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 人類の歴史は何年間?
 これまで知られている人類の歴史は約200万年である。これは「道具を使う」人類が出現したとされている時代の定義である。地質時代では新生代「第4紀」を人類の出現から現在までの時代としている。

 ところで、人類の歴史の定義を「二本足歩行」とするとどうなるだろうか?

 全身に近い人類骨格が発見されているものには、「ルーシー」の愛称を持つ約320万年前のアウストラロピテクスの化石が最古である。チャドで見つかったサヘラントロプス・チャデンシス(約700万年前)、ケニアで見つかったオロリン・ツゲネンシス(約600万年前)などもあるが、化石が部分的で姿や生活についてはよくわかっていない。

 今回、東京大総合研究博物館の諏訪元(げん)教授らの研究グループが、約440万年前の人類、アルディピテクス・ラミダス(ラミダス猿人)の化石から全身像を復元することに成功し、生活の様子が明確になった。この人類は二足歩行をしていたらしい。

 ラミダス猿人の復元
 この最古の人類は森で暮らし、木登りをする一方で、二足歩行も可能だったらいい。これまで、2本足歩行する人類は、約400万〜100万年前に草原で暮らしていた猿人アウストラロピテクスとされてきた。これよりさらに古い人類像が、初めて描き出された。2日付の米科学誌サイエンスで発表される。

 ラミダス猿人は諏訪教授らが1992年にエチオピアで歯の化石などを発見し、1994年に英科学誌ネイチャーで発表した。その後、同じ地域から36体分、110標本が見つかった。復元された個体は1994年から破片の状態で発見され、約15年かけて復元と分析を続けてきた。この成果で、最古の人類の生活などをめぐる教科書の記述が書き換えられる可能性がある。

 頭蓋骨がきゃしゃで、犬歯が他の個体より小さいことから女性と推定され、「アルディ」の愛称が付けられた。身長120センチで体重50キロ、脳の大きさは300〜350ccとみられる。脳はアウストラロピテクス(500cc程度)よりも小さくチンパンジー(350〜400cc)に近い。

 骨盤はチンパンジーより丈が短く地上での二足歩行が可能で、こぶしを地面につけるチンパンジーのような歩き方はしていなかった。足裏に土踏まずがないなど、アウストラロピテクスより原始的な特徴も備えており、木登りもしていた。

 犬歯は、チンパンジーなどが持つ武器としての犬歯に比べると、アウストラロピテクスなどと同じく小さかった。雌雄の体格差も少ないため、現代人のように雄と雌がペアで生活する社会構造へつながる特徴だという。

 他の歯も含めた分析からは、硬いものや草原性の植物はほとんど食べないものの、森の中の果実や葉、昆虫などを食べる雑食性だったこともわかってきた。(asahi.com 2009年10月2日)

 ここでは、これまで人類の祖先とされてきた化石について調べてみる。

 アルディピテクス(ラミダス猿人)
 アルディピテクスは、約580万- 約440万年前(新生代中新世末期- 鮮新世初期)のエチオピアに生息していた原始的な人類(猿人)の一種。 長く最古の人類とされてきたアウストラロピテクス属より、いっそう古い時代の化石人類である。

 エチオピアのアファール盆地にある約440万年前の地層から1992年に発見された猿人(ラミドゥス猿人)の化石を機に、1995年5月に新しい属として記載された。

 アウストラロピテクス
 アフリカで生まれた最初期の人類とされ、約540万〜約150万年前に存在したと考えられている、いわゆる華奢型の猿人である。以前は頑丈型の猿人もアウストラロピテクス属に含めていたが、最近ではパラントロプス属に分類することが多い。

 身長は120cm台〜140cm台くらいで、脳容積は現生人類の約35%の500cc程度であり、チンパンジーとほとんど変わらないが、骨格から二足歩行で直立して歩く能力を持つと考えられている。姿形は直立したチンパンジーというイメージである。

