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4回目の打ち上げ延期
若田さんが搭乗するスペースシャトルはよく打ち上げ延期になる。3月11日のスペースシャトル打ち上げ延期は、なんと若田さんにとって4回目の中止だ。

今回の延期原因は燃料系の弁の破損が理由。この弁は「水素ガス加圧ライン流量調節弁」といって長さ約7cmの弁。3基のエンジンに外部燃料タンクから、燃料の液体水素を取り込む際に一部の液体水素を温めて気化させ、タンクに戻し、その圧力で液体水素をエンジンに送り出す。この時の流量を調節する働きをする弁だ。

この弁が原因不明の破損を起こした。金属疲労をするには早すぎ、根本的な原因がわからない。ここから出発前の燃料注入中に、ガス漏れが発生したのだ。弁は3つあるので、1つくらいでは支障はないのだが、破片でパイプが破れないともいえない。これを取り替えて16日。ようやく打ち上げに成功した。

過去の事故の教訓
NASAはアポロ計画の第3号で、1967年1月27日の地上訓練中の火災事故により、バージル・グリソム、エドワード・ホワイト、ロジャーチャフィー3名の尊い命を犠牲にしている。事故後に彼らの遺族の要望によって、彼らが搭乗する予定だった飛行ミッションがアポロ1号と命名された。

この事故から、打ち上げ前の入念なチェックは欠かせない。事故から学ぶ原因は防げても、次から次へと新たな原因で事故は起きる。1986年1月28日にはスペースシャトル「チャレンジャー」が、再び7名の命を犠牲にした。原因は燃料ガス漏れ、打ち上げ時の強烈な振動のために、ガス漏れが拡大、最後は引火し爆発した。

今回も燃料漏れがあったが、事前に見つかり補修することができたのはよかった。

米国東部夏時間2009年3月15日午後7時43分(日本時間3月16日午前8時43分)に、NASAケネディ宇宙センター(KSC)からスペースシャトル「ディスカバリー号」は、打ち上げられた。

今回の若田さんのミッションは何だろう?

STS-119ミッションについて
今回の若田さんは、スペースシャトルのロボットアームを操作して、機体の損傷点検や、国際宇宙ステーション(ISS)の組み立てを行う。具体的には、4つ目で最後となる太陽電池パドル(Solar Array Wing: SAW)を国際宇宙ステーション(ISS)に取り付ける。これによりISSの電力は、最大となる。

そして、一番大きなミッションは、国際宇宙ステーションでの長期滞在である。若田さんは、3月17日夜(同3月18日午前)のドッキング直後にISSクルーの一員となり、ISSでの3ヶ月間の滞在を開始する。

若田さんは将来、人類が長期宇宙旅行をすることを想定して、人体がどう変化するかを自ら実験台となって試すほか、宇宙での暮らしをインターネットのブログを使って発信する予定だ。

宇宙ではカルシウムが溶ける?
無重力状態の宇宙空間では、筋肉をあまり使わないため衰えやすい。骨のカルシウムが溶け出し、骨折もしやすくなる。調査では、6カ月間宇宙に滞在した飛行士の半数で、少なくとも1カ所の骨量が9%以上減少した。飛行士には毎日2時間半の運動が義務づけられているが、運動だけでは防ぎきれない。

若田さんは骨粗しょう症の代表的な予防薬を週1回飲み、無重力状態で効き目があるかどうかを調べる。ISSでは初の試みだ。

また、宇宙空間には強い放射線が存在する。若田さんが1日に浴びる放射線量は、地上の一般人が約半年で浴びる量に匹敵する。若田さんは小型の線量計を常に身につけ、被ばく量を正確に測定する。

若田さんは「日常での生活を豊かにするとともに、月、火星へと人類の活動領域を広げていくために必要なデータをとり、貢献したい」と話す。

おもしろ宇宙実験
その他、週に2日の休みには、宇宙での生活に関心を持ってもらおうと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が選んだ「おもしろ宇宙実験」を行う予定。これは、滞在中の若田さんに、実施してほしい宇宙実験として、公募した1597件のアイデアの中から16件を選んだもの。

選ばれた実験は「宇宙で目薬をさせるか」「空中に浮かんでクロールのように腕をかいたら前に進めるか」「魔法のじゅうたんのように布の上で浮かべるか」「自分の息や、扇であおいで移動できるか」など。

参考HP JAXA 宇宙ステーション・きぼう「ミッションSTS-119」 

ぼくの仕事は宇宙飛行士
若田 光一
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