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 6月23日沖縄 慰霊の日
 沖縄県は23日、「慰霊の日」を迎えた。太平洋戦争の末期、最後の激戦地となった沖縄戦から64年が経過した。

 糸満市摩文仁(まぶに)の丘の平和祈念公園で「沖縄全戦没者追悼式」が開かれた。式典には、麻生首相、仲井真知事、衆参両院議長、遺族ら約4500人が参列。正午から1分間、黙とうした。

 同県には在日米軍基地が集中するほか、未だに約2500トンの不発弾が地中に残るとされる。今年は糸満市で不発弾爆発事故が起き、犠牲者を出した。

 県福祉・援護課によると、沖縄戦の日本側の戦没者は推計約18万8000人で、うち住民は約9万4000人。同公園の「平和の礎(いしじ)」に並ぶ刻銘碑には沖縄戦に絡み戦死した日本兵や県外で亡くなった県出身者の名も刻まれており、今年、新たに123人を追加し総数24万856人となった。(2009年6月23日  読売新聞)

 8月6日広島 原爆の日
 その後1945年8月6日には、広島県広島市に、8月9日には、長崎県長崎市に対して投下した原子爆弾が投下され8月15日の終戦を迎えることになる。

 ところで原子爆弾というと被爆による放射線症によって、長期の障害に苦しむことが知られている。例えば10年、20年経った後に発症することも少なくない。60年以上経った現在でも、新たに発祥するケースが見られる。

 こうした過去の傷を乗り越え、現在広島、長崎は復興し発展を遂げている。しかし、あのとき大量に放出された放射線は今はどうなったのであろうか?大勢のひとが広島、長崎に生活しているが、もう体に害はないのだろうか?

 現在の広島・長崎の残留放射能は少ない。その理由は、死の灰が地球上に広く拡散していったというだけでなく、そもそも飛び散った放射性物質の総量がもともとそれほど多くなく、汚染は比較的小規模だったからである。

 原子爆弾の放射性物質
 原爆の爆発によってばらまかれた「放射性物質」は、キノコ雲に乗って成層圏まで吹き上げられ、そのまま大気中を漂ったり、原爆のもたらした物理的破壊によって空中に吹き飛ばされた埃に付着して地表に降り注いだりした(死の灰、黒い雨)。

 地表に降り注いだ放射性物質の一部は雨水とともに土壌に染みこみ、また風で吹き飛ばされて広く拡散した。

 たしかに、放射性物質はα崩壊・β崩壊により、その半減期に従って、減少していくしかないので、広島・長崎の原爆の放射性物質は、空中に吹き飛ばされようが土壌に染みこもうが、未だに地球上のどこかには存在している。

 しかし、原子力発電所に比べ、原子爆弾の放射性物質、ウランやプルトニウムの量はさほど多くない。例えば広島・長崎の爆発後に環境に放出された放射性物質の総量は、チェルノブイリ事故のそれの400分の1に過ぎなかったと言われている。

 また、広島・長崎の被爆者に放射線障害をもたらした最大の原因は爆発したその瞬間に放出された強力な放射線は、α線やβ線よりも主にγ線であったことが知られている。

 半減期とは何か?
 それにしても、放射性物質が危険であることに変わりはない。放射性物質の放射量の量が半分になる時間を半減期という。

 半減期は例えば、質量数238のウランの半減期は44億6800万年である。ところが、中性子が1つ多い質量数239のウランの半減期は23.5分である。

 さらに極端に長い半減期を持つ核種が存在する。質量数115のインジウムの半減期は441兆年、質量数149のサマリウムでは2,000兆年である。最近、質量数209のビスマスは、1.9×1019(1,900京)年に及ぶ半減期の放射性核種であると認められた。

 短い方では、たとえば質量数266のマイトネリウムの半減期は0.0034秒、質量数267のダームスタチウムの半減期は0.0000031秒がある。簡単に言うならば、あまりにも原子核が大きくなりすぎて、その結合を保っていられる期間がこの程度の長さしかないということである。

 これらの半減期の短い核種は、どんどん崩壊していき放射能を失っていくが、短時間に多量の放射線を放つため直接的な被曝の危険度が高い。

 半減期の式
 半減期は放射性元素のはじめの原子数が、Noとし、半減期を T、経過した時間を t すると、できた放射性元素の原子数を N とすると次のように表される。

   N = No(1/2)t/T      N/No = (1/2)t/T 

次の問を考えてみよう。

放射性元素14C 年代測定法


 ある遺跡から出土した木材に含まれる14Cと12Cの割合を調べたところ、現在の植物体の割合の25%になっていることがわかった。14Cの半減期を5700年とすると、この木材が伐採されたのは何年前か。

解答 N/No = (1/2)t/T      であるから、

    0.25 = (1/2)t/5700     これより、t = 22800年  

 

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