 1924年11月、南アフリカに住んでいた解剖学者、レイモンド・ダートが発見。
1974年11月24日 - エチオピアのアワッシュ川下流域で、アファレンシスの有名な個体「ルーシー」が発見される。
2000年12月 - エチオピアの北東部で、約330万年前と思われるアファレンシスの約3歳の女児のほぼ完全な頭骨を含む全身化石が発見され、2006年9月に発表された。愛称は「ルーシーの赤ちゃん」

 ホモ・エレクトス
 ホモ・エレクトスは、更新世(約180万〜約1万年前までの期間)に生きていたヒト科ヒト属の一種である。

 形態的特徴として、ホモ・ハビリス種に比べ額の傾斜がゆるく、大きな頭蓋の容量を持つ。脳容量は 950cc から 1100cc で、現生人類の75%程度。また歯はより小さく、現代人に近い。

 以前はジャワ原人(ピテカントロプス・エレクトス)と呼ばれていた。現在はピテカントロプス属は廃止されている。 行動面では、それ以前の人類よりも精巧な石器を作り、使用していた。

 1890年代にウジェーヌ・デュボワがジャワ島でジャワ原人を発掘し、ピテカントロプス・エレクトスと名付けた。
 1948年 ロバート・ブルームらが南アフリカのスワートクランズ (Swartkrans) でホモ・エレクトスの化石を発見。

 ネアンデルタール人
 ネアンデルタール人は、約20万年前に出現し、2万数千年前に絶滅したヒト科ヒト属の一種である。我々現生人類であるホモ・サピエンス (Homo sapiens) の最も近い近縁種とされる。

 ネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布しており、旧石器時代の石器の作製技術を有し、火を積極的に使用していた。

 最初に発見されたネアンデルタール人類化石は、1830年にベルギーのエンギスから発見された子供の頭骨であり、1848年にはスペイン南端のジブラルタルからも女性頭骨が見つかっている。

 北京原人
 北京原人とは、中華人民共和国北京市房山県周口店竜骨山の森林で発見された化石人類である。学名はホモ・エレクトス・ペキネンシス。更新世(約180万〜約1万年前までの期間)に生きていたヒト科ヒト属の一種である。現在はホモ・エレクトス (Homo erectus) の亜種として扱われる。

 周口店の北京原人遺跡はユネスコの世界遺産として登録されている。

 スウェーデンの地質学者 ユハン・アンデショーンが人類のものと思われる歯の化石を発見した。さらに、その後の調査で1929年12月2日、中国の考古学者 裴文中が完全な頭蓋骨を発見した。結果的に合計十数人分の原人の骨が発掘された。

 最近まで北京原人を現生人類(アジア人)の祖先とする考えがあった。現在では、現代人のミトコンドリアDNAの系統解析により否定されている。

 南京師範大学、パーデュー大学の研究によると、200万年前にアフリカで誕生した原人が、100万年前頃にインドネシアのジャワに到達(ジャワ原人)、さらに北に進出したものが北京原人とされる。

 クロマニョン人
 クロマニョン人は後期旧石器時代(約4万〜1万年前)にヨーロッパに分布した人類で、現代人と同じホモ=サピエンス(Homo sapiens)に属し、白色人種に入ると考えられる。主流派の学説ではクロマニョン人はそのまま現代人へと遺伝的に繋がっているとしている。

 1868年、南フランスのクロマニョン (Cro-Magnon) 洞窟で、鉄道工事に際して5体の人骨化石が出土し、古生物学者ルイ= ラルテ(Louis Lartet) によって研究された。

 精巧な石器や骨器を作り、動物を描いた洞窟壁画(ラスコー、アルタミラ、その他多数)や動物・人物の彫刻を残している。


参考HP Wikipedia「アルディピテクス」「アウストラロピテクス」「ホモ・エレクトス」「ネアンデルタール人」「北京原人」「クロマニョン人」 

われら以外の人類 猿人からネアンデルタール人まで (朝日選書 (783))
内村 直之
朝日新聞社

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ヒトは食べられて進化した
ドナ・ハート,ロバート W.サスマン
化学同人

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