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マッコウクジラの発掘

2009年3月12日、鹿児島県南さつま市の小湊海岸で、マッコウクジラのあごと頭の骨が発掘された。 このクジラは2005年7月、遠浅の浜辺で座礁しているのを漁船に発見されたもので、当初生きていて、漁協が救出を試みたが衰弱死したもの。

これを砂に埋め、4年間放置しておいたところ、白骨化した。国立科学博物館(東京)が骨格標本にし、朝日新聞社とともに来年夏、同館で開く特別展「海のどうぶつ展」で展示する予定だという。

このクジラは体長約16メートル、体重48トンのオス。発掘で収容した骨は100個を超え、長さが約5メートルもあるあごの骨は数人がかりで運び出した。同館の山田格(ただす)・脊椎(せきつい)動物研究グループ長は「骨の状態は良好。歯の成長具合からみて、40年以上は生きたようだ」と話している。 (2009年3月12日 asahi.com)

マッコウクジラとは?
マッコウクジラは、ハクジラ類に属する海生哺乳類。 ハクジラ類の中で最も大きく、歯のある動物では世界最大。 その質量から現在知られる限りで史上最大の肉食動物である。

また、その生涯の3分の2を深海で過ごすことが知られている。軽く2,000mは潜ることができ、集団で狩りをすると考えられている。光の届かない深海においてはイルカと同じように反響定位(エコーロケーション)を用いる。家族同士での会話にも音を利用していると考えられている。

最近の研究によって、マッコウクジラの場合は、全身の筋肉に酸素を蓄えることが可能であるため 1時間もの間を呼吸することなく潜っていられることが明らかとなった。

クジラを浜に埋めて白骨化
今まで、骨格標本というと薬品で処理したり、鍋で長時間煮詰めたりするのは話に聞いていたことがある。昔、貝の標本をつくるのに砂に埋めて、貝の中味を腐らせたことがある。貝殻の美しさは失われることはなかった。貝の場合は煮てしまうと、変色してしまうのだ。

また、煮る方法で骨格についた肉を取り除く方法もあるが、どうしてもわずかな溝に肉が残ってしまい、においが長期間残ったりする。砂に埋めるだけでよいなら、時間はかかるが、有効な方法だと思う。今日は骨格標本の作り方について調べる。

骨格標本とは?
骨格標本とは動物の標本の作り方の一つで、骨格以外の軟組織を除去して骨のみを取り出して標本とした物である。しっかりした骨格を持つ動物で使われ、柔らかい組織を除去する処理が必要である。

骨格標本を作るのは、石灰質などのしっかりした骨格が発達する動物において、それ以外の部分を除去することで標本とする。脊椎動物のそれが代表的であるが、石サンゴの標本もこれが使われる。

骨格標本という場合、骨格だけを残すために軟らかい肉や組織の部分を完全に除去する処理を行う。それらは生物的に分解させて洗う方法と、化学的に分解する方法があり、時にはその両方が使われる。

骨格標本からわかること
骨格は保存性がよいだけでなく、分類学的にも重要な特徴とされる。例えばほ乳類では頭蓋骨の構造や歯の形や配置などが種に関しても、目などのより高次な分類段階においても重視される。また、生態学からは骨格の発達や歯のすり減り等から年齢など様々な情報を得ることが出来る。

また、動物の骨格は野外で拾うこともよくある。さらに、化石としても骨格のみが得られることもある。そのような場合、現生の動物骨格との比較することで、多くの情報が得られる。

展示する場合、生きていたときの状態につないで組み立てる。現生の動物であれば生きている状態がわかっているので、それに合わせて組み立てればよいが、化石動物の骨がそろった場合、これをどのように組み立てるが正しいかは簡単には判断できない。これを生きていた状態を想定して組み上げられるようにするのを復元といい、古生物学においてはそれ自体が大きな課題である。

骨格標本の作り方


化学的方法
動物の死体を炭酸ナトリウム1%水溶液で沸騰させないようにして煮込む。

比較的短時間で白骨化させることが出来る上に、骨の内部の油や雑菌などを取り除くことが出来るので保存性が良くなる。

中世時代から人体の白骨標本を造るために用いられてきた歴史がある。近代医学の発展に寄与した、イギリスの外科医ジョン・ハンターは人間を煮込むための特注の鍋をいくつも持っており、助手や学生達に人間や動物を煮込ませていたという。

生物的方法
水中埋没
動物の死体を水中に沈めておくことで腐敗と水生昆虫などによる食餌によって白骨化させる。
 
土中埋没
動物の死体を地面に埋めることで自然分解によって肉を取り除く方法である。もっとも簡単な方法であるが時間がかかる上に骨を痛めやすい、美術などで使用されている標本にはこの方法が多く用いられている。

昆虫に食べさせる
ある程度肉を剥がしたものを昆虫に食べさせる。カツオブシムシなどが使用され、ミールワームがこれに使われたこともある。

いずれにせよ、このような処理では肉が完全になくなるとは限らず、最終的には手洗いとブラシ、ピンセットなどによって細かいところの肉を掃除して、その後乾燥して仕上げる。

参考HP Wikipedia「骨格標本」「マッコウクジラ」

骨の学校―ぼくらの骨格標本のつくり方
盛口 満,安田 守
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