ヶ所。玄海原子力発電所3号機、伊方原子力発電所3号機、高浜原子力発電所3号機および4号機、浜岡原子力発電所4号機、泊原子力発電所3号機である。
原子力発電所とは何か?
原子力発電所とは、原子炉におけるウランやプルトニウムの核分裂反応の際、発生する熱エネルギーを利用して蒸気タービンを動かし発電する発電所のこと。
1942年、米国のエンリコ・フェルミが、実験炉で原子力発電の原理となる核分裂の連鎖反応を行うことに成功した。
1951年、原子力発電は米国のEBR-Iという最初の原子力発電所から始まる。EBR-Iの当初の発電容量は1Kwであった。その後、各国で原子炉が建設される。
1954年7月、国連において原子力に関わる国際会議、第1回ジュネーブ会議が開催された。
1963年10月26日、日本で最初の原子力発電が行われた。実験炉であるJPDRが初発電を行った。これを記念して10月26日は原子力の日となっている。
その後、原子力撤廃の流れがあったが、原油の価格高騰や地球温暖化防止を背景として建設され、現在日本の発電量の30%が原子力発電である。
現在、本来の燃料であるウラン235の核分裂によってできるプルトニウムを、ウラン238と混合してできるMOX燃料を使う「プルサーマル計画」が進んでいる。
プルサーマル計画とは何か?
プルサーマルとは、中性子によりプルトニウムを核分裂させて発電を行う原子炉のことを指す。プルサーマルの「プル」とはプルトニウム、「サーマル」とはサーマルリアクター、軽水炉のことである。
プルトニウムは原子炉において、ウラン238を燃やしてできる放射性元素であるが、まだ核分裂をするので、原子炉のエネルギーとして利用できる。
通常の原子炉の80%が軽水炉であるが、軽水とは普通の水のことで、水が減速材と冷却材を兼ねている。
軽水炉では、ウラン235とウラン238を混合したウラン燃料を核分裂させることで熱エネルギーを生み出す。このとき、ウラン238が中性子を吸収することにより、プルトニウム239が生成され、そのプルトニウム239自体も核分裂する。
その結果、全発電量中のプルトニウムによる発電量は平均約30%となる。特にプルサーマル発電でなくても、運転中の軽水炉の中にはプルトニウムが存在し、ウラン同様に発電に利用されている。
MOX燃料とは何か?
これに対しプルサーマルではMOX燃料と呼ばれるウラン238とプルトニウムの混合酸化物(Mixed Oxide)を燃料として使用する。
プルサーマルで使われるMOX燃料は、プルトニウムの含有量(富化量)が4〜10%であり、発電量全体に占めるプルトニウムによる発電量は平均50%強となる。
なお高速増殖炉でもMOX燃料が使用されるが、プルトニウムの含有量は20%前後である。もんじゅのような高速増殖炉では高速中性子によってプルトニウムを核分裂させる。
参考HP Wikipedia「プルサーマル」「原子力発電」・北陸電力・四国電力
プルサーマルの科学―21世紀のエネルギー技術を見通す (朝日選書) 桜井 淳 朝日新聞社 このアイテムの詳細を見る |
プルトニウム発電の恐怖―プルサーマルの危険なウソ 小林 圭二,西尾 漠 創史社 このアイテムの詳細を見る |
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