科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 E-B 対応とE-H 対応
 これまで力を表す式として、力学、熱力学、電磁気学でいう「力」について学んできたが、磁場による力はどう表したらよいのだろうか?

 実は、磁場に関しては歴史的経緯から二種類の流派があり、現在でも両方が使われており、これが磁場をわかりにくくしている原因でもある。それがE-B 対応とE-H 対応である。

 E-B 対応は、全ての磁場は電流から発するとし、基本公式を次のように表す。

   F = I L B 

  I は電流、L は導線の長さ、Bは磁束密度である。

 一方のE-H 対応は、磁場にもその源になる磁荷が存在し、N極とS極が単独で存在すると考えて、クーロンの法則が成立することを出発点とする。

   F = k qm1 qm2/r2 = qm H

 qmは磁荷、rは距離、kは比例定数

 磁場の正体は電子スピン
 現代の電磁気学では、単極磁荷は存在せず「全ての磁場は電流から生じる」としている。磁石が発する磁場の正体は磁石を構成する原子の「電子スピン」、すなわち電子の回転による「電磁石」と考えられるので、この磁力は電流が原因と見なせる。

 そのため現代の電磁気学においては、物理的な描写が正しいE-B 対応が主流を占めている。しかし、現在でもE-H対応を前提とする電磁気学の教科書はあることから、いま読んでいる本がE-B 対応とE-H 対応のどちらで書かれているかを意識することは必要である。

 結局磁界や磁場はどう表されるか?
 磁界とは、磁力のはたらく空間であり、磁場とほぼ同じ意味である。単に磁場と言った場合は、磁束密度 Bを表していることが多い。しかし、磁場の強さは H で表すことが多い。

 磁束密度Bは文字通り磁束の単位面積当たりの面密度のことである。磁束密度Bは磁界中の直線電流に 1A の電流が流れるとき、その電流が長さ 1m あたりに受ける力と定義している。式は次のようになる。

   F = IL B  

 磁場の強さ H は、強さqmの磁気量をもつ棒磁石のN極が、電磁気力 F を受けるとき、磁場の強さ H は次式で表される。

   H = F/qm   単位は[N/Wb]

 アンペールの法則
 アンペールは、直線電流を流すと、電流の方向を右ネジの進む方向として、右ネジの回る向きに磁場が生じることを発見した。これを右ねじの法則という。閉じた経路として半径 r の同心円をとる。磁場の大きさを H とすると次の式が成り立つ。

   H = I /2πr   単位は[A/m]

 円形電流の作る磁界
 円形電流によって生じる磁力線は,円の中心では磁力線は円を垂直に貫く。その向きは電流の回っている向きに合わせれば、右ねじの法則に従う。強さI[A],半径r[m]の円形電流が円の中心に作る磁界の強さH[A/m]は・・・

   H = I /2r   単位は[A/m] 

 ソレロイドコイルを流れる電流の作る磁界
 ソレノイドコイルとは円筒形の長いコイルのことである。ソレロイドコイルを流れる電流によって生じる磁力線は、右手の親指以外を電流の向きだとすると、親指の指す向きが、磁界の向きになる。十分に長いソレロイドコイルに電流を流したとき、この電流によってコイル内部に生じる磁界の強さ H は、至る所一様である。コイルの長さL[m]、巻数をN[巻]とすると、コイルの単位長さあたりの巻数は、n = N/L [回/m]なので、コイルに流れる電流を I とすれば・・・

   H = n I    単位は[A/m] 

 

参考HP Wikipedia「磁界」「磁場」「磁力」「E-B 対応とE-H 対応」 

単位が取れる電磁気学ノート (単位が取れるシリーズ)
橋元 淳一郎
講談社

このアイテムの詳細を見る
詳解電磁気学演習
後藤 憲一,山崎修一郎
共立出版

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ  ランキング ←One Click please