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光の時代が来た!
21世紀は光の時代だ。テレビはブラウン管から液晶ディスプレーに、照明は蛍光灯から LEDに、エネルギーはタービンから太陽電池に。光によって私たちの生活は様変わりし、飛躍的に向上した。「ひかりTV」では、光ファイバーをテレビにさすだけで、ハイビジョン番組を見ることができる。

そして光は、まだまだ可能性を秘め、今後ますます期待が集まる分野と言える。しかし、私たちはまだまだ、光を自由にコントロールできないでいる。例えば、光を捕まえて1ヶ所に留めておくことはできない。また、太陽電池の分野でも、光エネルギーの10%を電気エネルギーに変えているに過ぎない。まだまだ効率が悪い。

もっと光を!
自動車では、プリウスやインサイトなどの「ハイブリッド」が注目されているのは、燃費がよく、エネルギーの効率がよいからだ。エネルギーを効率よく変換して行くことは、今後も大切な課題である。

現在の光通信で使用されている、光信号と光信号をつなげる装置「光ルータ(光交換機)」は、送られてきた光信号をフォトダイオードで電気信号に変換し、その電気信号をコンピュータによって処理した後に、半導体レーザによって再度光信号に戻して送信している。

光エネルギー→電気エネルギー→光エネルギーと変換を繰り返しており、これでは効率が悪い。光エネルギー→光エネルギーの効率が求められていた。

光スイッチ
国立大学法人「奈良先端科学技術大学院大学」の物質創成科学研究科の河口仁司教授と片山健夫助教および博士前期課程2年の大井智裕らの研究グループは「半導体光スイッチ」「半導体光RAM」の研究を行っている。

光は電磁波の一種であり、進行方向に垂直な向きに振動している。太陽光など通常の光は、さまざまな方向に振動している。半導体レーザから出力される光は、一般にこの振動の向きが固定された直線偏光になる。

このスイッチを使うと、回路を伝わってきた光信号を、直接に半導体レーザが受けて、縦(90°)か横(0°)か、どちらか一定の方向に振動する偏光を放ち、「0」か「1」かに相当する2進法の数値を示すことで情報を伝えることができる。

光メモリ(光RAM)
また、この光スイッチは、例えば90°の偏光の向きで発光しているレーザに、それとは垂直な0°の光を入力すると、出力光の向きが0°にスイッチする。その後、入力光を消してもその発光状態が保持されるしくみ「偏光双安定性」を備えており、記憶装置(RAM)になり得る。

今回、この装置を4個接続し、これまでの4倍の4ビット(1ビットは情報の最小単位)の情報を同時に処理するメモリーができることを証明し、さらにビット数を増やせる可能性を示した。同時に複数の光信号を扱える記録素子である光メモリー(光RAM)の開発に世界で初めて成功した。

4ビットメモリーを実現したことは、光信号の中継や分岐の際に使う光交換機などの超高速化の実現に向けて大きな前進であるといえる。現在の通信速度(テラビット、テラは1兆)の1000倍も速いペタビット(ぺタは1000兆)の通信が可能になるといわれている。 

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次世代光通信のための高速光メモリーを初めて実現


次世代の光通信の実現には、直進する高速の光信号を自在に操り、一度に大容量の情報を扱える技術の開発が必要で、現在の光通信の限界を突破するとされている。

国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学(学長:安田國雄)物質創成科学研究科の河口仁司(かわぐちひとし)教授と片山健夫(かたやまたけお)助教および博士前期課程2年の大井智裕(おおいともひろ)らの研究グループは、同時に複数の光信号を扱える記録素子である光メモリー(光RAM)の開発に世界で初めて成功した。

河口教授らは、これまで世界最高速、最低エネルギーで処理できる記録素子を開発し注目を集めており、今回はこれを4個接続しこれまでの4倍の4ビット(1ビットは情報の最小単位)の情報を同時に処理するメモリーができることを証明し、さらにビット数を増やせる可能性を示した。

この成果により、光メモリーの処理能力が大幅にアップし、超高速、大容量の光通信が期待できる。この研究成果は、2009年3月22日から3月26日まで、米国・サンディエゴで開催され、世界の光通信、光エレクトロニクスの研究者が集まる 光ファイバ通信会議(OFC: Optical Fiber Communication Conference)で発表した。 (NAISTプレスリリース 2009年3月27日 )

参考HP Wikipedia「偏光」「RAM」「HDD」 ・奈良先端科学技術大学院大学「次世代光通信のための高速光メモリーを初めて実現

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