遺伝とは、生殖によって、親から子へと形質が伝わるという現象のことであり、生物の基本的な性質の一つである。よく「親と子は似る」といういい方をする現象である。遺伝についての法則を最初に発見した人は誰だろう?

 正解は、遺伝の祖と呼ばれるオーストリアの司祭であった「メンデル」である。メンデルは後に「メンデルの法則」と呼ばれる「優性の法則」、「分離の法則」、「独立の法則」の3つを発見し、1865年に発表した。また、遺伝子の存在を予言したのも彼である。


 発表した当時はあまり注目されなかった。それゆえ「やがて私の時代がくる!」といって亡くなったことも有名。ただし、完全に埋もれていたわけではなかった。19世紀中に、ウィリアム・ホッケ、アルベルト・ブロンベリ、イワン・シュマルハウゼン、ハイド・ベイリーが、それぞれの論文でメンデルの法則に言及している。また、ブリタニカ百科事典1881年版には既にメンデルの研究の紹介がある。

 メンデルの法則とは?
 純系の選抜: 
メンデルはまず、エンドウマメに背の高いものと低いものがあることに着目した。
 そして、背の高いものの種子のみを集め、修道院の庭で別に育てた。育ったものの高さを見て、高くなったもののみの種子を集め、さらにその翌年、それをまいた。これを数年続けることにより、必ず背の高くなるエンドウマメの種子を収穫することができるようになった。背の低いものも同様に、数年かけて選定を行い、必ず背の低くなる種子を収穫することに成功した。
 
 優性の法則の発見: 次にメンデルは、必ず背の高くなるエンドウマメの種子を育てて咲いた花のめしべに、必ず背の低くなるエンドウマメの種子の花粉を受粉させた。また、逆に背の低いものの花のめしべに、高いものの花粉を受粉させた。そして収穫された種子をまくと、すべてが背が高くなった。
 
 分離の法則の発見: 次にメンデルは、このエンドウマメを自家受粉させて得られた種子を、さらに翌年まいた。すると、背の高いものが3,背の低いものが1の割合になった。
 メンデルは背の高さ以外に、エンドウマメの種子にしわのあるものとないものなど、複数の形質について同じ実験を行った。すると同じように、しわのないものとあるものを交配すると、翌年はしわのないもののみが収穫された。この種子をさらに翌年育てると、しわのないものが3、あるものが1の割合になった。同様に、種子の色が黄色のものと緑色のものを交配しても、やはり同様の結論が得られた。

 独立の法則の発見: メンデルは、エンドウの背の高さやしわの有無など、複数の形質をもつもの同士をかけ合わせた。すると、それぞれの形質の遺伝の仕方に相関関係はなく、1つずつの形質について優性の法則・分離の法則が成立した。これを独立の法則と呼ぶが、メンデルの死後、ある一定の条件のもとでしか成立しないことが分かった。すなわち、それぞれの形質の遺伝子が、別の染色体上にあること。もう一つは、組換えが起きないことが条件である。

 メンデルについて
 グレゴール・ヨハン・メンデルはオーストリアブリュンの司祭。植物学研究を行い、メンデルの法則と呼ばれる遺伝に関する法則を発見したことで有名。遺伝学の祖と呼ばれる。

 当時、遺伝現象は知られていたが、遺伝形質は交雑とともに液体のように混じりあっていく(混合遺伝)と考えられていた。メンデルの業績はこれを否定し、遺伝形質は遺伝粒子(後の遺伝子)によって受け継がれるという粒子遺伝を提唱したことである。

 エンドウの遺伝
 有名なエンドウマメの交配実験は1853年から1868年までの間に行われた。エンドウマメは品種改良の歴史があり様々な形質や品種があり、人為交配(人工授粉)が行いやすいことにメンデルは注目した。

 次に交配実験に先立って、種商店から入手した 34品種のエンドウマメを二年間かけて試験栽培し、形質が安定している(現代的用語で純系に相当する)ものを最終的に 22品種選び出した。これが遺伝法則の発見に不可欠だった。

 メンデル以前にも交配実験を行ったものはいたが、純系を用いなかったため法則性を見いだすことができなかった。

 その後交配を行い、種子の形状や背の高さなどいくつかの表現型に注目し、数学的な解釈から、メンデルの法則と呼ばれる一連の法則を発見した(優性の法則、分離の法則、独立の法則)。

 これらは、遺伝子が独立のときのみ成り立つものであるが、メンデルは染色体が二対であること(複相)と共に、独立・連鎖についても解っていたと思われる。なぜなら、メンデルが発表したエンドウマメの七つの表現型は、全て独立遺伝で 2n=14であるからだ。

参考HP Wikipedia「メンデル」「メンデルの法則」 

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