財政危機
2009年度の新規国債発行額が過去最大の50兆円台に達する可能性が高まり、財政危機は一層、深刻さを増すことになった。鳩山内閣は2010年度予算で、子ども手当や高速道路の無料化など、衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ政策を断行する構え。このため歳出圧力がさらに強まり、国債増発に歯止めがかからなくなる恐れもある。
財務省が発表した2010年度予算の概算要求はマニフェスト関連の予算4.4兆円を盛り込んだ結果、95兆円と過去最大になった。政府がマニフェスト通りの政策を進めれば、歳出増で国債増発が避けられなくなるジレンマに陥っている。
国策よりも人気取り
民主党の言動に矛盾も多い。公共投資を見直すといいながら、財政が増えるのは納得できない。また、高速道路の無料化やガソリン税などの暫定税率廃止を唱えながら、温室効果ガス削減目標を25%に削減するという。環境省内でも「車の利用促進でものすごくCO2排出が増える」と批判がある。
これでまた、国の借金が増えることになりそうだ。そのつけは国民が享受しなければならない。先の衆議院選挙は何だったのか?国民は政治家の美味しそうな公約にのせられて投票する。政治家は人気取りの公約しかできない。国民の要求に何にでも応えようとするあまり、今のような大きな政府になってしまった。
政府の機能は何だろう?国民の身の安全と財産、生活の安全を守ることではないのか。何にでも手を広げるあまり、その負担で国民生活に不安を残すことになる。やはり、小さな政府がよい。まず国を守ることが基本だ。
政策の基本は国の安全
それにしても国防が心配だ。米国は国力が落ち、もはや日本を守ってくれなくなる。そして中国の台頭だ。2つの強国にはさまれた日本は「虎の威を借るキツネ」のように生きるしかないのだろう。戦後何十年、何百年経ても、憲法9条を変えられない。
まわりの大国が怖いのだ。そうかんがえれば納得する。日本は世界で唯一、自分の国を自分で守れない、勇気のない小さな国なのである。北朝鮮がミサイルを、自国の上空を通過させてもそれを咎められないし、中国が空母を建設し、日本のシーレーンを脅かしても対抗するつもりはないのだろう。
国連はかつての連合国のつくった組織であり、中国やロシア、米国、イギリスなどは常任理事国であるが、敗戦国である日本は常任理事国になれるはずがない。案の定、北朝鮮に対する制裁決議も中国やロシアが拒否権を発動、敗戦国のことなんか本気で考えるわけがない。日本は日本人が守るしかないと思う。
やがて中国は台湾、沖縄、日本・・・と併合してゆく。それでもよいのだろうか?中国の少数民族に対する迫害は、覚悟しなければなるまい。大量粛正が待っている。粛正とは反対者を死刑にすること。言論の自由もなくなるであろう。聞けば中国の一般国民には選挙権がないそうだ。とても民主的とはいえない国だ。
温室効果ガス25%削減
民主党は政権を取ったのはよいが、大風呂敷を広げすぎる。前原国土交通相の言動もそうであるが、もう一つ心配なのが、鳩山由紀夫首相の「温室効果ガス25%削減」である。これも人気取りに過ぎないのではないか、国民に経済的負担が増えるだけではないのかと心配になる。
鳩山由紀夫総理が、2020年までの日本の温室効果ガス削減目標(中期目標)として「1990年比25%削減」を表明して以来、民主党には海外や環境団体から歓迎の声が続々と届いている。麻生内閣の目標は「2005年比15%減」。1990年比だと8%減にしかならないため、新政権の目標に注目が集まった。
民主党の福山哲郎政調会長代理は「日本がこれだけ称賛されたのを見たことがない」と手応えを語る。二酸化炭素(CO2)をはじめとした温室効果ガスの削減目標の設定には、常に経済界からブレーキがかかってきた。高い目標を掲げると企業や家計への負担増は避けられない。麻生内閣の目標ですら、国内経済界には慎重意見が根強かった。
