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 沖縄に大地震が少ないわけ
 広島大などの研究チームが、ユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込む境界がある沖縄諸島付近では、境界深部に軟らかい蛇紋岩が存在することでひずみが蓄積しにくく、プレート境界型巨大地震の発生を抑制している可能性があることをつきとめた。22日付の英科学誌ネイチャーに論文が掲載された。

 研究チームは、沖縄諸島付近の深さ30キロ以上のプレート境界で、地震波の伝わる速度が方位によって異なる現象(異方性)を調査し、プレートと一緒に沈み込んだ水がマントルと混ざり合う過程で境界上に生成された蛇紋岩があると推定。実験室でプレート境界に近い高温高圧の条件で蛇紋岩を変形させた結果、沖縄諸島付近と同様の現象が生じた。

 蛇紋岩がクッションに
 表面がヘビの模様に似ている蛇紋岩は、地上では地滑り地帯などでみられる。もろくて軟らかい性質のため、ひずみを蓄積することができない。

 研究チームは、蛇紋岩の存在がプレート境界深部での巨大地震の発生を抑制している可能性があるとみて、太平洋プレートがユーラシアプレートに沈み込む東北地方付近と比較したところ、蛇紋岩の存在は確認できなかった。プレート境界の温度が低く、放出される水が少ないため蛇紋岩の生成に至らなかったとみている。

 また、深さ30キロ以上のプレート境界深部が震源となった地震のうち、過去100年間に起きたマグニチュード6以上の大地震の発生状況をみると、沖縄諸島付近は、東北地方付近の数十分の1に抑えられていた。

 広島大の片山郁夫助教(岩石変形学)は「プレート境界での蛇紋岩の分布を詳細に調べることで、巨大地震発生の可能性を探ることができる」と話している。(毎日新聞 2009年10月22日)

 蛇紋岩とは何か?
 蛇紋岩(じゃもんがん)はその名前のように、暗緑色〜黄緑色の、蛇の皮のような模様をした岩石です。特に美しい蛇紋岩は貴蛇紋岩と呼ばれ、彫り物や装飾用の石材としても使われている。

 蛇紋岩はかんらん岩などが水を含んで変質してできた岩石である。かんらん岩は二酸化ケイ素が他の火成岩にくらべてずっと少ない(45%以下)超塩基性岩で、マグネシウムや鉄を多く含んでいる。化学組成は(Mg,Fe)3Si2O5(OH)4の鉱物である。

 マントルの一部
 地殻は、大陸が花崗岩や安山岩のように二酸化ケイ素が多い岩石、そして海洋が玄武岩のように二酸化ケイ素が少ない岩石からできており、かんらん岩のようにより二酸化ケイ素が少ない超塩基性岩はあまり存在しない。超塩基性岩は地殻の下のマントルをつくっている岩石である。

 つまりふだんは地中深くにあって、あまり目にすることのない岩石である。
 
 蛇紋岩は、他にクロムやニッケルを含んでいることもある。クロムは比較的多量に含まれているが、難溶性の鉱物中に含まれており、植物の生育に害を与えることは少ないが、ニッケルは時として植物に障害を与えることになる。また、多量に含まれるマグネシウムが植物の水分吸収能力を低下させるとも言われている。


参考HP Wikipedia「蛇紋岩」 

マントル・地殻の地球化学 (地球化学講座 3)
日本地球化学会
培風館

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地殻・マントル構成物質
周藤 賢治,牛来 正夫
共立出版

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