基本的な4つの力とは?

 物理で「力」と呼ぶものには、重力、磁力、磁力、弾性力、摩擦力、圧力、浮力などさまざまなものがあるが、「物」自体が本来持っている、基本的な力というと4つの力に分けられる。

 「4つの力」それは何だろう?

 正解は「重力」「電磁気力」「弱い力」「強い力」の4つである。4つの力は、重力<弱い力<電磁気力<強い力の順に大きくなる。

 「重力」と「電磁気力」は馴染みが深い。重力はニュートンが、リンゴが落ちるのを見て発見した。後にニュートンは、重力が地球だけでなく他の天体や物体どうしにもはたらいていることをあきらかにした。

 「電磁気力」は、電気と磁石の力のことであるが、1868年にジェームズ・クラーク・マクスウェルは「電気の力」と「磁力」は別物でなく「電磁気力」として統一した理論を発表した。すなわち、電流や時間変動する電場は磁場を生じ、時間変動する磁場は電場を生じる。

 これに対して「弱い力」と「強い力」は馴染みが薄い。これは素粒子の世界で発見された力だからである。素粒子の世界が初めて発見されたのは、1897年4月29日のイギリスのトムソンが、最初の素粒子「電子」を発見してからで、まだまだ歴史が浅い。

 1911年には、ラザフォードにより、原子核が発見され、1918年には陽子が発見された。1932年には、中性子が発見される。「強い力」は原子核の中に陽子や中性子を結びつけたり、さらにその中のクオークを結びつける「核力」のことである。

 「強い力」 
 物質を細かく割っていくと、分子になり、さらに細かくしていくと原子になり、その原子はさらに小さな、原子核とそのまわりを飛び回る電子からできている。電子はレプトンの仲間で、本当の素粒子だが、原子核はさらに細かく割っていくことができて陽子と中性子になる。

 陽子と中性子にはまだ構造があって、素粒子である「クォーク」 3つからできている。クォークどうしは、力の粒子「グルーオン」という質量のない粒子を介して「強い力」で結びつけられている。

 「強い力」がはたらく粒子を「ハドロン」というが、ハドロンにはバリオン(3つのクォークから成る)とメソン(クォークと反クォーク対)とがある。陽子と中性子はバリオンにあたる。中間子はメソンにあたる。

 「強い力」は、ハドロン内のクォークの結合や、原子核内の各核子(陽子・中性子)どうしの結合(核力)ではたらく。その作用は陽子や中性子の直径ほどの短い距離で、ふだんは気がつかない。電磁力に比べて102倍の強さがある。

 「強い力」は歴史的には湯川秀樹による、パイ中間子の交換によって核子に働く核力の説明に始まるが、1970年代前半の量子色力学の成立によって、ゲージ場の量子論として完成した。 

 「弱い力」 
 中性子は原子核の中では安定しているが、原子核の外では不安定であり、約15分で、陽子と電子および反電子ニュートリノに崩壊する。これをベータ崩壊という。半減期は約10分である。

 この中性子のベータ崩壊を引き起こす力が「弱い力」である。弱い力はとても短い距離の間でのみ働く。通常、電磁気力よりもはるかに弱いのでこの名前がつけられた。すべてのクォーク、レプトンに働く。

 これは、原子核のベータ崩壊、中性子、パイ中間子などの粒子の崩壊の原因となる(粒子の種類を変えることのできる)力。日常は経験することのない力だが、ミクロの世界では重要な役割を果たしている。

 弱い力を媒介する力の粒子、W粒子、Z粒子は大きな質量を持っている。そのため、力の本質的な強さを表す結合定数は電磁気力と同程度だが、力が届く距離が非常に短く、力の見かけの強さが弱く見える。力の強さが弱すぎて、日常世界で感じることはない。 


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