マニュフェスト
鳩山総理は「産業革命以来の社会構造を転換し、持続可能な社会をつくることは次の世代に対する責務だ」とマニフェスト(政権公約)の目標をそのまま新政権の目標に位置づけた。日本経団連の会員企業による政治献金額(2007年)は、自民党が29億1000万円なのに対し、民主党は8000万円。民主党は複雑な利害関係の調整経験が乏しい。しがらみのなさが高い目標設定を可能にした。
経済界からは早速、異論が相次いでいる。しかし、今後の国際交渉をにらむ外務省幹部はプラスと受け止めている。「国内の調整は確かに大変だが、対外的には攻めの交渉材料になる。環境省や財務省との連携も準備ができている」
(毎日新聞 2009年9月12日)
ここでは温室効果ガス25%削減目標が、日本経済にどんな影響を与えるのか調べる。
賃金・雇用に影響
ガスの排出を抑えるには、太陽光など現状ではコスト高の新エネルギーの普及や、省エネ機器の導入が不可欠だ。削減幅が大きくなるほど光熱費は跳ね上がり、企業の省エネ投資の増大で賃金や雇用の減少などの「副作用」を招きかねない。
政府の試算では、前政府目標「2005年比15%減(1990年比8%減)」ですら、光熱費などで1世帯当たり平均で年7万7000円の負担増が見込まれる。環境投資の必要額は官民で累計52兆円。
民主党は目標達成に向けて、国内削減分だけではなく、途上国への資金援助による海外からの排出権取得分などを加えなければならない。もし政府が「25%減」を国内だけで実現すると、「1世帯36万円、官民で累計190兆円の負担」になると試算している。
省エネ規制
25%減にすると生活はどう変わるのだろうか。
政府は太陽光発電が現状の55倍(政府目標では20倍)、新車販売の約9割(同5割)を電気自動車など次世代カーに切り替えることが必要と説明する。省エネ基準を満たさない既存住宅の強制改修や、企業への排出枠割り当てなど厳しい規制が社会の隅々に及ぶ。
6月1日に開かれた日本経団連と民主党幹部の意見交換会。「25%減」に理解を求める岡田克也幹事長に、経団連の清水正孝副会長(東京電力社長)は「達成には失業者の大幅増加、多大な国民負担を伴う。納得性ある説明が政治の責任だ」と反論した。
排出権取引
経団連は負担増を懸念し、一貫して民主案を批判してきた。実際、排出量の多い電力業界は2008年度、海外から排出権約6400万トン分を約1000億円で購入したが、現行の京都議定書(日本は2008〜2012年平均で1990年比6%減)達成の道のりは険しい。
仮に「25%減」のうち10%分を海外からの排出権購入でまかなった場合、20年時点の財政負担は年数千億円に上るとみられている。エネルギー業界の首脳は「排出権市場を創設した欧州を利するだけ」と語り、いらだちは募るばかりだ。
国際交渉に狙い
民主党が高い目標を掲げた背景には、次期枠組みを決める年末の国際交渉を優位に進める狙いがある。2006年の世界の二酸化炭素(CO2)排出量で日本は約4%に過ぎず、中国は米国と同様、約20%。交渉の成否は新興国をいかに巻き込むかにかかっているためだ。
1997年採択の京都議定書では、大幅削減を求める欧州連合(EU)と産業界への影響を懸念する米国が対立。妥協の産物として2008〜2012年までの削減目標を1990年比でEU8%、米国7%、日本6%と「政治決着」させた。だが、米国は離脱し、その後中国など新興国の排出量が激増した。
民主党政権はポスト京都議定書交渉で、EUとも連携し、離脱した米国や新興国に積極的な取り組みを求めると見られる。しかし、次期枠組みは結果次第で経済成長やエネルギー政策への影響が大きく、各国とも自国産業を考慮して激しい交渉が繰り広げられる。(毎日新聞 2009年9月12日)
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