クロマトグラフィー(Chromatography)

 クロマトグラフィー は、物質を分離・精製する技法。物質の大きさ・吸着力・電荷・質量・疎水性などの違いを利用して、物質を成分ごとに分離する。

 クロマトグラフィーには、どんなものがあるのだろうか?

 クロマトグラフィー分離の物理化学的原理は、分配、吸着、分子排斥、イオン交換があげられる。 さまざまな、クロマトグラフィーの原理が存在するが、これらの分離原理を単独で示すものはなく、多かれ少なかれ、分配、吸着、分子排斥、イオン交換の分離作用を併せ持っている。



 クロマトグラフィーの担体

 クロマトグラフィーでは、分析したい物質を運ぶ「担体」が必要である。この担体を移動するときに物質は分離していく。担体には、紙(セルロース)やシリカゲル、アルミナなどが使われる。ガスクロマトグラフィーでは担体として、ヘリウム、窒素、アルゴンなどの不活性ガスが用いられる。

 もっともポピュラーなクロマトグラフィーとして分配クロマトグラフィーがある。これには薄層クロマトグラフィーとペーパークロマトグラフィーがポピュラーである。薄層クロマトグラフィーでは担体として、シリカゲル、アルミナ、ポリアミド樹脂などがよく使われる。


 ペーパークロマトグラフィー

 ペーパークロマトグラフィーは、ろ紙を用いる簡単なクロマトグラフィーである。ろ紙の下端から数センチのところにキャピラリでサンプルをスポットし、溶媒を用いて展開する。そこに発色試薬を噴霧するなどしてスポットが見えるようにする。

 ところで、ペーパークロマトグラフィーは誰が発明したのだろう?

 正解はロシアの植物学者ミハイル・ツヴェットが発明した。彼はジュネーヴ大学で物理学・数学を学び、のち植物学に転じた。クロロフィルの研究過程でクロマトグラフィーの方法を発見し1903年に発表した。「クロマトグラフィー」の語は1906年に命名した。

 もう一人は、ドイツの化学者リヒャルト・ヴィルシュテッターである。彼は1905年にチューリッヒ大学の教授になり、クロロフィルの研究を始めた。彼はミハイル・ツヴェットとは別にペーパークロマトグラフィーを開発し、植物色素の研究を行った。クロロフィルの構造解析や植物色素の研究の業績により、1915年にノーベル化学賞を受賞している。

 ミハイル・ツヴェットがリヒャルト・ヴィルシュテッターと共にノーベル賞を受賞できなかったのは、ロシア革命の混乱と重なったことで、彼の業績が死後になって分かったためである。


 クロロフィル・ポリフィン化合物

 彼は植物色素の構造も解析し、血液色素であるヘムがクロロフィル中で見つかったポルフィリン化合物に類似していることを示した。

 ポルフィリンとは複雑な構造を持つ、有機化合物である。このような複雑な構造をどうやって解析できたのだろうか?
 ポルフィリンの中心に鉄原子が入れば動物性色素であるヘムができ、ポリフィリンの中心にマグネシウム原子が入れば植物性色素であるクロロフィルができることを解明したのは素晴らしい。

 リヒャルト・ヴィルシュテッターは、クロロフィルや他の植物色素の研究により1915年にノーベル化学賞を受賞した。 受賞理由は「植物色素物質に関する研究」。


参考HP Wikipedia「リヒャルト・ヴィルシュテッター」「クロマトグラフィー」「ミハイル・ツヴェット」「クロロフィル」「ポルフィリン」「ヘム」 



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