熱力学のエネルギー保存の法則
ユリウス・ローベルト・フォン・マイアーは、ドイツの物理学者。熱と仕事が相互に変換可能であること、エネルギー保存の法則を1842年5月31日に論文で発表した。
ジェームズ・プレスコット・ジュールはイギリスの物理学者。1847年、熱の仕事当量に関する論文を発表。ただし、この論文は学術誌には取り上げられず、マンチェスターの新聞に掲載されたのみであった。
しかし、ウィリアム・トムソンは実験技術も含め、この結果を高く評価し、その後、広く受け入れられるようになった。ジュールはその栄誉を讃えられ、熱量の単位ジュールに、その名をとどめる。
ところがマイヤーやジュールらが熱力学によるエネルギー保存の法則を発見する以前に、化学の分野でエネルギー保存の法則を発見した人物がいた。それがスイス生まれのロシア化学者ジェルマン・アンリ・ヘスである。
化学反応のエネルギー保存の法則
1840年、ヘスは化学反応の反応熱の総量は、その反応の初めの状態と終わりの状態で決まり,途中の経路には関係しないというヘスの法則を発表した。時期的にはマイヤーがエネルギー保存則の論文を書く2年ほど前であった。
ヘスの法則が示すのは、化学反応で発生する反応熱は熱力学第一法則(エネルギー保存の法則)に従うということ。化学反応を構成する各段階が発熱過程であれ吸熱過程であれ、最終的な化学反応の熱収支は各段階の熱収支を代数的に積算することで求められる。
化学反応式と熱力学方程式
また、熱力学第一法則は過程の経路の違いに関係することなく出発状態と最終状態のみで熱収支が決定されることを保障する。
このことは、実際の反応経路とは異なる化学反応の反応熱を代数的に組み合わせても、反応の反応物(出発状態)と生成物(最終状態)が物質量的に合致していればそれらの反応熱の代数和は、目的の反応の反応熱と一致することを意味する。
この目的で、反応式と生成熱とを組み合わせた化学反応式を熱化学方程式と呼ぶ。
熱化学方程式の表記法としては生成熱を反応式の右辺に + 記号で結合させること、化学反応式では→を使うところ=を使うこと、物質の状態によって発熱量も変わるので気体 (g), 液体 (l), 固体 (s)を表示する、などの違いがある。
問 熱化学方程式でメタンの生成熱を求める
例えば炭素からメタンが生成する反応熱を求めてみよう。この反応熱をΔHoとすると。次のように式が表せる。
C(s) + 2 H2(g) = CH4(g) + ΔHo
このときのΔHoは、別の化学反応の生成熱ΔH1、ΔH2、H3から求めることができる。
C(s) + 2 O2(g) = CO2(g) + ΔH1 ・・・(1)
H2(g) + 1/2 O2(g) = H2O + ΔH2 ・・・(2)
CH4(g) + 2 O2(g) = CO2(g) + H2O(l) + ΔH3 ・・・(3)
(1)+(2)×2−(3)より、ΔHoは求まる。
ΔH = ΔH1 +2ΔH2 − ΔH3
参考HP Wikipedia「ヘスの法則」「熱化学方程式」「エネルギー保存の法則」
![]() |
物質の変化―化学反応と熱,酸と塩基,酸化還元反応 (短期完成!基礎力徹底ドリル) 目良 誠二 学研 このアイテムの詳細を見る |
![]() |
はじめての化学工学 プロセスから学ぶ基礎 丸善 このアイテムの詳細を見る |
��潟�<�潟��