
各地で夏日
暖かくなるのはうれしい限りだが、地球温暖化のためか例年に比べて気温が高い。3月19日には、高気圧に覆われ南から暖かい空気が流れ込んだ影響で各地で5〜7月並みの陽気となった。
気象庁によると全国822観測地点のうち東北を中心に75地点で一日の最高気温が3月の観測史上、最も高くなった。また、富山、福島、島根、宮城など36地点で、最高気温が25℃を突破、夏日を記録した。
花粉は不要?有用?
この気象、花粉症には当然よくない。横浜の三渓園で見た杉の枝に触れると黄色い花粉が飛び散った。こういう日は、外出時にはマスクをし、花粉を極力、吸わないことが大切だ。
さて、嫌われがちの花粉であるが、花粉の中には生物にとって有用な物質が含まれているのはご存じだろうか?
例えば花粉は生殖細胞であり、人の性ホルモンである、エストロゲンやアンドロゲンも含んでいる。また、人にも重要なカルシウム、マグネシウム、銅、鉄、リン、塩素、硫黄、シリコンなどの多くの微量栄養素を含んでいるという。
今後は、サプリメントの原料に利用されるかもしれない。
花粉の働き
さて今回、名古屋大学の東山 哲也 教授らは、植物のめしべ内で雄の花粉管をおびき寄せる花粉管誘引物質を発見した。
これまで、花粉から花粉管が伸びて、胚珠の卵細胞で受精することが知られていたが「なぜ花粉管が迷わずに卵細胞にたどり着けるのか?」は疑問であった。
これについては、140年も前から花粉管をおびき寄せる誘引物質が存在するのではないかと考えられ、探索されてきた。
花粉管誘引物質「ルアー」
東山教授らは近年、卵の部分が母体組織から突き出る「トレニア」というユニークな植物を使って、卵の隣にある「助細胞」が誘引物質を分泌することを世界に先駆けて示していた。
本研究では、トレニアの助細胞だけを顕微鏡下で取り出して、どのような遺伝子が発現しているかを解析。その結果、助細胞だけで多く作られて細胞外に分泌される小さなタンパク質の存在と、その強い誘引活性を突き止めた。
この誘引物質は少なくとも2種類あり、本研究ではこのタンパク質を、花粉管をおびき寄せる性質から「ルアー」(LURE1、LURE2)と名付けた。
今回、花粉管誘引物質が同定されたことによって、植物における受精のしくみの解明が大きく進展するだけでなく、今後、品種改良などへの応用が期待されている。
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植物の受精導く物質発見 名大チーム、140年の謎解明
植物のめしべに花粉がついた後、受精を導く物質の正体を、東山哲也・名古屋大教授(植物細胞学)らのチームが突き止めた。140年前から研究されてきたが、長く謎だった。ふつうは受精しにくい種の間で有用な雑種をつくり出す道を開く可能性がある。19日付の英科学誌ネイチャーに発表、写真が表紙を飾る。
花を咲かせる植物は、めしべの先端に花粉がつくと、花粉から「花粉管」と呼ばれる細い管が伸びて、めしべの中にある「卵細胞」に到達、受精する。しかし、なぜ花粉管が卵細胞へと伸びていくのかなど、受精の詳しい仕組みは、わかっていなかった。
東山さんは東京大助手だった2001年、ゴマノハグサ科の園芸植物「トレニア」で、卵細胞の横にある「助細胞」が花粉管をひきつける物質を出すことを報告。その正体の解明を続けていた。
チームは今回、助細胞でつくられるたんぱく質に注目。少なくとも2種類のたんぱく質が花粉管の誘引物質として働くことを見つけた。
花粉管をおびき寄せる性質から「ルアー1」「ルアー2」と名付け、助細胞でこれらのたんぱく質ができないと、花粉管が卵細胞へと伸びないことも確かめた。
こうした誘引物質を使えば、植物の受精を人工的に制御できる可能性がある。
東山さんは「誘引物質は植物ごとに異なり、今後はトレニア以外の植物でも見つかるだろう。花粉管がどのようにこの物質を受け取っているのかも研究し、植物の受精の仕組みを明らかにしていきたい」と話す。(2009年3月19日 asahi.com)
参考HP Wikipedia「花粉」「花粉管」・科学技術振興機構(JST)植物の花粉管誘引物質を発見-140年来の謎解明
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