
不規則な現代社会
生活のリズムは大切だ。最近は省エネのため、24時間営業のコンビニやスパーの自粛が考えられているが。夜勤の人や早朝勤務の人もいて、開いていれば営業利益は上がる。
人によっては昼夜逆転の生活が続くと、戻そうとしても、夜眠れなくなる人もいると聞く。仕事でなくても何かがきっかけになって不眠症になる人もいる。いったい生活のリズムはどうやって決められているのだろうか?
正解はそう太陽の光である。私たちは太陽の光をもとに生活してきたので、太陽の光とともにリズムができるのが当然である。近年、夜の仕事が多くなったために、不眠症などが問題になっている。

体内時計(概日リズム)
このような、太陽の光をもとにした生活のリズムを体内時計とか、概日リズムとか呼ぶ。これは何も人だけが持つものではなく、動物、植物、菌類、藻類などほとんどの生物に存在している。
このような体内時計(概日リズム)が発見されたのは、1729年にフランスの科学者ジャン・ジャック・ドルトゥス・ドゥメランによって初めて、科学論文として報告された。彼はオジギソウの葉が、外界からの刺激がない状態でも約24時間周期のパターンで動き続ける、就眠運動をしていることに気づいたのである。
体内時計は細菌などの原始的な生物にも存在する。名古屋大学の近藤教授は、真正細菌のシアノバクテリアの遺伝子(時計遺伝子)が作ったタンパク質を試験管内でリン酸化合物と混ぜるだけで、24時間周期で繰り返す化学反応を発見した。化学反応が体内時計の「振り子」の役割を果たしている可能性もある。
時計遺伝子
哺乳類における時計中枢は視床下部の視交叉上核に存在する。視交叉上核を破壊された動物では、規則正しい睡眠・覚醒リズムが完全になくなる。
哺乳類は光を目で受け取り、この情報を視神経によって、視交叉上核に伝える。
視交叉上核は光の情報を網膜から受け取り、他の情報と統合し、松果体へ送信している。松果体ではこの情報に応答してホルモンであるメラトニン (melatonin) を分泌する。メラトニン分泌は夜間に高く昼間に低くなることで、睡眠・覚醒のリズムをつくり出す。
こうした、光によってメラトニンなど特別なタンパク質を作る遺伝子を時計遺伝子という。時計遺伝子はショウジョウバエやマウスなどでは見つかっていたが、1997年(平成9)10月、東京大医科学研究所ヒトゲノムセンターと神戸大医学部のグループが、初めてヒトで発見。
この時計遺伝子は「ピリオド(周期)」と名付けられた。この遺伝子は人では、17番染色体上に乗っている。ネズミなど哺乳類にもあり、この遺伝子の一部に変異があると体内時計が長くなったり短くなったりするなど、その機能が盛んに研究されている。
低炭水化物ダイエット
今回、産業技術総合研究所の大石勝隆・生物時計研究グループ長らは、マウスに、炭水化物を極端に減らし脂肪分を増やした餌を食べさせると、体内時計が4〜8時間程度進むことを発見した。
炭水化物を極端に減らした食事をとると、エネルギーを脂肪から作り出すため、体内の脂肪分解が進むことが知られている。研究チームは今回、「炭水化物0.73%、脂肪94.8%」という特殊な餌(ケトン体食)を作り、マウスにこの餌だけを14日間、食べさせた。
体内時計に変化
その後、体内時計遺伝子の一つで、24時間弱の周期で働きが変わる時計遺伝子「ピリオド2」の働きを調べた。すると、働きが最も強まる時刻が、通常の餌を食べたマウスより4〜8時間早まり、変化の周期も15〜20分短くなった。一方で、血液中で血栓を溶かしにくくする成分「PAI-1」の濃度が、通常の3〜4倍になっていた。
大石グループ長は「将来は、食事の工夫で時差ぼけを改善したり、眠りの時刻がずれて夜更かし・朝寝坊になる睡眠障害などの治療につながる可能性があるが、心筋梗塞などを起こしやすくなる可能性もあり、注意が必要だ」と話している。
参考HP 産総研プレスリリース「ダイエット食による早起き効果をマウス実験で発見」 ・Wikipedia「概日リズム」「時計遺伝子」「体内時計」
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