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原子力発電の効率を上げよ
原子力発電が全発電量の30%もあるということは、大きなことだと思う。太陽光発電などの新エネルギーに、国がもうひとつ本気を感じないのは、原子力エネルギーも使いたいのかもしれない。何といってもCO2の排出がないというのが魅力である。
だが、石油・石炭と同じようにウランも有限なエネルギーである。このまま消費すればあと85年でなくなってしまうという。やはり貴重なウランは少しでも節約して使いたい。
こうして出てきたアイデアが、「核燃料サイクル」である。これは、原子力発電所から出た使用済み核燃料を、再処理して、核燃料として使用できるようにすることで、これには現在2つの方法が考えられている。
核燃料サイクル
一つはMOX燃料の形で軽水炉で燃やす方法であり、この方法は日本ではプルサーマルと呼ばれている。プルサーマルは1960年代に開始され、2002年時点で55基がプルサーマル運転の実績を持っている。プルサーマルでは10〜20%エネルギーを節約できる。
もう一つは、高速増殖炉でウラン238をプルトニウム239に転換しながらの運転を行う方法だ。高速増殖炉は、高速で中性子をぶつける原子炉で、こうすると、ウラン235が分裂しながら、ウラン238がプルトニウムに増殖するのでこう呼ばれている。
もとのウランにはウラン235は0.7%しか含まれておらず、あとの99.3%はウラン238であり、これは核分裂しない。しかし、高速中性子をぶつけるとウラン238はプルトニウムに変わる性質がある。プルトニウムは核分裂するので燃料になる。こうなるとエネルギー効率は、一挙に約100倍上がるしくみだ。
日本の高速増殖炉
しかし、この制御技術は難しく、フランス、アメリカを始め、多くの国で高速増殖炉の計画を中止している。現在も続けているのはロシア、中国、インドそして、日本である。
日本の高速増殖炉には「常陽」と「もんじゅ」がある。「常陽」は実験炉であり、1970年着工し、1977年には初臨界に達した、現在運転中であるが、発電は行っていない。もんじゅは一歩進んだ原型炉で、1980年着工、1994年に初臨界に達したが、ナトリウム冷却材の漏洩事故があり、現在も停止中である。
初臨界とは、原子炉から制御棒を引き抜いていくと核分裂が生じ、熱を発生するようになる。これは核分裂が持続的に起こり始めたためで、この持続的に進み始める境目を臨界といい、新設の原子力発電所が初めて臨界に達することを「初臨界」という。
「もんじゅ」とは何か?
「もんじゅ」とは、福井県敦賀市にある高速増殖炉である。1995年12月、2次冷却系ナトリウム漏洩事故が発生し、現在停止中で、運転再開のための試験を行っている。
「もんじゅ」は、発電できる高速増殖炉としては我が国唯一の原子炉で、運転しながら、消費した以上の燃料を生み出すことができる。
原子力施設の安全対策の目的は、放射線の人への影響を防ぐこと。 そのために「もんじゅ」では、放射性物質が外部に漏れ出さないよう、 いくつもの安全対策が施されている。たとえば 「もんじゅ」には放射性物質を閉じ込める5重の障壁が設けられている。
また「もんじゅ」では、例え大きな地震が起きても周辺の環境に放射性物質による影響を 及ぼすことのないよう、十分な地震対策が施されている。
「もんじゅ」の意義
軽水炉(通常の原子炉)のみの核燃料サイクルでは、天然ウランは近い将来なくなってしまうと考えられる(一つの目安としてウランの可採年数は80〜90年と評価されている)が、高速増殖炉を導入することにより、ウラン資源を効率的かつ長期にわたって利用可能となる。
例えば、軽水炉で新しいウラン燃料を一度燃やすだけでは、天然ウランの利用効率は0.7%程度であるが、高速増殖炉を導入し、燃やした燃料を何度もリサイクルして燃やした場合、天然ウランの利用効率は理論的には60%程度になると算出されている。
高速増殖炉を導入すれば、そもそもウラン濃縮が不要となるため劣化ウランが発生しなくなるばかりか、これまでに発生した劣化ウランも燃料として利用できる。
また、MOX燃料を使うことができる。軽水炉と違い、プルトニウムをそのまま使用できるため、核兵器解体後のプルトニウムの焼却にも使用できる。
参考HP Wikipedia「高速増殖炉」「もんじゅ」・ 「もんじゅ」がひらく未来
プルサーマルの科学―21世紀のエネルギー技術を見通す (朝日選書) 桜井 淳 朝日新聞社 このアイテムの詳細を見る |
高速増殖炉の恐怖―「もんじゅ」差止訴訟 原子力発電に反対する福井県民会議 緑風出版 このアイテムの詳細を見る |
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