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 経済産業省の委託事業
 経済産業省では、本年度より、低炭素社会の実現に貢献する観点から、関係省庁との連携の下、委託事業としてカーボンフットプリント制度試行事業を実施している。

 カーボンフットプリントとは、製品の原材料調達から廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体において排出される温室効果ガスをCO2量に換算しわかりやすく製品に表示するもの。

 今回、カーボンフットプリントマークの付与を希望するイオンからの申請に基づき、試行事業における第一号案件として、うるち米(ジャポニカ米)、菜種油、衣料用粉末洗剤に係るカーボンフットプリントの算定結果及び表示方法に関して検証が行われ、その内容が適当と判断した。

 イオンの「第一号商品」
 これを受けてイオンは、10月17日(土)から、「カーボンフットプリント」を表示した商品を販売開始する。

 この商品は、イオンのプライベートブランド「トップバリュ グリーンアイ特別栽培米 あきたこまち4kg」「トップバリュ キャノーラ油ギフト」「トップバリュスーパークリーンホワイト」の3品目。

 これらの商品は、国のカーボンフットプリント制度試行事業において認定された「カーボンフットプリントの商品種別算定基準(PCR)」に基づいてCO2排出量を算定し、その算定結果及び表示方法について、第一号案件として検証を受け、国内で初めて販売をスタートする。

 カーボンフットプリントと環境用語
 カーボンフットプリント(Carbon footprint)とは原料調達、生産、使用、廃棄まで、商品の全工程で出る二酸化炭素の排出量を計算、表示する制度。消費者の商品選びの際の参考になるよう、認定商品に専用マークと排出量を記載する。算定基準は品目ごとに政府が認定する。地球温暖化対策の柱の一つとして注目を集め、国際標準化機構(ISO)も11年度をめどに統一規格を作る。イギリス、フランス、韓国などが既に制度を導入しているほか、米国、中国でも検討が進められている。

 フード・マイレージ (Food Mileage) は、「食料の (=food) 輸送距離 (=mileage) 」という意味。重量×距離(たとえばトン・キロメートル)であらわす。食品の生産地と消費地が近ければフード・マイレージは小さくなり、遠くから食料を運んでくると大きくなる。1994年にイギリスの消費者運動家のティム・ラング Tim Lang 氏(ロンドン市立大学教授・食料政策)がフードマイル (food miles) として提唱した概念。

 カーボンオフセット(Carbon Offset)とは、人間の経済活動や生活などを通して「ある場所」で排出された二酸化炭素などの温室効果ガスを、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業などによって「他の場所」で直接的、間接的に吸収しようとする考え方や活動の総称である。

 エコロジカル・フットプリント(Ecological Footprint:EF)とは、人間活動が環境に与える負荷を、資源の再生産および廃棄物の浄化に必要な面積として示した数値である。通常は、生活を維持するのに必要な一人当たりの陸地および水域の面積として示される。以下では、略語EFの表記を用いる。 

 各国のカーボンフットプリント表示状況
 イギリス: イギリス政府が推進する中でThe Carbon Trustが英国規格協会と共同でPAS2050という規格を創設し、複数の企業で実証実験を開始。2007年3月から、Walkers Crispsがポテトチップス、innocent Drinksがスムージー(ジュース状にすりつぶした果物飲料)、Boots Groupがシャンプーに表示するなどして、世界初とされるカーボンフットプリントのラベル表示を3社から開始。これ以降Danone Waters UK、Coca-Colaなども参加、小売業のTescoは自社店舗で販売する数十品目について表示するなど、合計20社が70以上の品目で表示している(2008年8月現在)。
 
 フランス: スーパーのE.Leclercは、2008年4月から半年間、一部の商品で商品棚やレシートにカーボンフットプリントの表示を実施。また同じくスーパーのCasinoは2007年からカーボンフットプリントの算定を開始、現在約3,000品目が対象。ラベルとしての表示は現在検討中。
 
 スイス: スーパーのMigrosは、同種の商品群の中で排出量を比較し、最も少ない商品に"Climate Champion"のロゴを添付するプロジェクトを開始。算定などはISO 14040に準拠し、民間機関と公的機関の2者が行っている。
検査機関のSGSは、商品の排出削減率をマークで5段階表示する事業を開始。GHGプロトコル、ISO 14064(ISO 14064-1~3)などに準拠。

 ドイツ: 小売業、化学製品など9社が参加してカーボンフットプリントの算定を開始。公的機関、民間機関など4者が算定を行う。算定基準、ラベル表示の有無などは検討中。(出典:Wikipedia)

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CO2:排出総量表示制度 第1号に3商品認定へ


 商品の製造、使用時などに排出される二酸化炭素(CO2)の総量を表示する「カーボンフットプリント制度」で、政府はイオンの申請していた3商品に専用マークの使用を許可することを決めた。同制度に基づく初の認定商品で、月内にも販売が始まる見通し。原材料や賞味期限と同じように、消費者が環境への負荷を吟味した上で商品選びをすることを促す。

 認定されるのは、イオンが販売する「うるち米」「菜種油」「衣料用粉末洗剤」。これらの3品目について政府がCO2排出量の算定基準(PCR)を認定したことから、▽原材料の調達▽商品製造▽運搬・販売▽家庭での使用▽廃棄・リサイクル−−の各段階での排出量を同社が計算。第三者機関の検証を受けていた。経済産業省などは、検証で問題がないことを確認した上で、3商品への専用マークの添付を週内にも正式に認める。

 カーボンフットプリントは地球温暖化対策の一環として欧州を中心に導入が進んでいる。日本でも今年度から試行が始まり、5日現在で3品目のPCRを認定、即席めんや清涼飲料、包装容器、文具など41品目についてもPCRづくりを進めている。経産省などは、年度内にマーク添付商品を追加認定し、排出量表示を日本でも定着させたい考えだ。(毎日新聞 2009年10月11日) 

参考HP Wikipedia「カーボンフィットプリント」・カーボンフットプリントホームページ

カーボンフットプリント―LCA評価手法でつくる、製品別「CO2排出量見える化」のしくみ
稲葉 敦,未踏科学技術協会
工業調査会

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LCA概論 (LCAシリーズ)
伊坪 徳宏,成田 暢彦,田原 聖隆,稲葉 敦,青木 良輔
産業環境管理協会

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